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はたらく人の幸せに関する調査【続報版】(テレワーカー分析編)

公開日:2021年6月8日(火) 

調査概要

調査名 はたらく人の幸せに関する調査【続報版】(テレワーカー分析編)
調査内容 ・基本属性
・はたらく人の幸せ/不幸せの状態とテレワーク実施状況
・はたらく幸せ/不幸せ因子の重視度
調査対象 全国の就業者 n=3,000   ※性・年代均等割付。企業・団体の代表者除く
うち、テレワーク実施者 n=1,249 ※何らかの頻度でテレワークを実施していると回答した方
出社者 n=1,751 ※テレワークを全く行っていないと回答した方
調査時期 2021年 2月24日 – 2月25日
調査方法 調査会社モニターを用いたインターネット定量調査
調査実施主体 株式会社パーソル総合研究所 × 慶應義塾大学 前野隆司研究室

調査報告書(全文)

調査結果(サマリ)

「はたらく幸せ/不幸せ実感」の変化

幸せ実感は変化なく、不幸せ実感はやや減少

コロナ禍に見舞われ、不安と共に過ごす1年間であった2020年、働く人々の心の状態にはどのような変化があったのか。「はたらく人の幸せプロジェクト」(2020年)にて開発した「はたらく幸せ/不幸せ実感」を測定する尺度および「はたらく幸せ/不幸せの各7因子」(※詳細は「使用尺度について」参照)を使用して分析を行った。

2020年2月と2021年の2月での結果を比較してみると、「働いていて幸せを感じている」割合は44.0%から43.0%とほぼ変わらず、「働いていて不幸せを感じる」割合は20.2%から17.6%とやや減少していた。雇用形態や職種などにより様相は異なるものの、全体としては不幸せを感じている人がやや減少している。

図1.2020年→2021年のはたらく幸せ/不幸せの変化

2020年→2021年のはたらく幸せ/不幸せの変化

テレワーカーの「はたらく幸せ/不幸せ実感」の実態

テレワーカーは「はたらく幸せ実感」が高い

「テレワーク」に含まれる各種の働き方が「はたらく幸せ/不幸せ実感」に与える影響について、各種属性を統制した上で分析したところ、「在学勤務」「モバイルワーク」「ワーケーション」は「はたらく幸せ実感」を高め、中でも「在宅勤務」は「はたらく不幸せ実感」を低減する傾向もあった。

図2.テレワークが幸せ/不幸せに与える影響

テレワークが幸せ/不幸せに与える影響

テレワーカーの「はたらく幸せ/不幸せ」について、実感度合いや「はたらく幸せ/不幸せ因子」の状態をみると、はたらく幸せ実感、はたらく幸せ因子のすべての項目においてテレワーカーのほうが出社者に比べ、有意に良好な傾向にあった。一方、不幸せに関しては、不快空間因子、評価不満因子のみにおいて、テレワーカーのほうが出社者に比べ、有意に良好な傾向にあった。なお、テレワークの頻度(週1日以下~週5日)による有意差は認められなかった。

図3.テレワーカーの「はたらく幸せ/不幸せ実感」の実態

テレワーカーの「はたらく幸せ/不幸せ実感」の実態
テレワーカーの「はたらく幸せ/不幸せ実感」の実態

テレワーカーの中で「はたらく幸せ/不幸せ」の状態は二極化

「はたらく不幸せ」の7因子のスコアを3分割(高群・中群・低群)し、比率を確認したところ、「自己抑圧」「オーバーワーク」「協働不全」「疎外感」の4因子については、テレワーカーの中でも良好な人と不良な人に二極化していることが分かった。また、この傾向は20代に顕著であった。

図4.テレワーカーの「はたらく不幸せ」の状態

テレワーカーの「はたらく不幸せ」の状態

「はたらく幸せ/不幸せ因子」の重視度実態

働く人は「リフレッシュ」「評価不満」「オーバーワーク」を主に重視

「はたらく幸せ/不幸せの各7因子」について、働く人が全般的にどの因子を主観的に重視しているか分析すると、幸せ因子では「リフレッシュ」、不幸せ因子では「評価不満」「オーバーワーク」が重視される傾向にあった。

図5.「はたらく幸せ/不幸せ因子」に対する働く人の主観的重視度

「はたらく幸せ/不幸せ因子」に対する働く人の主観的重視度

主観的に重視される因子と、実際の「はたらく幸せ/不幸せ」との関連度にはやや乖離あり

一方、各因子と「はたらく幸せ/不幸せ実感」との相関をみると、幸せ実感に最も相関が高い因子は「自己成長」、不幸せ実感では「疎外感」であり、働く人が主観的に重視する因子とはやや乖離がみられる。このことから、主観的な重視度にとらわれすぎず、各因子を改善していくことが、幸せに働くためには重要であるといえる。

図6.各因子と、「はたらく幸せ/不幸せ実感」との相関

各因子と、「はたらく幸せ/不幸せ実感」との相関

テレワーカーにおいて注目すべき「はたらく幸せ/不幸せ因子」

テレワークという働き方において、より良い心の状態で働くには、どのような因子に着目すべきなのか。下図は、テレワーカーの因子得点から出社者の因子得点を差し引き、年代ごとに因子得点の傾向を表現したものである。グラフが下に伸びている因子は、テレワークによって悪化が懸念されるポイントとなる。

幸せ因子では、20代のみ「チームワーク」「他者貢献」でテレワーカーが低い結果に

30代以上では、どの因子もテレワーカーのほうが良好な傾向にあった。しかし、20代では、テレワーカーのほうが良好な因子であっても得点差は少なく、また「チームワーク」と「他者貢献」はテレワーカーのほうが低い傾向にあった。つまり、テレワーク環境下では、20代はこの2因子は悪化する可能性が高い。

図7.年代別 テレワーク実施有無と「はたらく幸せ因子」の関係

年代別 テレワーク実施有無と「はたらく幸せ因子」の関係

不幸せ因子では、「自己抑圧」「疎外感」「オーバーワーク」がテレワーカーで低い傾向

次に、不幸せ因子の状態をみると、20代~30代では「自己抑圧」、40代では「オーバーワーク」「疎外感」、50代では「オーバーワーク」がそれぞれ、テレワーク環境で悪化する傾向にあった。このように、年代によってテレワークにおける配慮点は異なってきそうだ。

図8.年代別 テレワーク実施有無と「はたらく不幸せ因子」の関係

年代別 テレワーク実施有無と「はたらく不幸せ因子」の関係

分析コメント

テレワークにおいて、より良い心の状態で働けるようにするには、幸せ指標だけでなく、不幸せ指標にも着目を

今回の調査結果から、テレワーカーは全体的に出社者よりも、幸せ指標(「はたらく幸せ実感」や「はたらく幸せ因子」の状態)において良好な傾向にあることが分かった。しかし、不幸せ指標(「はたらく不幸せ実感」や「はたらく不幸せ因子」の状態)は、個人差があり二極化の傾向も確認された。そのため、テレワークを実施している職場において、「自己抑圧」「オーバーワーク」「協働不全」「疎外感」といった不幸せ因子の状態が悪化していないか意識的に気を配り、良好な状態を保つように心掛けたい。特に20代は、これらの不幸せ因子の状態が悪い傾向にあるため、マネジメントにおいて注意を要する。また、20代のテレワーカー自身も、上司や先輩・同僚にできる限り自己開示し、業務上の悩ましさや知識・スキルの習得方法などについて助言をもらったり、会議前後に少し雑談に付き合ってもらったりするなど主体的な働きかけをすることが重要と考える。

加えて、働く個人が主観的に重視する「はたらく幸せ/不幸せ因子」には、一定の共通性がみられるが、それらの充足だけが必ずしも実際の「はたらく幸せ/不幸せ実感」の改善に重要であるとは言い難い。こうした観点からも、主観的に重視されやすい因子の充足ばかりに目をとらわれず、大局的なマネジメントが肝要であることは言うまでもないだろう。

使用尺度について

本調査は、2020年7月に発表した「はたらく人の幸せプロジェクト」にて開発した以下の尺度を用いて分析を実施している。

はたらく幸せ/不幸せ実感

以下の各5問の平均得点を「はたらく幸せ/不幸せ実感」として分析に使用。

はたらく幸せ/不幸せ実感

はたらく幸せ/不幸せ実感

はたらく幸せ/不幸せの各7因子

「はたらく幸せ/不幸せの各7因子」はそれぞれ以下を使用。

はたらく人の幸せ/不幸せの各7因子

はたらく人の幸せ/不幸せの各7因子

はたらく人の幸せの各7因子

はたらく人の幸せの各7因子

はたらく人の不幸せの各7因子

はたらく人の不幸せの各7因子

※本調査を引用いただく際は出所を明示してください。

出所の記載例:パーソル総合研究所×慶應義塾大学 前野隆司研究室 「はたらく人の幸せに関する調査【続報版】」

(英文表記:PERSOL RESEARCH AND CONSULTING CO., LTD. & Takashi Maeno, Keio University)


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