公開日:2021年3月15日(月)
調査名 | 多文化共生意識に関する定量調査 |
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調査内容 | 【日本人調査】 ・日本人の外国人に対する排外意識の実態を把握。また、それらに影響を与える要因を探る。[全員] ・職場における日本人の排他意識の実態を把握。また、それらに影響を与える要因を探る。[有職者] ・グローバル志向の実態を把握。また、それらに影響を与える要因を探る。[有職者] 【在留外国人】コロナ禍における困りごと、要望などの実態を把握。 |
調査対象 | 【共通条件】共通条件:全国 15~79歳男女 【サンプル数】 ①日本人(日本国籍):10,000s 【割付】都道府県×性年代12セル=564セルで割付。※有職者自然発生。 (総務省統計局「社会・人口統計体系」データより構成比を算出) ②在留外国人:500s 【条件】半年以上日本にいること ※就業有無は不問 【割付】国籍(令和元年末 在留外国人統計の上位10カ国+その他の国構成比を算出) |
調査時期 | 2020年11月12日~11月30日 |
調査方法 | 調査モニターを用いたインターネット定量調査 |
調査実施主体 | 株式会社パーソル総合研究所 |
調査報告書(全文)
外国人増加による影響について尋ねると、「社会に多様性が生まれる(53.3%)」、「一定の職業において労働力が補充される(51.9%)」、「外国の文化・風習に触れる機会が増える(50.6%)」など、肯定的な影響を認知している人は5割前後。なお、女性や外国語で日常会話が出来る人は肯定的にとらえる傾向が高かった。
図1.外国人増加による影響の認知(そう思う・計 %)
「日本社会全体に外国人が増えること」に対して抵抗感がある人の割合は35.6%。
生活場面別に外国人への抵抗感を尋ねると、生活空間からは遠い「よく行くお店・サービスで外国人から接客されること」に抵抗があるとの回答14.3%に対し、最も生活空間から近い「自宅で外国人によるサービスを受けること(介護、家事代行など)」は30.6%と倍増。生活空間に近くなるほど外国人への抵抗感が強くなることがわかった。
図2.生活空間における外国人への排外意識
顧客として外国人からサービスを受けることに対する抵抗感は、全体としては強くない。ただし、年代別で見ると男性30代~50代、世帯年収が低い層、外国語がまったく話せない層では抵抗感が強くなる傾向が見られる。
図3.顧客としての排外的抵抗感(%)
日本人と外国人の両方からサービスを受けた経験があるもののうち、外国人のサービス品質の方が高いと感じるのは「英会話学校(41.1%)」が突出。日本人とサービズ品質が同程度と回答する割合が6割前後だったものは、娯楽施設、スーパー、ファーストフード、ファミリー向けレストラン・飲食店、コンビニで、その他5割を超えるサービスも多数見受けられた。
図4.日本人・外国人のサービス品質比較
サービス提供者が外国人スタッフである場合の抵抗感が強い職種の上位は、家事代行・ベビーシッターや訪問介護サービスなどの「自宅訪問系」、コールセンター・お客様相談室のような「言語依存(日本語)系」、看護・医療サービスや施設介護サービスなどの「身体接触系」が占めている。
図5.サービス提供者が外国人スタッフである場合の抵抗感
外国籍従業員がいる職場は37.1%で(図6)、接触頻度は「挨拶をする」で「よくある」「時々ある」の合計は6割を超えるが、「業務での関わり」、「雑談やプライベートでの交流」など、より密な交流においてはいずれも5割を下回っていた(図7)。
図6.職場の人材の多様性[各種人材が職場に占める割合]
図7.職場の外国人との接触頻度
「同じ職場に外国人がいても話しかけにくいと思う(27.8%)」、「外国人とは総じて仕事がしにくいと思う(26.5%)」、「外国人が職場の上司になることは嫌だ(26.2%)」など外国人に対する排他的な傾向が見受けられる。 また、「社内共通語が英語になるのは抵抗感がある」と考える層は55.4%と外国語への抵抗感の強さも浮き彫りになった。
図8.職場における外国人への排他意識
職場における外国人への規範意識と排他意識には正の相関がみられる。
図9.職場における外国人への規範意識と排他意識
就業者自身のグローバル志向を尋ねると、「色々な国・地域の人と働いてみたい(22.7%)」が最も高く、「機会があれば海外で働いてみたい(19.3%)」、「グローバルなビジネスに携わりたい(16.5%)」 など積極的なグローバル志向は見られない。
また、「日本にいても自分が希望する処遇を得られない」といった、日本で働くことに対する消極的な理由からくるグローバル志向も見受けられる。
図10.就業者自身のグローバル志向(あてはまる・計 %)
外国籍従業員や女性の活躍を推進するダイバーシティ推進施策の実施率は低い。職場においてダイバーシティに関連する教育を受けた経験を尋ねると、「女性の活躍促進に関するテーマ(8.7%)」が最多で、「とくにない」が66.7%であった。
図11.職場で受けたダイバーシティに関する教育(複数回答 %)
多様な人材が活躍する組織づくりがなされている職場、ダイバーシティ推進に関連する取り組みや研修が実施されている職場は、 「職場における外国人への排他意識」を弱め、かつ「就業者自身のグローバル志向」を高める傾向が見られる。
図12.グローバル化・多文化共生意識を醸成する職場要因
日本で暮らす外国人にコロナ禍における困りごとについて尋ねると、1位「国外に旅行・出張できないこと(63.2%)」、2位「自国に帰国できないこと(53.6%)」で国外への移動制限が5割を超えた。
図13.コロナ禍の困りごと
新型コロナウィルス関連の情報については、利用する・分かりやすい情報源のトップ3は「SNS」、「テレビ(NHK)」、「家族・友人・知人」だが、最も信頼できる情報源のトップ3には「行政機関のホームページ」「病院・保健所などのホームページ」が入る。
図14.新型コロナに関する情報の入手経路
国や自治体などに対する要望は「感染防止対策の厳格化」が最も多く52.4%。次いで「個人に対する金銭支援の増加(35.2%)」、「医療言語の多言語対応(34.6%)」と続き、「政府や自治体の支援事業の申請手続きの簡素化」や「企業に対するテレワーク推進強化」 なども挙がった。
図15.国や自治体などに対する要望
経済のグローバル化が叫ばれる近年だが、日本の職場における外国人材の活躍推進はまだまだ不十分であることがうかがえる結果となった。日本の職場への同調圧力の高さが垣間見える一方で、自ら積極的に海外に進出しようとする日本人は多くなく、日本企業のグローバル化はまだまだ遅れていると言える。
さらに、外国人との共生に関して言えば、サービスを受ける顧客側としての日本人の抵抗感も見逃せない。日本人は、家事代行や介護・医療など、居住空間への訪問や身体接触をともなうサービスに対して、外国人による提供に抵抗感が強い傾向が見られた(図5)。こうした意識は、どうすれば変えていけるだろうか。
今回の調査からは、外国人に限らず、女性や障がい者など、企業の中で様々な人材の活躍を促すダイバーシティの取り組みが、外国人との相互理解につながっていることがわかった(図16)。ビジネスシーンにおける外国人など様々な人との共生意識が社会全体に広がっていくことを期待したい。
図16.職場の排他的意識に影響する要因
※本調査を引用いただく際は出所を明示してください。出所の記載例:パーソル総合研究所「多文化共生意識に関する定量調査」
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