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第三回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査

公開日:2020年6月19日(金) 

調査概要

調査名 第三回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査
調査内容 新型コロナウイルス対策によるテレワーク(在宅勤務)の実態・課題について、緊急事態宣言解除後の時点での状況を定量的に把握する。
調査対象 全国の就業者 20~59歳男女、勤務先従業員人数10人以上
正規雇用 n=20,000 非正規雇用 n=1000

※第一回、第二回と比較するため、主に正規雇用の従業員の数値を用いて分析。
※調査結果の数値は平成27年国勢調査のデータより正規の職員・従業員 性年代(5歳刻み)の構成比に合わせてウェイトバック処理。
※グラフ中のサンプル数はウェイトバック処理後のサンプル数。
調査時期 2020年5月29日 - 6月2日
調査方法 調査モニターを用いたインターネット定量調査
調査実施主体 株式会社パーソル総合研究所

都道府県別の数値(ランキング)はこちらのデータをご参照ください。

調査報告書(全文)

調査結果(サマリ)

緊急事態宣言が解除された後のテレワーク実施率

緊急事態宣言が解除された後、正社員のテレワーク実施率は、全国平均で25.7%。7都府県に緊急事態宣言が発出された後の4月中旬は27.9%であり、2.2ポイントの減少(図1)。

図1.テレワーク実施率の推移

テレワーク実施率の推移

テレワーク実施率の推移

調査の回答日別にテレワーク実施率をみると、5月29日(金)は30.5%、6月1日(月)は23.0%と、7.5ポイントも減少。緊急事態宣言解除後の翌週から出社する傾向が強くなり、テレワーク実施率は約4分の3へと減少(図2)。

図2.5月29日と6月1日のテレワーク実施率

5月29日と6月1日のテレワーク実施率

5月29日と6月1日のテレワーク実施率

※テレワーク実施率は、「現在のあなたの働き方」として「テレワークを実施している」という設問に対してあてはまると回答した割合。
上記の「回答日別」の数値は、この割合が調査対象者が回答した日によってどのように変化するかみたもの。

エリア別にみると、テレワーク実施率が高い「関東」や「近畿」では4月より2ポイント以上減少している。東京圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)に限ってみると、テレワーク実施率は41.1%(先月比2.4ポイント減)。(図3)。

図3.エリア別のテレワーク実施率

エリア別のテレワーク実施率

エリア別のテレワーク実施率<

※都道府県別の数値(ランキング)はこちらのデータをご参照ください。
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業種別・職種別・企業規模別のテレワーク実施率

テレワーク実施率について職種別・業種別にみると、両者ともに二極化するような傾向がみられた。テレワークしやすいかどうかの業務上の性質により、テレワーク実施率が増大するか減少するか分かれていると考えられる。
職種別にテレワーク実施率をみると、コンサルタントは74.8%、経営企画は64.3%、商品開発・研究は56.5%と、4月比で10ポイント以上増えた。一方、販売職は5.4%、理美容師は2.6%、配送・倉庫管理・物流は6.3%、医療系専門職は3.6%と、4月比でおよそ半減した(図4)。
業種別にテレワーク実施率をみると、情報通信業は63.9%と4月比10.5ポイント増、学術研究・専門技術サービス業は52.0%と同7.5ポイント増となったが、生活関連サービス・娯楽業は16.0%と同8.4ポイント減となった。

図4.職種別にみるテレワーク実施率の増減

職種別にみるテレワーク実施率の増減

職種別にみるテレワーク実施率の増減

※職種別・業種別の数値はこちらのデータをご参照ください。
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企業規模別(従業員数別)のテレワーク実施率をみると、3月と4月の調査結果と同様、従業員数が多い企業ほど、テレワーク実施率が高い。10~100人未満のテレワーク実施率は15.5%、1万人以上は42.5%と2.7倍以上の差(図5)。

図5.企業規模別(従業員数別)のテレワーク実施率

企業規模別(従業員数別)のテレワーク実施率

企業規模別(従業員数別)のテレワーク実施率

会社の方針

会社からテレワークが推奨・命令されている割合は35.2%。4月は40.7%であり、5.5ポイントの減少。時差出勤の推奨・命令の割合は33.0%(4月比5.9ポイント減)、対面会議を実施しないことの推奨・命令の割合は45.3%(4月比7.6ポイント減)。(図6)。

図6.会社の方針の推移

会社の方針の推移

会社の方針の推移

テレワークをしてない理由

テレワークをしていない理由の推移を見ると、「テレワークで行える業務ではない」が増加傾向にあり、業務の性質上、テレワークが難しいため、出社が増えていることが示唆される。「制度が整備されていない」は減少傾向にあるが、未だに制度の整備ができていない会社も30%台いる(図7)。

図7.テレワークをしていない理由の推移

テレワークをしていない理由の推移

テレワークをしていない理由の推移

テレワークを行っていたが、現在していない(出社を始めた)人の理由をみると、「会社の方針」は18.8%。「制度が整備されていない」も30.3%に上る(図8)。

図8.テレワークを行っていたが現在出社している理由

テレワークを行っていたが現在出社している理由

テレワークを行っていたが現在出社している理由

テレワーク継続希望

新型コロナ収束後のテレワーク継続希望率は69.4%。4月は53.2%だったため、大きく上昇。「若い年代」や「女性」の継続希望率が高く、20代女性は79.3%にも及ぶ(図9)。

図9.テレワーク継続希望

テレワーク継続希望

テレワーク継続希望

職種別にテレワーク継続希望率を見ると、経営企画(継続希望率85.3%)や総務・人事(同77.5%)などで高い。接客・サービスやドライバー、医療系専門職など、現場を持っている職種では低い(図10)。現在テレワーク実施率が高い職種は継続希望率も高く、職種による分化傾向はここでも見られる。

図10.職種別のテレワーク継続希望

職種別のテレワーク継続希望

職種別のテレワーク継続希望

テレワークの不安・課題

テレワークの不安について4月と5月を比較すると、「上司からの公平・公正な評価」「成長できる仕事の割り振り」など、社内の評価・キャリアへの不安が高まっている(図11)。また、これらの不安は若い年齢ほど強い。

図11.不安に関する4月と5月の比較

不安に関する4月と5月の比較

不安に関する4月と5月の比較

テレワークを実施している人で子どもがいる人に聞いたところ、困りごととして「子どもの世話との両立」を負担に感じている割合は42.1%と、4月より10.2ポイント増加。テレワークの長期化により、育児と仕事の両立について、女性を中心に4月よりも負担感が増している(図12)。

図12.働きながら子どもの世話をしなければならないことが負担である割合

働きながら子どもの世話をしなければならないことが負担である割合

働きながら子どもの世話をしなければならないことが負担である割合

分析コメント

テレワークは定着させるべき。出社率のリバウンドやテレワーク長期化による課題に対応必要

テレワーク実施率の全国平均は3月から4月にかけて2倍以上増えていたが、今回調査(緊急事態宣言の解除後)では早くも減少傾向が明らかとなった。今後も新型コロナの感染者数の抑制が続きさえすれば、全体のテレワーク実施率は減っていくだろう。新型インフルエンザ流行や東日本大震災など、過去のケースでもテレワーク実施率は一時的に増え、その後、減っている。

しかし、今後もテレワークは定着させるべきだ。なぜならば、労働生産性や働き方の多様性確保の面で、日本社会に中長期的なメリットをもたらすからだ。新型コロナの感染拡大の継続的リスクを考慮しても、不必要な出社が増えていく事態は避けた方が良い。

そうした意味で、テレワークに関する会社の方針は重要となるが、残念ながら「特に案内がない」という回答割合は57.1%に及んだ。会社としてテレワークに関する基準やポリシーを示さず、「現場判断」や「任意」といった従業員の自主的な出社が行われていることが示唆される。このような「なし崩し」のテレワーク解除では「皆が出社しているから、自分も出社する」という同調圧力が高まりやすく、不要な出社が増えてしまう懸念がある。

また、今後、日本企業はテレワーカーと出社者が混在する「まだらテレワーク」におけるマネジメント課題を抱えることになる。例えば、全員ではなく一部だけが遠隔のWEB会議では、情報流通やコミュニケーションの格差が拡大する。「一斉テレワーク」が多かった4月より、評価面やキャリアに対する不安感も特に若年層で強くなっている。テレワークの長期化に伴う課題もある。育児と仕事の両立は女性を中心に負担感が増しており、十分なケアが必要だ。

※本調査を引用いただく際は出所を明示してください。
出所の記載例:パーソル総合研究所 「第三回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査」

本調査結果の詳細/関連資料

telework3-1.xlsx

telework3-1.pdf


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