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第四回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査

公開日:2021年1月21日(木) 

調査概要

調査名 第四回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査
調査内容 ■コロナ禍における企業の動向、失業者、休業者の実態、また働く個人のキャリアの選択肢に及ぼした影響を把握する。
■テレワークにおける生産性、組織パフォーマンス、ワーク・エンゲイジメントへの影響要因を探る。
調査対象 [共通条件] 全国 男女 ※①②のみ企業従業員規模10人以上
(除外業種:農業、林業、漁業、鉱業)の条件
 総サンプル[15603s]
 ①就業者 20-59歳 [15000s]
 ②人事・経営層セル(自社の人事戦略・動向を理解している者 20-59歳[865s]
  ※①と重複するサンプルあり
 ③失業者セル(コロナ影響による失業、求職活動中)20-69歳 [166s]
 ④休業者セル(コロナ影響による休業中)20-69歳[327s]
調査時期 2020年11月18日~11月23日
調査方法 調査モニターを用いたインターネット定量調査
調査実施主体 株式会社パーソル総合研究所

※本調査の2020/12/16公表時の速報版報告書、業種別・職種別のテレワーク実施率などの関連資料は下記をご参照ください。

調査報告書(全文)

調査結果(サマリ)

総合分析偏

① テレワークの生産性

職場に出勤したときの仕事の生産性を100%としたとき、テレワークしたときの生産性がどのくらいになるかを聞いたところ、全体平均で84.1%となり、職場への出勤時と比べてテレワークでは生産性低下を実感している結果となった。

また、コロナ対策がきっかけで初めてテレワークを行ったという回答者の生産性は82.2%となったのに対して、以前からテレワークを行っていた回答者の生産性は89.4%と差がある。

図1.テレワークの生産性

テレワークの生産性

② コロナ禍によるキャリア・就業意識の変化

コロナ禍により「副業・兼業を行いたい」思いが強まった人は28.3%。テレワーク頻度が高くなるほど、副業・兼業の意向も高くなる傾向がみられる(図3)。「テレワークできる会社・職種に転職したい」思いが強まった人は17.6%。

勤務先の都道府県別に、移住意向の思いが強まった割合をみると、最も高いのは神奈川県で16.8%、2位は東京都で16.2%、3位は埼玉県で16.0%、4位は千葉県で15.6%、5位は大阪府で13.9%だった。

「専門性が高いスキルを身につけたい」思いが強まった人は30.9%と最も高く、「学び直しをしたい」も27.7%おり、コロナ禍によって仕事に対する不安や仕事以外の時間が増したことで、スキル向上や学習意欲向上の契機となったことが伺える。

図2.コロナ禍によるキャリア・就業意識の変化

コロナ禍によるキャリア・就業意識の変化

図3.就業形態・テレワーク頻度別の副業・兼業意向

③ 業界別の個人年収の変化

コロナ禍により「宿泊業、飲食サービス業」の個人年収は28.5万円減少と、すべての業界の中で最も下がる見通しとなった。コロナ禍の打撃が最も大きい業界であることが影響している。

図4.業界別の個人年収の変化

④ 今後の採用計画

企業における今後(来年度・再来年度)の中途・新卒採用の計画をみると、いずれも「減らす」が「増やす」を上回っている一方、5割程度の企業は今まで通りとなった。

図5.今後の採用計画

今後の採用計画

⑤ 人員の過不足感

企業における人員の過不足感をみると、従業員全体では「過剰」が9.1%、「不足」が52.5%と不足が大きく上回っている。しかし、中高年(40歳以上)の従業員については、「過剰」な人員になっているとの認識の割合が27.7%となり、「不足」の23.8%を上回った。職種別にみると、事務系が「過剰」な人員になっているとの認識の割合は13.8%となり、他職種よりも顕著に多い。

図6.人員の過不足感

人員の過不足感

⑥ 失業者の不安

コロナ禍の影響による失業者に「これから仕事が見つかるか不安」かどうかを聞いたところ、約8割が不安を抱えていた。

図7.これから仕事が見つかるか不安

⑦ 休業者への会社からの補償

休業者に会社からの補償について聞いたところ、何も支払われていない人が14.7%いることが明らかとなった。賃金の全額が補償されている人は20.5%と5分の1にとどまる。

図8.休業者への会社からの補償

分析コメント

企業としては生産性向上に努めながら、働き方の選択肢として今後もテレワークを認めるべきだ

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パーソル総合研究所
上席主任研究員 小林祐児

今回の調査結果では、テレワーク時における主観的な生産性は出社時に比べて低下していたが、企業の組織風土やマネジメント次第では生産性を高めることができる。テレワーク時の生産性を高める組織の特徴としては、業務プロセスや上司のマインドの柔軟性が高く、結果を重視する志向性を持っていることが挙げられる。逆に生産性を低めていたのは、集団・対面志向が強く、年功的な秩序の組織であった(その他の要素については、図9参照)。

コロナ収束後もテレワークを継続したいという正社員の割合は78.6%にも及んでおり(2020年12月16日付ニュースリリースのテレワーク継続希望率より)、企業は働き方の選択肢としてテレワークを定着させるとともに、生産性を上げる工夫を同時に模索していくことが求められる。

「テレワークで副業が増えた」という情報も耳にするが、今回調査ではコロナ禍により「副業・兼業を行いたい」思いが強まった人は28.3%いるということも裏付けられた。

コロナ禍による失業者はこれからの仕事探しに大きな不安を感じ、ストレスが高い状況におかれている。今後も、効率的なマッチングや情報提供などの手厚い支援が継続的に求められる。休業者への補償も不十分であり、生活者支援のための各種セーフティネットが継続的に必要な状況が伺える。

図9.テレワークの生産性に影響する要素

テレワークの生産性に影響する要素

2020/12/16公表時点・速報版 調査概要

     
調査名称 パーソル総合研究所 「第四回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査」
調査内容 新型コロナウイルス対策によるテレワークの実態・課題について、 新型コロナ「第3波」の感染拡大がみられる時点での状況を定量的に把握する。
調査手法 調査会社モニターを用いたインターネット定量調査
調査期間 2020年11月18日~11月23日
調査対象者 [テレワーク実態について]
全国の就業者 20~59歳男女、勤務先従業員人数10人以上
正規雇用 n=19,946  非正規雇用 n=2,973

※第一回、第二回、第三回と比較するため、主に正規雇用の従業員の数値を用いて分析。
※調査結果の数値は平成27年国勢調査のデータより正規の職員・従業員 性年代(5歳刻み)の構成比に合わせてウェイトバック処理。
※グラフ中のサンプル数はウェイトバック処理後のサンプル数。四捨五入処理の関係で、合計が上記の数値と異なる場合がある。


[企業動向について]
自社の人事戦略・人事企画全体を把握している人事・総務・経営層 n=865
実施主体 株式会社パーソル総合研究所

調査結果(サマリ)

テレワーク実施率

調査期間の2020年11月18日~11月23日は新型コロナ感染拡大の勢いが続いている時期であるが、正社員のテレワーク実施率は全国平均で24.7%となった。5月25日の緊急事態宣言解除(全国)直後は25.7%であり、1ポイント減少している。

図1.テレワーク実施率(全国平均)の推移

テレワーク実施率(全国平均)の推移

正社員と非正規雇用の差

正社員のテレワーク実施率が24.7%であるのに対して、非正規雇用※の実施率は15.8%と8.9ポイントの差。2020年5月29日~6月2日の調査(以下、5月調査)のときは、正社員が25.7%で非正規が18.7%と7ポイントの差。4月10日~12日の調査(以下、4月調査)のときは、正社員が27.9%で非正規が17.0%と10.9ポイントの差。
※非正規雇用:パート・アルバイト、契約社員、嘱託社員、派遣社員

企業規模別(従業員数別)のテレワーク実施率

企業規模別(従業員数別)にテレワーク実施率をみると、1万人以上の企業では45.0%と高い割合となった一方、100人未満では13.1%と低い割合になり、約3.4倍もの大きな差がついた。5月調査では約2.7倍の差(1万人以上42.5%、100人未満15.5%)であったため、企業規模による格差が広がっている。

図2.企業規模別(従業員数別)のテレワーク実施率

企業規模別(従業員数別)のテレワーク実施率

業種別・職種別のテレワーク実施率

業種別にテレワーク実施率をみると、最も高い割合となったのは「情報通信業」で55.7%となった。

テレワークをしていない理由

テレワークをしていない理由について、5月調査と11月調査を比べると、「テレワークで行える業務ではない」が7.8ポイント減少と大きく下がっている。一方で、「会社がテレワークに消極的で、実施しにくい」が2.3ポイント上がっている。テレワークでできる業務であっても、組織としてテレワーク推奨を継続するというメッセージが明示されていなかったり、上司・同僚の出社により同調圧力が生まれたりして、不要な出社が増えている可能性がある。

図3.テレワークをしていない理由

テレワークをしていない理由

コロナ収束後のテレワーク継続希望率

テレワーク実施者(正社員)のコロナ収束後のテレワーク継続希望率は、全体で78.6%。4月調査では53.2%、5月調査では69.4%だったため、テレワーク継続希望率は上昇し続けている。男女ともに30代が最も継続希望率が高い。女性の方が男性よりも継続希望率が高い。

図4.コロナ収束後のテレワーク継続希望率

コロナ収束後のテレワーク継続希望率

テレワーク実施のメリット

テレワーク実施のメリットをみると、新型コロナウイルス感染のリスクを減らす以外にも、通勤・移動の面などさまざまなメリットを感じていることが分かる。

図5.テレワーク実施のメリット

テレワーク実施のメリット

テレワークの不安

テレワークの不安は全体的に減少傾向。昇進・昇格への影響懸念や社内異動希望への影響懸念などのキャリア関連の不安は横ばい傾向。注意すべきは、年代別にみると若い世代ほど不安を抱えていることであり、ケアが必要。

図6.テレワークの不安

テレワークの不安

図7.年代別にみるテレワークの不安

年代別にみるテレワークの不安

テレワークの課題

テレワークの課題は概ね減少傾向にあり、「テレワーク慣れ」とともに課題が解決される傾向にあると考えられる。しかし、唯一「労働時間が長くなりがちだ」だけが上昇しており(4月調査で21.2%、5月調査で23.2%、11月調査で25.5%)、テレワーク浸透にともなう長時間労働に注意が必要。

図8.テレワークの課題

テレワークの課題

ワクチン普及前後の企業のテレワーク方針

企業のテレワーク方針をみると、ワクチンが普及した後は「原則、全員出社にする予定だ」という回答割合は3割強、「まだ決まっていない」は4割強となった。

図9.ワクチン普及前後の企業のテレワーク方針

ワクチン普及前後の企業のテレワーク方針

※本調査を引用いただく際は、出所として「パーソル総合研究所」と明記してください。

本調査結果の詳細/関連資料

【報告書】第四回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査(速報版)

都道府県別テレワーク実施率【PDF形式】

業種別・職種別テレワーク実施率【PDF型式】

業種別・職種別テレワーク実施率【エクセル型式】


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