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テレワークによる組織の求心力への影響に関する定量調査

公開日:2020年12月21日(月) 

調査概要

調査名 テレワークによる組織の求心力への影響に関する定量調査
調査内容 テレワーカーの組織コミットメントへの影響要因について探る。
調査対象 ■共通条件
全国正社員男女 20~59歳、従業員10名以上 メンバー層
■個別条件
①テレワーカー:テレワークを直近1ヶ月で平均週3日以上行っている人
②出社者:直近1ヵ月でテレワークを行っていない人
■サンプル数 各1000s 合計2000s
※調査対象①②は比較分析する目的で、性別、年齢(10歳刻み)、職種(11分類)、を同一構成比になるように回収を実施。
調査時期 2020年7月21日~7月26日
調査方法 調査会社モニターを用いたインターネット定量調査
調査実施主体 株式会社パーソル総合研究所

調査報告書(全文)

調査結果(サマリ)

テレワーカーの組織への愛着

「会社に愛着を感じている」割合は、テレワーカーで34.4%、出社者で27.1%。「会社に対して感謝の気持ちを持っている」割合は、テレワーカーで43.4%、出社者で32.8%。「会社の一員として仕事をすることに誇りを持っている」割合は、テレワーカーで36.4%、出社者で28.2%だった。
いずれの項目もテレワーカーの方が出社者に比べて、組織コミットメント(組織との情緒的な結びつき)が約1.3倍(※1)強いという結果となった。
※1「愛着」で約1.27倍、「感謝」で約1.32倍、「誇り」で約1.29倍。

図1.組織コミットメント

組織コミットメント

テレワーカーの仕事の成果認識

「私は、上司からの期待を超えるパフォーマンスを発揮している」との回答割合は、テレワーカーで30.4%、出社者で22.1%と、約1.4倍の差がついた。
また、「私は、担当業務の責任を果たしている」との回答割合は、テレワーカーで54.5%、出社者で46.4%。「私は、職場で任されたレベル以上の役割を果たしている」との回答割合は、テレワーカーで34.3%、出社者で27.8%となり、どちらも約1.2倍の差がついた。

図2.仕事の成果認識

仕事の成果認識

統制変数に関して:様々な要因を統制しても、テレワーク実施は組織コミットメントに有意な正の影響を与えていることが確認できている。

図3.テレワーク実施による組織コミットメントへの影響

テレワーク実施による組織コミットメントへの影響

また、テレワーカーと回答した人が属する企業では同僚の約7割がテレワークを実施しており、出社者と回答した人が属する企業では同僚の約1割がテレワークを実施しており、実施率に大きな差がある。そのため、本調査結果では、テレワークに積極的な企業と消極的な企業に見られる特徴が表れていると考えられる。

分析コメント

はたらく場所がどこであれ、企業の対応次第で組織の求心力を保つことができる

本調査では、所属組織に対する愛着などを意味する組織コミットメント(組織との情緒的な結びつき)や仕事の成果認識について、テレワーカーの方が出社者よりも高いことが明らかとなった。テレワークによる組織の求心力や生産性の低下などが懸念されるなか、意外な結果と言えるのではないだろうか。

しかし、なぜテレワーカーの方が高かったのか。まず考えられるのは、企業のテレワーク推進に伴う「従業員の健康への配慮」「企業方針や対応についての十分な説明や情報提供」などが、組織コミットメントを高めたということだ。実際、これらを実施している企業では、実施していない企業に比べて組織コミットメントが高い(図4)。これら以外にも、重回帰分析により、新型コロナに対応した企業の姿勢や施策は組織コミットメントに有意に影響していることもわかっている。

新型コロナ感染拡大が見られ、再びテレワーク実施を検討している企業もいると思うが、従業員の健康を第一に考え、不必要に出社しなくてよいという企業側の姿勢を明示すべきだ。曖昧な経営姿勢や現場に判断を委ねるような対応だと、実際にテレワークを行う割合も組織コミットメントも上がらない。はたらく場所がどこであれ、企業の対応次第で組織の求心力を保つことができることを念頭に、不要な出社を避け、テレワークを推進すべきだろう。

図4.企業の新型コロナへの対応と組織コミットメントとの関係性

企業の新型コロナへの対応と組織コミットメントとの関係性

※本調査を引用いただく際は出所を明示してください。
出所の記載例:パーソル総合研究所「テレワークによる組織の求心力への影響に関する定量調査」


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