公開日:2023年9月12日(火)
調査名 | パーソル総合研究所 「ワーケーションに関する定量調査」 |
---|---|
調査内容 |
・ワーケーションの実態やタイプについて明らかにする。 |
調査対象 |
■スクリーニング調査 ■本調査 |
調査期間 |
2023年6月5日-13日 |
調査方法 |
調査会社モニターを用いたインターネット定量調査 |
実施主体 | 株式会社パーソル総合研究所 |
※報告書内の構成比の数値は、小数点以下第2位を四捨五入しているため、個々の集計値の合計は必ずしも100%とならない場合がある。
調査報告書(全文)
観光庁が公表している定義*に基づき、「ワーケーション」を以下のように定めた。
普段の職場や自宅とは異なる日常生活圏外の場所で、仕事(テレワーク)をしながら自分の時間も過ごすこと。
※出張先などで滞在を延長して余暇を過ごす「ブレジャー」も調査対象とした。
*https://www.mlit.go.jp/kankocho/workation-bleisure/(最終閲覧日:2023.8.14)
全就業者の17.4%が、「日常生活圏外の場所で仕事と自分の時間を過ごした」経験(ワーケーション)を行ったことがある。
図1.ワーケーションを行った経験
※令和2年国勢調査のデータより就業者の性年代構成比(5歳刻み)に合わせてウェイトバック処理
しかし、ワーケーション経験者のおよそ4人に3人が、「ワーケーション」を行っていることを自覚していない。
図2.ワーケーションの自覚率
ワーケーション経験者のうち、14.1%が他のメンバーに隠れてワーケーション(隠れワーケーション)を行っている。
図3.ワーケーションの報告状況(%)
ワーケーションを容認している企業(と認知されている割合)は54.8%でおよそ半数。ワーケーション経験者のおよそ半数が、企業からワーケーションの方針が出ていないか、禁止されている中で行っている。
図4.ワーケーションに関する企業方針(%)
「ワーケーション」を個人単位で行うワーケーション(個人ワーケーション)と、グループ単位で行うワーケーション(グループワーケーション)に分け、ワーケーション期間中に有給休暇を取得した割合を聞いたところ、個人・グループワーケーションのいずれも約44%であった。
※参考:通常の観光時の有給休暇取得率は34.7%
図5.ワーケーション期間中に有給休暇を取得した割合(有給休暇取得日数÷滞在期間日数)
ワーケーション中に「職務効力感(今回の経験を経たものが、仕事で活かせると思った)」を感じた割合は4割前後と、通常の観光(観光群)よりも20pt程度高い。一方、「健康回復(今回の経験を経て、日頃の疲れを癒すことができた)」は観光群よりも20pt程度低い。
図6.ワーケーション中(旅行中)に感じたメリット(あてはまる計/%)
ワーケーション後に仕事における意識の変化/行動の変化/成果があった割合は4~5割で、観光群よりも30pt程度高い。
図7.ワーケーション・旅行後の仕事における意識・行動の変化、成果(あてはまる計/%)
ワーケーション後に、はたらくことを通じて幸せを感じるなど「はたらく幸せ実感」が高まった割合は約5割であるが、観光群との差異は特段見られない。一方、ワーケーション後に「ワーク・エンゲイジメント」が高まった割合は約4~5割で、観光群よりも15pt程度高い。
図8.ワーケーション後のはたらく幸せ実感、ワーク・エンゲイジメント(高まった計/%)
組織のタイプ別にワーケーション後の組織コミットメント、仕事における意識・行動の変化や成果、ワーク・エンゲイジメントを見たところ、PCやネットなどを利用しながら、メンバー同士が地理的に離れた場所で活動する組織(分散型組織)は、いずれもスコアが最も高く、特に個人ワーケーションよりもグループワーケーションのほうが高まる傾向であった。
図9.分散型組織におけるワーケーション後の効果
ワーケーション後に仕事における意識・行動の変化や成果、はたらく幸せ実感、ワーク・エンゲイジメントなどの効果を高めるには、ワーケーション中の「職務効力感(今回の経験を経たものが、仕事で活かせると思った)」を高めることがポイントとなることが分かった。
図10.ワーケーション中に感じたメリットと効果の関係性
職務効力感を高める要因を分析したところ、ワーケーション中の「非日常感」「体験の多さ」「現地交流の体験」「偶発的な体験」が職務効力感を促進していることが分かった。また、「体験の多さ」「現地交流の体験」「偶発的な体験」は、「非日常感」に対しても正の影響を与えている。
図11.職務効力感を高める要因
ワーケーション後の効果を促進する組織風土や職場環境を確認したところ、企業全体の組織風土においては「チームワーク」「自由闊達・開放的」「長期的・大局的志向」など、チーム内など職場環境においては「私的コミュニケーションの多さ」、上司マネジメントにおける「部下理解」「キャリア支援」がワーケーション後の効果(仕事における意識・行動の変化や成果、はたらく幸せ実感、ワーク・エンゲイジメント)を促進していた。
図12.ワーケーションの効果を最大化させる要素
ワーケーションへの注目が集まる昨今ではあるが、ワーケーションのイメージと実態にはギャップが生じていることが明らかになった。ワーケーションは、従業員にとっては柔軟な働き方として魅力的な選択肢にもなり、企業側にとってのメリットも多いが、セキュリティリスクや労務管理上のリスクなどをコントロールしなければならない課題も生じる。
また、企業方針が不明瞭、もしくは禁止されている環境下で勝手にワーケーションをする者や、隠れてワーケーションをする者も確認されている。こうした就業者は、テレワークが浸透してきている以上、今後も一定数出てくるだろう。ワーケーションというものを広い意味合いで捉え、適切なガイドラインを設け、就業者の動きを適切に調整することが、“みえないリスクの軽減”にもつながるのではないか。
ワーケーションは、有給休暇取得の促進やワーケーション後の前向きな意識・行動の変化などに良い影響があり、仕事においてプラスの効果が期待できそうであることが確認された。しかし、ワーケーションは多様であり、「自己成長したい」「他者交流したい」などの明確な動機を持つワーケーションの効果は高い一方、明確な動機がなく、消極的な状態で行うようなワーケーションの効果は低い。
これは、単に制度上でワーケーションを全面的に容認するのではなく、容認のあり方を工夫する必要性を示唆している。ワーケーションする目的の内容に応じて容認可否を判断するなど、企業と従業員の双方にとって意味のあるワーケーション制度の導入を検討されたい。
※本調査を引用いただく際は出所を明示してください。
出所の記載例:パーソル総合研究所「ワーケーションに関する定量調査」
調査報告書全文PDF
ワーケーションに関する定量調査
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