オンライン学習、職場実践、上司・教育担当者との振り返りを通じて「中途採用者」の組織適応力を強化する
新しい環境で早期にパフォーマンスを発揮するために必要な行動を、中途採用者本人だけではなく、上司や教育担当者とともに学習し、組織適応力(組織になじむ力)を主体的に強化していくためのプログラムです。入社後3カ月間のオンライン学習と現場実践を通じて、中途採用者の組織適応力を強化し、早期にパフォーマンスを発揮できる環境を整えます。
中途採用者について、「同業界・同職種で活躍していたと聞いていたが、仕事の飲み込みが遅い」「経験・能力・スキルを十分に発揮できていない」と感じたことはありませんか? こうした問題の要因の一つは、中途採用者を受け入れる側、つまり上司や教育担当者の「理解の乏しさ」であると言われています。中途採用者が組織に適応し本来持っている力を早期に発揮するには、本人の努力だけに任せるのではなく、中途採用者がどのような壁にぶつかり悩んでいるのか、上司や教育担当者が正確に理解し、対策を講じる必要があります。
「中途採用者=即戦力」ではない
尾形真実哉教授によれば、中途採用者は職場で即戦力として期待される一方で、8つの適応課題を抱えているとされています。これは本人の努力と周囲の支援の両方がなければ解決していくことはできません。中途採用者が本来の力を発揮し、組織に貢献していくためにも、これらの課題を解決していくことが重要です。
中途採用者が抱える「8つの適応課題」
甲南大学 経営学部 教授
尾形 真実哉(おがた まみや)
2007年神戸大学大学院経営学研究科博士後期課程修了、博士(経営学)取得。2007年甲南大学経営学部専任講師などを経て、2015年より現職。専門は組織行動論、経営組織論。近著に『若年就業者の組織適応: リアリティ・ショックからの成長』(白桃書房,2020年)、『中途採用人材を活かすマネジメント―転職者の組織再適応を促進するために―』(生産性出版, 2021年)、『組織になじませる力 ~ オンボーディングが新卒・中途の離職を防ぐ』(アルク,2022年)。
本プログラムは、中途採用者と上司・教育担当者が並行して学習を進めます。ガイドブックやeラーニングにより、中途採用者が直面しやすい課題は何か、課題を乗り越えるためにどのような対策が必要かについて、理解を深めます。さらに現場実践を通じたモニタリングアンケートと振り返りMTGにより、中途採用者の組織適応力を強化していきます。
プログラム全体の流れ
「お互いを知る」をテーマに、中途採用者は会社・仕事・人について、上司・教育担当者は中途採用者について理解を深めます。中途採用者が抱える8つの適応課題や必要な行動について双方が理解し、上司・教育担当者はその行動を支援するための準備を行います。
新しい環境に少しずつ慣れ始めると同時に、入社前のイメージとの間にギャップが生じやすい時期です。中途採用者はどんなギャップが生じているのかを考え、どのように乗り越えるかを学びます。上司・教育担当者は、ギャップを受け止めた上で、職場での支援について考えます。
2カ月間の活動を振り返るとともに、より自分らしく働き活躍するために何ができるのかを考え、組織の一員として自走し、パフォーマンスを発揮していくための準備を行います。上司・教育担当者は、中途採用者が自走できる仕事内容、職場づくりを考えます。