顧客と目標を共有し、ともに働くチームになる
「販売する」営業から、「価値を提案する」マーケティングへ

コカ・コーラ カスタマー マーケティング株式会社様インタビュー

コカ・コーラ カスタマー マーケティング株式会社様
コカ・コーラ カスタマー マーケティング株式会社
代表取締役社長井辻 秀剛

1961年生まれ。立命館大学を卒業後、P&Gファー・イースト・インク社入社。日本コカ・コーラ社を経て、2007年にコカ・コーラシステムとしては国内初のマーケティングカンパニー、コカ・コーラ カスタマーマーケティング社の代表取締役社長に就任。自身の理念である、「全ての活動は店頭に通じる」の基本姿勢による経営を一貫して押し進め、変化の激しいビジネス環境の中で7年間、同社のトップを務めている。自身の歩みをもとに、次世代を担うビジネスパーソン向けのミッション・ビジョンの講演も各所で行っており、その活躍は多岐に渡る。
大のサッカー好きで、観戦だけでなく、地元サッカーチームにも参加。スポーツ以外にもバンド活動・ピアノ演奏と、幅広い趣味を持つ。

何のためにそれをするのか?
大切なのは目的志向

小串 情報技術の進化が著しい現在、ビッグデータ等の活用によってマーケティングが進化し、営業の役割も変化しています。営業とマーケティングの区分自体が難しくなりつつある中で、御社では営業組織をどのように変化させてこられたのか、マーケティングの面も含めてお伺いしていきたいと思います。
井辻社長は営業のご経験が長いと思いますので、ご自身のこれまでのキャリアからお聞かせいただけますか。

井辻 私は1961年に神戸で生まれ、大学卒業後に外資系の消費財メーカーに入社しました。今では人気企業の一つですが、当時の入社試験はとてもユニークなものでした。面接会場に行くと2つの入口があり、「右に行くと面接官は外国人で通訳付き、左に行くと日本人です。どちらを選びますか?」というのです。左のドアをノックしたのですが、お蔭様で採用となり、営業本部に配属されました。あとで聞いたところ、右に行った人は宣伝事業部に配属されたとのこと。とはいえ私は経営学部出身なので、仕事といえばまず営業を考えておりました。
入社してみると外資系のイメージはなく、研修もないまま車のキィを渡され、日本流の泥臭い営業で津々浦々を回りました。そこでの文化に親しむ時間もあまりとれず、一時は辞めることも考えたのですが、入社2年目に結婚し、なんとかしなくてはと思い始めました。そこで考えたのが、サラリーマンが抜きんでる法則が何かあるのではないか、ということです。出世された方や評価される人を分析し、どのような発言をするとよいのか、どういう仕事のやり方があるのかと学んでいきました。
そこで一つわかったのは、業績目標を達成し続ける人が評価されるということですね。では、目標を達成するコツはなんだろう。ある先輩からは、「上司から自分が絶対達成できない目標を言われたら、ノーと言うように」と言われました。これはチャレンジをしないということではありません。実績を残せる計画をしっかりつくって、確実にその目標を達成することが大切だということです。目標を達成できると自分自身にも余裕が出て、自分なりの仕事の目標も出てくるものなのです。

小串 目的志向の大切さに気づかれたのですね。

井辻 「目的」「目標」は私の大好きな言葉です。社員に対しても、プロジェクト予算の提出などに対して、なぜそれをするのか、目的や目標は何かを必ず聞きます。日本人は目的や目標を問われることなく生きてきていて、それらを意識する機会が少ないと思います。プロジェクトが単なる予算獲得の手段になることも多いのです。
1990年代に私は語学留学でアメリカに滞在していたのですが、年下のフランス人と食事に行ったとき、彼は楽しそうに「ヒデの人生の目標は?」と聞いてきました。私は30歳を過ぎていましたが、それまで「人生の目標」などという言葉を聞いたこともなければ、考えたこともありませんでした。何か答えなくてはと「支店長になること」と言ったところ大笑いされ、「それは手段だろう、こんな人生を送りたいという目標はないのか?」と言われたのです。

小串 30歳頃といえば、現在では企業でキャリア研修が行われる時期ですが、人生の目的・目標を明確に考えている人は多くはないでしょう。研修では「最期、墓石にどう刻まれたいか」いう問いをきっかけに考えることがありますが、すぐに答えられる人は少ないものです。

井辻 目標ではなく手段に、つい目が行ってしまうのですね。会社に所属し、家族もいるとなると、働くこと自体が目的になってしまう。でも、自分が何のために働いているのかを考えないと、日々流され、成長していけないように思います。私はそのとき、自分の目標を決定し、人生を設計していくのは自分しかいないということに気づいたわけです。帰国の3年後、日本コカ・コーラ社から転職のオファーがありました。1年ほど悩みましたが、自分のキャリアは自分で決めようと転職することにしました。
当時は携帯電話などないので、よく一緒に飲みに行っていた同僚たちの連絡先もわからなくなりましたし、彼等とは疎遠となってしまいました。自分で決めたこととはいえ、ショックでした。しかし、自分がこういう生活をしたいから転職したのだと、目的・目標に立ち戻って気持ちを立て直していました。ちなみに、辞めた当時の私のポジションは支店長でした。

小串 人生のゴールに達していたのですね(笑)。

実現したいイメージからの発想を

小串 自分の人生を自分で決めることは、至極、当然のことですが、最近の若手は受身、慎重であると言われがちです。ご自身のキャリアを踏まえ、社内で若手の方々に対して、どのようなメッセージを出されているのでしょうか。

井辻 秀剛 コカ・コーラ カスタマー マーケティング株式会社
代表取締役社長 井辻 秀剛

井辻 まず、今までお話してきたように、「目的意識を持つ」ということです。また、目標を達成するには起こりうることを予測することが大切であり、販売数や製造計画などを立てたら、達成度を緻密に追う必要があります。ギャップが出た場合、半年後であれば何らかの手を打てますが、1か月後では、できることの幅は随分と狭いものになってしまいます。
それから、人はものを考えるときに現在地を起点にしがちですが、まずは自分が行きたいところ、顧客の皆様と実現したいことを考え、現在地からその地点にどうすれば行けるかを考えるように、と話しています。
現在、日本では「働き方改革」を進めていますが、今の日本人は、働き方が変わった後の人生のイメージを、誰もはっきり描けていないのではないでしょうか。残業を減らすということは現在地からの発想にすぎません。そうではなく、本来、このような働き方をしようとビジョンを示すべきではないかと思います。日本人は、改善は得意でも、目的や目標をあまり意識しないという特徴が、ここにも表れているように感じます。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックにしても、開催の目的を聞いたら全員が違うことを答えるのではないでしょうか。我々もスポンサーになっていますが、そのくらい開催自体が目的になり、その先にあるはずの目的・目標がきちんと共有されていない気がします。本来、オリンピック・パラリンピックはその先の目的を達成するための手段なのです。

小串 1964年の東京オリンピックのときは、もっとわかりやすかったですね。高度経済成長期で、新しい施設や新幹線によって国民の生活が豊かになるという夢がありました。そして、オリンピックはその起爆剤として機能するものでした。

井辻 ところが現在は何のためかがわかりにくく、それが議論のポイントとしてあまり出てこないところが、日本的なのではないかと思います。
私は講演などで、よく桃太郎の話をします。桃太郎がなぜ鬼ヶ島に行ったのかと聞くと、皆、鬼退治のためと答えます。しかし、話の最後には、桃太郎は鬼ヶ島から持ち帰った金銀財宝を村人たちに分け与えているのです。桃太郎が鬼ヶ島に行ったのは金銀財宝を分けて村人たちを幸せにするためであり、鬼退治はあくまで村人を幸せにするための手段だったわけです。しかし多くの日本人は、鬼を懲らしめることが目的だと思ってしまう。そのぐらい目的・目標に対する意識が低いのだと思います。

小串 これからのビジネスでは、より一層目的意識が求められていくでしょう。営業の場合、顕在化したニーズから物を顧客に提供することだけを目的にすると、ビジネスとしてはそこで終わってしまいます。営業に求められるのは、その先で顧客が何を求めているか、顧客のお客様を見据えて新たな価値を提案していく力であり、それがなければ、顧客とよい関係をつくることはできないのではないでしょうか。

井辻 物を売り、買っていただくというだけの取引は、既に時代遅れになっています。現在は、より進んだマーケティングが求められています。IT企業の方々のキャリアをみると、バイヤー経験者は少なく、マーケティングやブランドマネジメント出身の方が多いですね。
以前は、我々と顧客の皆様とは営業と購買の関係であり、交渉して買っていただくことが仕事でしたが、現在はどういった方法によって買っていただくのか、という提案が求められます。つまり、現在の営業はその会社全体を俯瞰して考え、より高いレベルのアプローチをしなくてはいけないということです。その点に気づき、営業の軸足を購買からマーケティングに移行した企業は、やはり成長しています。

「あるべき店頭」から発想する

小串 御社の場合は、営業からマーケティングへ、どのような変革をされたのでしょうか。

井辻 我々の営業は極端にいえば、①自社製品を買いに来た人に自社製品を買っていただく、②他社製品を買いに来た人に自社製品を買っていただく、③何にしようかと買いに来た人に自社製品を買っていただく、という3種しかありません。その中で現在は、なぜそのお客様がその商品を手に取ったかを分析して、営業の中で活用するプロセスを重視しています。
2007年に現職に就いたとき、私が全社員に出したメッセージは「全ての活動は店頭につながる」というものでした。我々がお金を頂けるのは店頭だけなので、あるべき店頭を考えてから全ての活動をしてください、実現したい売り場をイメージし、絵を描き、このような売り場をつくってほしいと依頼してください、提案のプロセスはそれをもとに考えます、と。それにより、この提案であれば先方の社長に交渉、こちらの案件は本部長になど、どのようなプロセスで誰に話しにいくのか、具体的に提案方法を考えやすくなります。

小串 バックキャストで目的を実現させる方法論を、社内に浸透させたのですね。

井辻 たとえば、あるコンビニチェーンでは常温ドリンク用ラックを置いてもらっていますが、この提案のときは最初から先方の社長のところにラックを持っていき、「絶対に売れるから置かせて下さい」と話をいたしました。売り場起点でものを考え、「我々はこういうことを御社に提案して貢献したい」ということが、営業、販売の仕事だということです。
衣料品もそうです。このセーターを着るとこういう生活ができます、と提案すると楽しそうですよね。衣料メーカーが開発をすすめている、機能を付加した素材の衣料も、着ているだけで快適に過ごせるという目的を持った提案があったから成功したのだと思います。その商品がどのような価値をもたらすかを提案の中に入れなければ、買っていただくところにまで、つなげることができません。現在、苦戦しているところは、従来の方法論から離れられないのではないかと思います。

脳科学に基づくニューロマーケティング

小串 新しい方法論により、店頭でお客様自身がまだ気づいていない価値に気づいてもらうことは、大変なことでではないでしょうか。

井辻 それには先ほどの、なぜ、来店したお客様がそれを買うのかという調査研究が重要になります。買ったのはたまたま目についたからでしょうか、POPが目立ったからでしょうか。買った本人からも明快な答えは出てきません。そのため近年は脳科学の知見を盛り込んだ「ニューロマーケティング」の手法も取り入れています。
ニューロマーケティングとは、店頭の消費者の脳の反応や心拍数、表情、視線等をモニタリングし、潜在心理や行動の理由を科学的に解明し、マーケティングに活用する手法です。その人がそれを買った理由が科学的に理解できれば、その知見を売場づくりに反映させることで、お客様にとって価値ある購買体験ができる売場づくりができるのではないかと考えたのです。
世の中は、未だデフレスパイラルから抜けられていませんが、ニューロマーケティングに基づいた提案を行うことは、この閉塞的な状況から抜け出す一つの糸口になるかもしれません。このような新しい取り組みは我々だけがやるのではなく、業界の枠を超えて進めていくことで、世の中によい影響を与えることができるのではないかと考えています。

小串 記代 富士ゼロックス総合教育研究所
(現 パーソル総合研究所)
前代表取締役社長 小串 記代

小串 お客様の感情や心の領域を客観的に分析するのですね。ニューロマーケティングの方法論がこれからの核となる可能性があるのですね。具体的にはどのように応用しているのでしょうか。

井辻 コンビニエンスストアやスーパーの飲料ケース内では縦方向の陳列が認識されやすいため、売りたい商品を縦に重点的に陳列する、色彩は同系色でまとめた方が好まれるので商品をそのように配置する、最下段まで視線が行きにくいので、最下段に目立つPOPをつけて視線を下まで誘導するなど、さまざまな取り組みがあります。山積み陳列の方法や特売チラシのデザインにもニューロマーケティングの知見を生かしています。
ポイント制度では、どの方法に効果があるのかという知見はまだ充分に蓄積されておらず、研究が進められています。しかし、60ポイントと50ポイントなら、50ポイントの方が、消費者が手を出す率が高いということがわかっています。50ポイントは50円、硬貨1枚という感覚ですが、60ポイント=10円×6枚となると脳がお得感を認識しにくいようです。
日本では、これからマーケティングの重要性がますます高まってくるように思います。そんな中、我々はブランドマーケティングのようなかたちで顧客のお客様を集めてグループインタビューを行い、その会社(顧客)について思いを語っていただくようなこともしています。そういうマーケティングのプロセスを、顧客の皆様との関係性の中に会社として組み入れるようにしているのです。

顧客とともに「組織」をつくる

小串 顧客と一緒につくりあげていく、新しいビジネスのかたちですね。

井辻 会社というのは、たまたま同じオフィスで働いているだけでは、ただの「集団」にすぎません。同じ目標を共有することで初めて「組織」になるのです。強い会社は目標を共有して達成し、「また一緒に目標を達成しよう」という意識をもつことで、組織としてさらに強くなる。それにより社員の収入やポジションが上がり、皆も喜びを感じられます。
顧客との関係も同じです。我々が食品・飲料の売上や顧客満足度を上げるという目標を掲げても、そんなことは顧客には関係ありません。そこでは我々と顧客はただの「集団」です。しかし、お客様の食品売上構成比や顧客満足度を上げましょう、それはどのように測定しましょうか、こうすることでお店の利益はこう上がります、という話し合いや提案ができ、共通の目的をもつことができれば、両者は「組織」や「チーム」になり得るのです。もちろん、そこで本当に顧客の会社全体に影響を与えられるような提案ができなければ、パートナーとして認めてはいただけないですね。

小串 お客様との関係をつくるために、御社ではどのような組織をつくっていますか。

井辻 お客様を担当する部署にはマーケティングマネジャーを置いています。また、ショッパーマーケティングや販促を考えるチームもあり、皆がうまく絡み合うかたちで提案を進めています。
主要な提案をする際にはお客様に、当社まで来ていただいています。それにより、お客様2名に対して当社からは10名出席など、社内の専門部署の人材がフル活用できますし、1対1のときとは相手との関係性も変わってきます。全社でお客様との商談をするようになってから、業績にも良い影響が出ています。

小串 営業組織は将来、どのように変化していくと予想されますか。

井辻 脳波測定の技術やAIを使った分析など、これまでになかった科学的な知見を用いることで、ものを売る人-買う人という関係は変化し、将来的には営業職もなくなるのではないでしょうか。相手がマーケッターであれば、こちらもそうならなくてはなりませんし、価格交渉はAI同士が行うようになる可能性もあるでしょう。実際、アマゾンで販売している商品の価格は、周囲の価格を見ながら数分おきに変動していますね。あのようなことが将来一般化するとすれば、電話して客先に向かうようなビジネスモデルがいつまでも続くとは考えにくいでしょう。

これからの営業職に求められること

小串 営業は、激変する時代を色濃く反映する仕事ですね。変化の中で営業職が生き残っていくには、どのような点がポイントになると思われますか。

井辻 ものは人から買うものなので、人として魅力的かどうかということでしょう。車や服など、高価なものを購入するときは特に、商品が気に入っていても店員の応対が悪ければ購買に結びつきにくくなります。一方で、良い応対の店員だと買おうという気になりますね。そう考えると、営業力とは人間力、関係構築力といえると思います。販売テクニックも必要ですが、そもそも人として魅力を感じない相手とは関係を構築しようと思いませんし、基本的な関係もできていない相手とは信頼を築くこともできませんから、やはり人間力がベースです。販売テクニックと人間的魅力を兼ね備えた営業マンは、スーパー提案マンになれる可能性がありますね。

小串 新しい時代のセールスに携わる方々に、エールをお送りください。

井辻 我々は飲料・食品を販売していますが、販売するものが何であれ、お客様との関係を「集団」ではなく「組織」とすることと、そのための目標共有が大切なことに変わりありません。先方は何に困っているのか、自分たちの商品を通じて顧客の皆様に何をもたらすことができるのか。それらを考えることが大切です。
もはや個人で商売できる時代ではありません。商品はさまざまな場で複雑に複数の相手と絡み合い、その結果として店頭に置かれ、販売されています。ですから、会社全体で顧客とさまざまな接点を持ち、チームで複合的に機能してソリューション――販売部としてのではなく、会社としての――を提供していく必要があるのです。現在は、そのような顧客との適切な接点とはどういうものであるかを、経営レベルで考えていく時代だと思います。
そして、部下をお持ちの営業職の方にお伝えしたいのは、判断の選択肢は3つ以上、求めてほしいということです。私も部下からYes/Noの判断を求められることがありますが、必ず、3つ以上の選択肢を考えてもらうようにしていますし、自分自身でもそうしています。ものごとは「やる、やらない」の視点だけではなく、やるけれど、「部分的にすすめる」若しくは「かたちを変えてすすめる」といった、複数の選択肢があります。ビジネスでは、短い時間で数多くの判断が求められますが、二者択一ではなく、選択肢を3つ以上考えることで、人はものを考えるようになります。顧客の皆様から選ばれる、ソリューションパートナーになるためには、相手が気づいていないところにまで踏み込んで考える力が求められますが、この習慣はお客様への提案の際にも生きてくるのではないと思います。
これから世の中の変化はますます加速していきます。営業活動も進化していく中で、セールスに携わる皆さんが、自らを変えて行き、より高い成長に結び付けていってくれることを願っています。

小串 モノを売る時代が終わり、お客様と共創する営業活動がますます重要になっている今日、あらためて顧客関係性を考える多くの示唆をいただきました。科学的営業の重要性と同時に、その前提にはお客様に信頼される営業の全人的魅力がこれまで以上に求められるのですね。本日は貴重なお話をありがとうございました。

インタビューを終えて

井辻 秀剛 小串 記代

私の子供時代、コカ・コーラはアメリカの若者文化、新しいライフスタイルをイメージするものだった。初めてコーラを飲んだ時、アメリカの文化に触れたような気分になり“一歩先をいっている!”と感じたことを今でも覚えている。今回井辻社長のお話を伺いながら、時代を経て届けられる商品の背後にあるマーケティングの進化と営業のあり方の変化に触れさせていただいた。井辻社長の仕事・人生経験から発せられた言葉の一つひとつから、これからの営業のあり方のヒントをいただいた。お客さまの気づいていない価値や新たな視点(パースペクティブ)を提供することは、たやすいことではない。しかし、データサイエンス、脳科学の活用が発達し、科学を営業活動に効果的に活かすことで我々の想像を超える価値提案ができるようになる。そんな時代には、人間の行動の本質である信頼関係を築ける人間的魅力が、営業に求められる重要な要素になると確信した。全人的な存在を示す営業である。

富士ゼロックス総合教育研究所(現 パーソル総合研究所)
前代表取締役社長 小串 記代

取材日:2017年5月。所属・役職は取材当時のものです。

※富士ゼロックス総合教育研究所は、2019年7月パーソルラーニング株式会社に、
2021年4月株式会社パーソル総合研究所に社名変更しました。

人材開発・組織開発

PAGE TOP