パフォーマンスナビを活用して実務に活きる学びを。品質向上や業務効率化につながる研修プログラム
300名の従業員を抱えるマクセルクレハ株式会社様では、パーソル総合研究所の「パフォーマンスナビ」を5か年計画で実施中。社会人の基礎知識や管理職に求められる能力を、現場の従業員を含めた全社員が習得することを目指されています。
今回は、「パフォーマンスナビ」導入のきっかけや導入後の成果などを、人事総務部 部長の藤田様と事務局の篠原様にお伺いしました。
管理本部人事総務部長・津工場長 藤田行哉様
パフォーマンスナビ(当時は「楽習塾」)を導入した当時は、グループ会社の研修を受けていたのですが、グループの母体が変わって以来、社員教育が手薄になっていました。
何か手を打たなければと焦りながらも、体系的な社員教育制度をゼロから社内で作り上げるのは難しく、なかなか進まないと悩んでいたところに、「パフォーマンスナビ」との出会いがありました。
マクセルクレハの人事制度には、1級から10級までの等級があります。今回のセミナー1級から8級までの方を対象としており、パフォーマンスナビのカスタマーサクセスチームの方に、当社の等級や人事制度、研修対象者の雰囲気やレベルなどを詳しく伝え、対象者に合わせたカリキュラムを組んでもらっています。
各等級で何を学習すべきかを一覧にしてもらったので、誰が、何を学ばなければならないかということが一目瞭然になりました。等級ごとに研修プログラムを作り、一覧にするということはなかなか骨の折れる作業ですから、大変満足しています。
当社の社員数は約300名で、導入開始時に対象者は1年間50名とし、先ずは間接部門から選抜しました。今回で3年目になり、現場の方を30名ほど選抜しました。現場は土日の勤務や夜勤もあります。忙しい中業務時間を割き、どれだけ学習を促せるかということは、人事総務部としてのチャレンジでもありました。
マクセルクレハには複数の事業分野があり、技術や知識が多岐にわたります。また、現場や開発など、部署によっても仕事内容が異なるため、仕事が属人化しがちです。人員の流動性を高めるためにも、できる限り従業員の知識や技術の差をなくし、人事異動をしながら、深く幅広いスキルを身につけてほしいと考えています。
事業や部門ごとに必要な技術などは、各部署で手配してもらっていますが、社会人として必要な基本的なスキルなどは、人事総務部が主導し、パフォーマンスナビで体系的にカバーします。
現場の仕事でもエクセルやワードを活用する必要があるのですが、「パソコンを使ったことがない」という人も珍しくありません。業務の効率化を図るためにも、学ぶ場や練習の時間を会社側から提供する必要があると感じています。
管理本部人事総務部 篠原明美様
間接部門の人は自分のパソコンがありますし、自分でうまく時間を作りながら業務時間中に受講することができるのですが、現場従業員の場合は同じようにはいきません。各職場に共有パソコンはありますが作業に使用するものであり、また、簡単に仕事を離れることも難しい状況です。
現場の従業員がきちんと学べるよう、今年度はパソコンを6台購入しました。現場の人が研修を受ける時は、上司が代わりに現場に入ったり、業務時間前に出社して早出残業をしてもらったりすることもあります。
現場の人はメールアドレスを持っていなかったのですが、パーソルさんにダミーのメールアドレスを作ってもらい、スムーズに開始することができました。社内では篠原さんが事務局となり、皆の受講状況をつぶさにチェックし、滞っている人に受講を促したり、研修資料をダウンロードしたりするなどのサポートをしています。
受講者には学んだことや気づきを研修後2週間以内に受講報告シートにまとめ、上長を経由して人事に提出し、学習が惰性にならないような工夫もしています。
間接部門の人はパソコン操作に慣れているので、導入1年目に間接部門の人をアサインしたのは、スムーズな研修導入のためにも良い戦略でした。
マクセルクレハでは以前から、「QC活動(Quality Control:品質管理活動)」として年に一回、全社大会を開いています。社員がパワーポイントの資料を作り、各部署の仕事内容や取り組みなどをプレゼンテーションするのですが、2023年6月はちょうどこの準備時期に、パフォーマンスナビの「パワーポイント研修」がありました。
パワーポイントを使ったことがない人からは「基本操作が学べてよかった」という声があがったり、「もっと応用編も教えてほしい」というようなリクエストがあったりもしました。
業務改善前・改善後の現場写真をパワーポイントに貼って比較する資料などは、現場の課題を視覚化でき、改善活動にも生かすことができます。研修で学んだことが実際の業務に生かされ、業務効率化や品質向上に役立っていることを目にし、嬉しく思いました。
パソコン操作は、基本さえわかればあとは自分で調べて応用できますから、そのきっかけづくりができていることに意味があると感じています。
また、以前は上長がパソコンの操作方法を教えていたのですが、パフォーマンスナビを導入してからはそこに割く時間が減り、より重要な仕事に時間が使えていることも、組織力強化には重要な成果だと思います。
導入したころは、「現場から抜けづらいのですが、どうしても受けなければいけませんか?」とか、「なぜこんな勉強をしなければならないのか」というような声があったことは事実です。しかし今では、「学ぶ」という文化が定着し、そのような声も聞かれなくなりました。
任意で受けられるカリキュラムを自発的に受講している人もいますし、報告書も研修後すぐに提出するような、やる気に満ちた社員も見えてきました。
自分の好きな時間に学べるオンデマンド講座はもちろん、社外の人と一緒に学び、意見交換ができる「ライブ研修」も評判が良いようです。人によっては「他の会社の人とはレベルが違う気がする」「研修内容が難しい」という感想を持つ人もいますが、それも刺激になり、学びや気づきに繋がればと願っています。
・佐口 颯様 :2023年4月 新卒入社/設計部
・花輪 晃太郎様:入社5年目/製造部仕上げ課
・山中 翔太様 :入社18年目/人事総務部
ー今まで受けた研修で、印象に残っている内容をお聞かせください。
山中様:私が社外の人と学んだライブ研修のテーマは、「問題解決」でした。チーム分けをして議論をし、5分で意見をまとめる役割が与えられたのですが、慣れないということもあり、自分にとっては新しいチャレンジでした。
また、普段は社外の人と交流することがないので、良い刺激にもなりました。先生に質問したり、もう一度聞きたいところに戻ってもらったりできることも、ライブで学ぶメリットだと思います。
人事の仕事では、給与計算や月ごとの人員稼働報告など、エクセルを使うことが多くありますので、エクセルの学習は役に立っています。
佐口様:新入社員フォローアップ研修では、4人1組になって、仕事に対する考え方を学びました。一番印象に残っているのは、「3人のレンガ職人」の話です。
上司に命令されたから仕事をするのか、お金を稼ぐために仕事をするのか、「歴史に残る建物を建てるため」に働いているのか、というマインドの違いを初めて知り、考え方ひとつでここまで変わるんだということに目からうろこでした。
それ以来、仕事に対する考え方はもちろんのこと、家での洗濯や掃除など、一つ一つのことが違って見えるようになりました。
花輪様:パフォーマンスナビでエクセルを学ぶまでは、エクセルで何ができるのかを知らずにいましたが、今では大変便利に活用できています。
ライブ研修では「傾聴力」を学びました。傾聴力という概念を知って以来、上司から指示を受ける時は、上司が意図するところをしっかり考えるようになったり、自分の解釈が正しいかどうか、聞き返して再確認したりするようになりました。研修を受けるまでは、考えたこともなかったことです。
他社の人との交流もあり、全く話さない人がいたり、リーダーシップを取る人がいたり、色々なタイプの人がいるんだなと感じ、新鮮な気持ちになれました。
研修を受けるまで、パソコンはあまり使ったことがなかったのですが、エクセルの研修で「ショートカットキー」を学び、今までひとつずつタイピングしていた作業が自動化できることを知りました。小さなことかもしれませんが、毎日の作業時間が短縮でき、自分も楽になれたのは本当に良かったと思います。その後も、自分で応用の仕方を調べたりしながら、効率化を図ろうと工夫できるようになりました。
ー今後学んでみたいことを教えてください。
山中様:勤怠管理などにおいては、現場からくる情報には間違いがたくさんあるので、エクセルなどで自動的に間違いをチェックできるようになればいいなと思っています。自分のパソコンスキルが上達すれば、現場のミスを見つけてあげられることが増えるかもしれません。また、今後は社会保険に関する知識も学びたいと思っています。
花輪様:私は大勢の人の前で話すのが苦手なので、緊張しないで話せる方法を学んでみたいです。実務に直結しない学びでも、長い目で見れば、勉強時間を持つこと自体が大切なんだなと感じています。
佐口様:わたしは「好感の持てる話し方」を学んでみたいです。
勉強したことをいかせれば会社の発展に貢献できますし、効率よく仕事ができれば残業が少なくなり、自分の時間を大切にできるのもよいですね!
パフォーマンスナビ導入「5か年計画」のうち、2023年は3年目となります。全ての従業員に、同じ教育が行きわたることが目標です。
「傾聴力」や「段取り力」、「問題解決力強化研修」など、全員がこれらの基礎力をつけ、管理職になった時には「管理職のための戦略思考研修」や「事業戦略研修」などを体系的に受講し、より強い組織にしていきたいと思います。
パソコンのスキルも、ただ「操作ができる」というだけではなく、製品の不良率や歩留まりなどを数値化・可視化したりすることで、品質向上にも繋げられるよう、現場で応用・活用することを、これからも促進していきます。
パフォーマンスナビを「基礎学習」と位置づけ、全員が同じカリキュラムで学び、一定レベルを保つことが重要です。人事制度と研修制度を連動させ、全社員が活躍できるよう、人事総務部としてスキルアップの機会を提供し続けていきたいと思います。
(取材、記事作成:坂口やよい)
取材日:2023年9月 所属・役職は取材当時のものです。
業種:製造業
従業員数:約300名(取材当時)
https://www.kurehae.maxell.co.jp/ 2019年に名称を変更したマクセルクレハ株式会社(本社:大阪市中央区/代表取締役社長 西郷 政裕)は、1939年に「株式会社大興ゴム工業所」として創設された後、さまざまな企業との統合・提携を経て現在に至る。マクセルが提供していた電子製品やバッテリー関連分野と、クレハが提供していた化学製品や高性能プラスチック関連の専門分野が組み合わさり、ゴムシートや耐摩耗機材、繊機部品の製造販売を主な事業内容に据えながら、幅広い産業分野で事業を拡大。創業以来、技術を培ってきたゴムシートの分野では、環境を考慮した製品を提供し、エレクトロニクス業界や自動車業界などで顧客ニーズに応えている。