組織開発ワークショップで主任層の視野を広げ組織力強化

パナソニックSSサービス株式会社様

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パナソニックSSサービス株式会社
経営管理部 人事課
部長 磯田 弥寿雄様、主事 榎戸 英夫様

パナソニック コネクト株式会社が提供するビジネスと社会システム分野において、全国拠点から、迅速で的確な保守メンテナンスサービス、据付調整を提供しているパナソニックSSサービス株式会社。異なる拠点の社員とのディスカッションを通じて新たな気づきを得るとともに視野を広げ組織力の強化に結び付けることを目的に「組織開発ワークショップ」を実施。会社の置かれている状況が変わる中、現場の最前線にいる主任180名に向けた取り組みの狙いと効果について、事務局を務めた、磯田 弥寿雄部長、榎戸 英夫主事にお話を伺いました。

CONTENTS

  1. 「組織開発ワークショップ」を企画した狙いと背景について
  2. ワークショップ実施前後の受講者の変化について
  3. 今後取り組みたいこと、パーソルへの期待について

「組織開発ワークショップ」を企画した狙いと背景について

― 2022年9月から11月にわたり、主任180名を対象に「組織開発ワークショップ」を実施しました。その背景と狙いについて聞かせていただけますか?

磯田氏:会社を取り巻く環境が変わり、今年の初めに会社の方針及び体制を大きく変えました。これまでは、全国どこでも高品質なサービス提供を目指し、地域密着型で顧客対応をしてきました。しかし、顧客ニーズや課題が高度化するにつれて、ナレッジの蓄積や共有に課題が生じてきました。そこで現場でサービス対応を行っている者同士の横連携をより強化し、複雑な課題解決に対応できる自律的な組織へ変革することを目的に、「組織開発ワークショップ」の導入を決めました。

今回の取り組みは、業務の最前線で顧客と向き合う社員かつ、層が厚い主任を対象にしました。主任にはお客様先に出向き、修理や保守対応を円滑に行うとともに、後輩の指導も期待しています。主任は後輩の指導を担いつつ、先輩や管理職がいる中間層です。この最前線で活躍する主任がより高い視点を持って自分たちが何をすべきかという方向性を見出すための支援をしたいと考え、主任を対象に取り組むことにしました。

部長 磯田 弥寿雄様
部長 磯田 弥寿雄様

― 全3回×3時間に分けての取り組みを採用された狙いや実施に向けて工夫されたことはありますか?

磯田氏:当社は技術系の会社のため、これまでは技術教育が多かったのですが、経営層の意向を踏まえ、全社員に対してコミュニケーションをはじめとしたビジネススキルの向上にこれから取り組んでいこうと考えています。

今回の主任向けのワークショップがこの最初の取り組みにあたります。インプット型の研修を1回実施しただけでは、研修に満足して内容を忘れてしまいかねません。研修で学んだことを現場で実践して振り返り、研修での学びと実務でのアクションを結び付けたものにしたいと考え、パーソルさんのアドバイスのもと、3回構成のワークショップを行うことにしました。主任は日々、顧客に向き合って忙しく業務に取り組んでいますので、ワークショップで長時間拘束され、業務に支障が出ないように、各回3時間で行いました。また、同じ場所に集まって実施するには移動による時間の制約があります。このため、初めての試みでしたが、全員がアクセスできるTeamsを使うことにしました。

― 今回のワークショップでは、社長をはじめ役員の皆様が自らファシリテーターを務め進行を担当しました。こうしたことは他社では少なく、役員の皆様の現場に向き合っていこう、支援していこうという強い意志を感じました。事務局の皆様は、いかがでしたか。

磯田氏:弊社の業務は品質が大変重要ですので、経営層は最前線で働いている社員に対して、常に感謝しながら会社経営をしています。ちょうど会社の方針を変えたタイミングということもあり、経営層から「現場の率直な意見を聞きたい」という希望があり、ごく自然な流れでファシリテーターを担当してくれました。役員が現場の状況をもっと詳しく知りたい、現場をサポートして強い組織にしていきたいという意思の表れだったのだと思います。

ワークショップ実施前後の受講者の変化について

― 今回のワークショップでは、日々直面する目の前の課題ではなく、少し視点を上げ、「将来の環境変化に対応していくにあたっての自分自身の課題」を考えていただくものでした。現場での業務がお忙しいため「将来に向けて」という視点は持ちにくいのではないかとも思いましたが、皆さんスムーズに取り組んでいただきました。事務局として、手ごたえはいかがでしたか。(表1)

表1.ワークショップ全体像(3時間/回)

Day ワークショップテーマ
1 これまでの変化を捉える「仕事上の課題を捉える」
2 「これから」の概観 私たちに期待されていること
3 「これから」の活躍に向けた懸念、課題を考える

磯田氏:我々の想像以上に、社会や会社の変化を感じ、先を見据えて仕事に取り組んでいる様子が分かりました。大変心強く、誇りに思いました。主任のメンバーは日々プレッシャーの中で、各拠点で相談をしながらお客様対応を進めてくれています。物理的に拠点間が離れていることもあり、拠点を越えて相談したり課題解決に取り組んだりすることが難しい状況にあります。今回のワークショップを通じ、主任同士の横の連携が強まり、地域や拠点を越えた関係性を築くことがでたと考えています。こうしたことで、拠点を越えて相談できるようになり、選択肢が広がったことは社員の気持ちの上での安心安全の担保につながったと思います。

榎戸氏:各拠点では、課題に向き合って具体的な解決策を考えていても、忙しい日々の中で、考えている解決策に着手できるかというジレンマを抱えて業務に取り組んでいます。主任のメンバーそれぞれが日頃考えていること、悩んでいることを共有することができました。また、ワークショップを通じて一度立ち止まり、業務をどう進めていったら良いか、職場や自分自身を見つめなおす良い機会になったと思います。

榎戸 英夫様
主事 榎戸 英夫様

パーソル(永井):受講者の方々の発言を伺って、社会環境の変化や組織のあり方、自分たちの役割の変化を前向きに受け止めていらっしゃるように感じました。なんとなく頭の中で考えていたことを今回のワークショップで言葉にして伝え合い、お互い共感できることも沢山あったようでした。「職場の状況や立場の違いはあれども、何かを変えていかなければならない」という気持ちを受講者の皆さん同士で共有している場面が多くあったように思います。

磯田氏:技術会社なのでまじめで黙々と働くタイプが多い特徴があります。いきなり「グループディスカッションしてください」と言っても、「うまくいくのかな」と正直心配していましたが、皆、様々な意見をたくさん出してくれました。事務局側としては、こうした「伝え合う、共感しあう場」づくりの重要性に気がつくことができました。

榎戸氏:コミュニケーションという観点では、主任同士が組織の垣根を越えて、違う拠点の方同士と関わりが持てたことは非常に大きかったと感じています。また、普段の上司とのコミュニケーションでは、1on1がありますが、役員と接点はほとんどありません。今回ファシリテーターを役員が担当したことで、主任が役員との対話の機会を得て、身近に感じられるようになったのではないかと思います。会社としてのコミュニケーションの幅が広がったように感じています。

― パーソルには、全体の企画と一部のファシリテーターをご依頼頂きました。ご期待に対するパーソルの対応はいかがでしたか?

磯田氏:“主任が自ら考えて、物ごとを動き始めるきっかけを作りたい”と考えていたことに対して、ちょうど良いワークショップの企画提案をいただき、とても感謝しています。Teamsをうまく活用していただき、全国の拠点にいる主任が参加しやすいワークショップにもなったと思います。

榎戸氏:参加者の発言の様子からもワークショップを前向きに捉えてくれる方が多かったので、良かったと思います。同じ主任でも、主任経験の長い人や短い人が入り混じって、今後のことをどう考えているかを共有することは、お互いにとって良い刺激を受ける貴重な機会になったと思います。

磯田氏:パーソルさんに取り組んでいただいたことで特に大きかったのは、役員のサポートをしていただいたことです。役員がファシリテーションを進めるためのシナリオを緻密に作成していただきましたので、役員も短時間で効果的に準備を行うことができました。シナリオの中には主任に対して踏み込んだ質問もあったのですが、主任に投げかける内容を改めて考える機会にもなりました。どのようにメッセージを伝えたら良いかをじっくりと考え実践したことは、社員との接し方の理解を深める良い学びの機会にもなったのではないかと思います。

パーソル(永井):すべてのワークショップ終了後、役員、事務局の皆様との振り返りの際に、役員の方から「永井さんが純粋に質問していたのが参考になった」と言われたことが印象に残っています。私が外部の立場で入ることによって、役員の皆様に価値を提供できたとしたら、純粋に「質問すること」だったように思います。

磯田氏:「ファシリテーションの質問の仕方」は本当に大きな気づきになりました。役員は事業の状況を理解しているので、どうしても、つい一言を言いたくなってしまいます。今回のワークショップを通して、永井さんのように素直に話を聞かなければならないと感じたと思います。

今後取り組みたいこと、パーソルへの期待について

― 今回のようなお取り組みは社員同士の結び付きを強め、モチベーションを高める効果があったのではないでしょうか。こうした人材育成や組織開発に関する今後のお考えについてお聞かせください。

磯田氏:人材育成は、社員の年齢構成や人数など様々な点を考慮して長期スパンで取り組む必要があると思っています。ビジネススキルや階層別の研修の充実を考えています。昨年からパーソルさんに「次世代幹部研修」をご支援いただいていますが、今年は、育成プログラムを体系化し、継続的な幹部層の育成に取り組んでいきたいと考えています。

また、今回の主任を対象としたワークショップに強い手ごたえを感じていますので、来年は、1つ下の層の全国社員を対象に全体的な底上げを図りたいと考えています。これは上司と行う1on1とは性質が異なるものですし、同じ立場の社員同士、横串で自分が主役になれる場所が作れるという意味で大変有効な手段だと考えています。今後も継続的に取り組んでいきたいと思います。

― 最後にパーソルグループへの今後の期待について、ぜひお聞かせください。

磯田氏:パーソルさんとがっちり組んで、3年目になります。我々の会社がどのような会社なのか、より深く見えてきていると思います。そこを踏まえつつ、我々が気づかないことを客観的に指摘していただきサポートをお願いしたいと考えています。単に研修体系を作って終わりではなく、毎年見直しをかけながら時代環境に合わせた人材育成ができればと考えています。

榎戸氏:若い方々が前向きに社会や会社に貢献したい、貢献できていると感じられるよう、ぜひ一緒に考えながら研修を作っていければと思います。

インタビュー後記

パーソル総合研究所 人材開発コンサルタント 永井 扶実
パーソル総合研究所
人材開発コンサルタント
永井 扶実

「最近お世話になった役員がファシリテーターで、驚いた。」
はじめは、そんな声が事務局に届き、少しソワソワした様子の方も見受けられました。しかし、ワークショップを通じて様々な対話を重ねるうちに「遠い存在の役員」ではなく「将来を共に考え、語り掛けるファシリテーター」と認識されたのではないでしょうか。

主任の皆さんが、ともするとネガティブに捉えがちな”変化”をポジティブに捉えていらっしゃることを感じました。これからの変化に合わせて、仕事を前向きに変えていくとともに自らも変わり、組織の中で活躍していこうという強い気概を感じることができました。

さらに、今回のワークショップを通じて、それぞれの「気概」が繋がっていったのではないでしょうか。「拠点は離れていても、同じ方向性をもって働く仲間がいるんだ」「仲間との連帯を強めていこう」とお考えになったのではないかと思います。

こうしたワークショップには経営層、事務局の皆さんの想いが詰まっていました。
最前線で仕事を支え、主任に「考えて欲しいこと」「持っていて欲しい視点」「実践できるアクションのアイデア」。
忙しいからこそ、先を見つめて仕事に取り組んで欲しい、対話を通じて考えて欲しい、気づきを得て欲しいという期待がありました。
「どのように投げ掛けたら良いだろうか」「この言葉では強いのでは」「ニュアンスが少し違う」、経営層、事務局の皆さんとの試行錯誤は、私たちにとっても貴重なものでした。

社会環境変化に合わせて、大きく変わるパナソニックグループ。
現場のまさに最前線で仕事に取り組む皆さんの連帯を強め、熱量が高まっていったのではないでしょうか。

パナソニックSSサービス株式会社

業種:通信系電子機器他各種システム・ソフトウェアに関する設置・保守(定期点検)・修理・運用サポート
従業員数:約950名(2023年1月1日現在)

https://group.connect.panasonic.com/psss/

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