客観的かつ、定量的にみることで適切な人材発掘を実現
マニュライフ生命は、130年以上の歴史を持ち、カナダを本拠とする大手金融サービスグループ、マニュライフ・ファイナンシャル・コーポレーション(マニュライフ)のグループ企業です。プランライト・アドバイザー(自社営業職員)、金融機関、代理店の3つの販売チャネルを通じて、先進的な商品と質の高いサービスを提供しています。人生100年時代と言われ、生き方や働き方が多様化する現在において、皆さまが自ら積極的に行動して未来を切りひらいていくことを応援しています。
聞き手(弊社コンサルタント) ホーガンアセスメントを導入されたきっかけについて教えてください。
前田 マニュライフ生命は、本社がカナダ(トロント)にあるグローバル企業で、グループ全体でホーガンアセスメントを採用しています。もともとは、日本主導というよりは、カナダのマニュライフ本社から採用し、各国へ浸透していきました。当時はまだ、日本でサーティフィケーション(※アセスメントの認定者資格)がとれなかったので、私自身は、2013年にシンガポールに行き、サーティフィケーションを英語で取得しました。2016年以降は、弊社のタレントマネジメントの担当者は、日本の代理店である富士ゼロックス総合教育研究所(現 パーソル総合研究所)でサーティフィケーションを取得しています。
聞き手 ホーガンアセスメントはどのように活用されていますか?
前田 主に、3つの目的で活用しています。 1つは、ハイポテンシャルタレント層のリーダーシップ能力開発に使用しています。2つめは、トップマネジメント(日本の社長やリージョンのヘッドにレポートするラインレベル、グローバルトップエグゼクティブレベル)のリーダーシップ開発のために使用しています。3つめは、部長職以上の採用の際、最終面談のタイミングでリーダーシップ力のアセスメントとして使用しています。部長の面談は、私自身が行っています。アセスメントは、グローバルで統一したルールに基づき、同じ基準で使用しています。一番活用しているハイポテンシャルタレント層向けで特にお世話になっています。
現在、ハイポテンシャルタレント層向けでは、マニュライフグローバルとしてのコンピテンシーとホーガンアセスメントのクライテリアの相関のための紐付けも御社にしてもらっていますので、アセスメント結果を個々のディベロップメントに使うのと同時に、会社全体として、ハイポテンシャルタレント層をプールし、マニュライフとしての今の強みとどの部分の補強が必要なのか課題設定にとても役に立っています。
さらに、取り扱いの言語数が突出して多い点も魅力的でした。グローバル企業が日本でアセスメントを展開しようと思っても、日本語があるものとないものがあるのですが、日本語でアセスメントを受けられて、日本語でフィードバックが受けられて、結果も日本語で見られる、そして、まったく同じ条件で、グローバルで活用できる部分が、グローバル企業にとって、とても使いやすいです。グローバル企業の導入実績の多さも信頼性につながっています。
聞き手 やはり、多くのグローバル企業への導入実績は、評価されているポイントですね。
前田 ほかにもグローバルから出てきているもので、日本で採用している性格診断のようなものがあるのですが、日本語対応をしていても、日本での導入実績が少なかったり、グローバルでまだまだ認知度が低かったりするものもあります。一方、ホーガンアセスメントは、ホーガンといえば、知っている人も多く、共通言語で話せるところが、強みであり、ありがたいです。
聞き手 国内でも国外でもホーガンといえば通じるということですね。
前田 はい。当社には、マニュライフとして求めるサクセスプロファイル(成功するためのリーダーシップ像)があり、そこにいくつかコンピテンシーが書いてあります。実際に、御社のアセスメントのクライテリアだとどれですよ、というのが各セクション(インサイド、ブライトサイド、ダークサイド)ごとにすべて紐付けているので、人事と該当社員、上司と話す場合も、どこにフォーカスしてよいか非常に会話がしやすいです。
聞き手 部長様の場合、直接コーチングをされるということでしたが、その中でお感じになることはありますか?
前田 一言で言えば、説明しやすいです。各セクション(インサイド、ブライトサイド、ダークサイド)を順番に説明する中で、実際の該当する社員に対してあなたの価値観、強み、これからより伸ばせるエリアについて、全体のフレームワークと個々の結果をチャートで説明できるのでとてもフィードバックがしやすいです。本人も、自分で回答した結果が一目瞭然なので、説明をきいて納得してもらいやすいです。必ずしも100が良い、0が悪いというわけではなく、0なら0の解釈があり、100なら100の解釈があるので、その部分を説明しています。必ずしも数値が小さいから悪い、足りないというわけではないと最初に説明すると、数字について、納得して受け止めてくれます。実際に、その後の能力開発のアクションプランも自分事として計画しやすいので、ありがたいです。
聞き手 そうですね。タイプ診断とは違って、0か100で良し悪しがないという面では納得感があるということですよね。
前田 タイプ診断だと、タイプにとらわれてバイアスがかかりやすいのですが、ホーガンアセスメントの場合は、数値で示されるので、聞く人も納得しやすいのかもしれません。これまで結果を見て、そうじゃないと言われたことがないですし、私自身も数回受検し、ブリーフィングも社内外で受けているのですが、一貫性のある結果もでていますし、納得性があると受検した側としても感じています。また、ハイポテンシャルタレント層向けでは、実際にアセスメントに加えて、HOGAN360°もセットで実施しています。2つを併用することで、自己分析と他者分析の視点から多面的にフィードバックすることができ、効果が上がると思っています。今後、トップマネジメント層とハイポテンシャルタレント層向けのホーガンアセスメントにも、極力HOGAN360°と組み合わせで行うようにしたいと思っています。
聞き手 やはり実際の職場での行動と、さらに深堀してご自身のパーソナリティから見てみるというところですね。
前田 自身でスコアをつけるだけでなく、上司や同僚からのフィードバックも入るので、さらに落とし込みやすいですね。
聞き手 ダークサイドについては皆さんの反応はいかがですか?厳しい言葉、ネガティブな言葉が入っていますが、抵抗感なく受け止めていらっしゃいますか?
前田 ダークサイドの前に、本人がもっている価値観やパーソナリティのほうの説明をしているので、ダークサイドというネーミングのわりには、それほど気にはならないと思います。ただ、説明する際、強みやプラスの部分にフォーカスしてフィードバックを出すように注意していますので、そのような工夫次第で受け取り方も変わってくるのだと思いますし、きちんと回答していれば、ダークサイドは自分の思っている部分との大きな乖離は出にくいと思います。これは、長年のホーガンアセスメントのデータの蓄積と分析力によって生まれる、納得性かと思います。
聞き手 この2年、ハイポテンシャルタレント層向けでお世話になっていまして、その後、受検したメンバーがどのように現場で育っているのか、そのあたりについて感想があればお願いします。
前田 一つの変化として、メンバーのみならず、上司側の取り組みに変化がありました。これまでは、上司の主観で部下を見ていたのが、本人の数値として体系的にわかるので、さらに伸ばしてあげたい部分と課題が見えた段階で、ディベロップメントのプランがしやすく、実行に移しやすいと聞いています。また、上司もメンバーの課題がわかっているので、課題に応じて全社横断的なプロジェクトに参加する機会を提供するなど、部下へのかかわりが意識的に変化するようになりました。お互いに一つの結果を見て話し合っているので、前向きにエンゲージして取り組んでもらえる効果があります。今後もより多くの社員に受けてもらいたいです。
取材:2018年8月。所属・役職は取材当時のものです。
※富士ゼロックス総合教育研究所は、2019年7月パーソルラーニング株式会社に、
2021年4月株式会社パーソル総合研究所に社名変更しました。