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ジョブ型人事制度に関する企業実態調査

公開日:2021年6月25日(金) 

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調査概要

調査名 ジョブ型人事制度に関する企業実態調査
調査内容 ジョブ型人事制度に対する日本企業の検討状況・実態について明らかにするとともに、
経営に資する人的資源管理を実現する雇用制度の在り方について探索する。
調査対象 全国の就業者 20〜60歳男女 740名
企業規模300人以上の日本企業に勤める「経営・経営企画」「総務・人事」担当者
(係長〜経営者・役員の職位)で、自社の「人事戦略・企画」あるいは「人事管理」の動向を把握している者
*一次産業、行政関連サービス業、専門・技術サービス業、士業、学術研究関連業界は除く
調査対象年代別人数
調査時期 2020年 12月25日 – 2021年1月5日
調査方法 調査会社モニターを用いたインターネット定量調査
調査実施主体 株式会社パーソル総合研究所

※報告書内の構成比の数値は、小数点以下第2位を四捨五入しているため、個々の集計値の合計は必ずしも 100%とならない場合がある

調査報告書(全文)

調査結果(サマリ)

ジョブ型人事制度の導入状況とその理由

まず、ジョブ型人事制度(以下、ジョブ型)の導入状況や導入/非導入理由の実態を見た。

57.6 %が導入に前向き、28.5%は今後も導入しない

ジョブ型の導入状況・見通しをたずねたところ、57.6%が「導入済み」または「導入検討中(導入予定含む)」と回答。28.5%の企業は今後も「導入しない」意向を示した。

図1.ジョブ型に対する経営・人事の意識 

図1.ジョブ型に対する経営・人事の意識 

導入目的の多くは「従業員の成果に合わせて処遇の差をつけたい」

ジョブ型を導入済み、または導入検討中の企業に導入目的を聞くと、「従業員の成果に合わせて処遇の差をつけたい」が最も多く65.7%。2位は「戦略的な人材ポジションの採用力を強化したい」(55.9%)、3位は「従業員のスキル・能力の専門性を高めたい」(52.1%)と、いずれも半数以上の企業で挙げられた。

図2.ジョブ型の導入の目的・狙い(複数回答)

図2.ジョブ型の導入の目的・狙い(複数回答)

導入しない理由は「今の人事制度が自社のビジネスに適合的だから」が最多

一方で、ジョブ型を「導入しない方針」であると回答した企業に対し、その理由をたずねると、「今の人事制度が自社のビジネスに適合的だから」が57.3%と最も多かった。それ以降では、「導入のメリットよりもデメリットが多いと思うから」(31.8%)、「導入のノウハウや知識が無いから」(26.1%)となっている。

図3.ジョブ型を導入しない理由(複数回答)

図3.ジョブ型を導入しない理由(複数回答)

ジョブ型「導入済み/導入検討企業」と、「非導入志向企業」の違い

次に、人事制度や等級・賃金制度などにおいて、ジョブ型導入に意欲的な企業と、非導入志向の企業との間にどのような違いがあるのかを探った。

ジョブ型導入済み企業は、「職務給・役割給」を導入し、「脱・年功主義的」に運用

まず、「導入済み企業」にどのような特徴があるかを分析したところ、「職務給・役割給導入」の傾向が強く、「脱・年功主義的」な制度運用がなされていること、また「ほとんどの職務」に対して職務記述書を作成していることが分かった。なお、職務記述書の作成状況については、回答企業全体では「ほとんどの職務に対して作成」している企業が35.3%であるのに対し、ジョブ型導入済み企業では54.9%と20pt近く多くなっている。

図4.ジョブ型「導入済み企業」の特徴

図4.ジョブ型「導入済み企業」の特徴

図5.職務記述書の作成状況

図5.職務記述書の作成状況

ジョブ型を検討する企業は、「グローバル志向」かつ「デジタル化・IT化重視」

次に、未導入企業のうち、「導入を検討している企業(検討企業)」と「今後も導入しない方針である企業(非志向企業)」の特徴を比較したところ、下図の通り、検討企業はグローバル志向の傾向が強く、中途入社者の高い離職率に対する課題感があるほか、デジタル化・IT化を重視している特徴などが見られた。

図6.ジョブ型「検討企業」と「非志向企業」の特徴

図6.ジョブ型「検討企業」と「非志向企業」の特徴

人事制度の在り方と経営との関係性

では、人事制度の在り方は経営状態にどのような影響があるのだろうか。

「目標・処遇の透明性」「市場主義的な制度運用」の影響度は高い

まず、制度運用や等級/賃金制度にどのような特徴があれば経営状態が良好(※)なのか、その関係性を分析した。制度運用上の特徴では、「目標や処遇の透明性が高いこと」が特に大きな影響度を示していた。また、等級/賃金制度については、賃金を市場相場に応じて職務ごとに見直すといった「市場主義的な処遇」が、良好な経営状態に影響が大きいことが分かった。

※「経営状態が良好」な企業は、3年前と比較して売上高・利益率ともに増加。

図7.等級/賃金制度および制度運用の特徴と、経営状態との関係

図7.等級/賃金制度および制度運用の特徴と、経営状態との関係

さらに、「目標や処遇の透明性」「市場主義的な処遇」の関係を見てみると、目標、処遇に加え、キャリアの透明性がそれぞれ高い相関関係にあることが判明。また、これら3つの透明性が高い状態と、市場主義的な処遇が合わさることによって、経営状態に大きな影響を与えていることも分かった。

「目標、処遇、キャリアの透明性」「市場主義的な処遇」に寄与する人事施策

そこで、経営状態にプラスの影響力がある「目標、処遇、キャリアの透明性」や「市場主義的な処遇」に寄与する人事施策は何かを検討した。

「目標、処遇、キャリア」3つの透明性を高めるための人事施策

まず、「目標、処遇、キャリアの透明性」に寄与する人事施策は、本人の手挙げも含めた適正配置を目指すような配置施策や、目標・評価の社内公開、さらに能力給や職種別に賞与比率を変える処遇施策などが有効であることが分かった。

図8.「目標、処遇、キャリアの透明性」に寄与する人事施策

図8.「目標、処遇、キャリアの透明性」に寄与する人事施策

「市場主義的な処遇」に寄与する人事施策

「市場主義的な処遇」に寄与する人事施策については、「職務記述書の整備」が挙げられる。ただし、職務記述書の更新が5年に1度以下という低頻度の場合は、反対に市場主義的な処遇を抑制する影響が見られた。

図9.市場主義的処遇に寄与する人事施策

図9.市場主義的処遇に寄与する人事施策

人事制度を変えるときの障壁と打開のヒント

最後に、企業人事がいざ人事制度を変更しようとした際、組織内で障壁となるもの、またその打開策のヒントを探った。

最大の障壁は「経営層からの承認」、次いで「労働組合との交渉」

人事制度を変更しようとした際に障壁となるものは、「経営層からの承認」であり、次いで「労働組合との交渉」が挙がった。なお、企業規模別に見ると、これらを障壁とする割合は大企業ほど高くなっていた。

図10.人事制度変更の障壁 (複数回答・%)

図10.人事制度変更の障壁 (複数回答・%)

どのような人事部が、どの障壁にぶつかりやすいか

さらに、人事部の特徴によって、人事制度変更の際に障壁となるものに違いがあるのかを分析した。その結果、攻めより守りを重視するなど企画構想力が不足している人事部は、経営の承認を得るにあたり苦労する傾向がある。また、人事業務の多くを社外コンサルタントやアウトソーシングに頼っている人事部は、管理職やメンバー層からの強い抵抗がハードルになりやすい。さらに、人手や予算といったリソースの不足に悩む人事部では、労働組合との交渉を障壁に感じている傾向が強かった。人事部が持つ特徴は一朝一夕に変えられるものではないが、障壁を打開し、制度変更をよりスムーズに推し進めるためのひとつのヒントとして、ぜひ参考にしていただきたい。

※本調査を引用いただく際は出所を明示してください。
出所の記載例:パーソル総合研究所「ジョブ型人事制度に関する企業実態調査」

調査報告書(全文)

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