公開日:2019年6月4日(火)
調査名 | 就職活動と入社後の実態に関する定量調査 |
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調査内容 | 就活の行動・意識の実態/就活生の目指す「成長」のイメージ内容/ 入社後の成長・パフォーマンスの実態/入社後のリアリティ・ショックと就活時の活動の関係 など |
調査対象 | 合計サンプル数 1700人 〈共通条件〉居住地域:全国 年齢:18歳以上30歳未満 〈学生〉 900人 四年制大学生もしくは大学院生(博士課程は除外)・男女・学年均等割付 ※希望の卒業後進路に会社員(正社員)が含まれていない者は除外 〈社会人〉 800人 四年制大学もしくは大学院卒。就職活動をして正社員で就職した者 正社員 600人/ 就活後、初職の企業1-3年目の正社員 ※企業規模:不問 離職者 200人/ 就活後、正社員で入社したがその後3年以内に離職した人 ※現在の雇用形態 不問 |
調査時期 | 2019年2月22日~2019年2月25日 |
調査方法 | インターネット調査モニターを用いたインターネット定量調査 |
調査実施主体 | 株式会社パーソル総合研究所/パーソルキャリア株式会社「CAMP」 |
調査報告書(全文)
【2】入社後に感じる何らかのイメージギャップ「リアリティ・ショック」を抱える社会人は76.6%に及ぶ
【3】会社満足度は、内定承諾直後は同程度だが、「リアリティ・ショック」が高い群では低い群と比較して、その後大きく満足度が下がり、3年目まで満足している割合は約5分の1程度まで低下する
【4】「リアリティ・ショック」を防ぐには、会社への「入社前の会社・適性理解」をいかに高めるかが重要
図1.働くを「楽しみたい」と「楽しんでいる」実態のギャップと成長の重要度と成長感度のギャップ
働くことを楽しみたいと思っている学生が79.3%に及ぶのに対し、実際に楽しめている社会人(入社1~3年目)は35.3%に留まることが判明しました。この差は44.0ポイントと大きなギャップが存在しています。さらに、「いつも」働くことを楽しめている層はわずか5.8%しかおらず、1割に満たないことが分かりました。
また、仕事を通じて成長したいと思っていると回答した学生が86.2%もいるのに対し、成長を実感できている社会人は64.6%という結果になりました。
図2.リアリティ・ショックを受ける人の割合
図3.入社前のイメージと異なっていたこと
報酬・昇進・仕事のやりがい・働きやすさなど、入社前に抱いていた企業や組織に対する何らかのイメージと入社後のイメージとの乖離を感じる新社会人は76.6%と、約8割にも及びました。
「リアリティ・ショック」の具体的内容としては、「給料・報酬」「昇進・昇格のスピード」「仕事で与えられる裁量の程度」「仕事から得られる達成感」などが高くなっています。
図4.リアリティ・ショック高群の割合
【1】で述べた「成長実感が無い層」「働くことを楽しめていない層」、また、「3年以内離職者」は、総じて入社後の「リアリティ・ショック」が大きく、早期離職防止や入社後の成長の観点からも「リアリティ・ショック」をいかに防ぐかがポイントであると考えられます。
※業種・性別・大学偏差値などを統制した、3年以内離職を従属変数とした二項ロジスティクス回帰分析でも「リアリティ・ショック」の高さは有意に影響。
図5.リアリティ・ショック 低群・高群別 新卒入社企業に対する現在の満足度
入社前イメージとのギャップを分布に応じて高中低層に3分割して比較すると、高い群(リアリティ・ショック高群)は入社直後だけではなく、3年目まで中長期的に会社への満足度(非常に満足・満足・やや満足の回答割合の合計)が低くなっていました。内定承諾直後の満足度は同程度だが、入社3年目の時点でリアリティ・ショック高群は14.3%、低群は74.4%と、約60ポイントの大きな差が生まれています。
図6.リアリティ・ショックを防ぐ2つのポイント
入社前に、会社の風土や業績、求められるスキルや自分の適性など、事前の理解が進んでいた学生は、入社後の「リアリティ・ショック」が軽減されています。「入社前の会社・適性理解」を促進するには、以下の2つがポイントになることが明らかになりました。
Point.1)就職活動で「多くの人から話を聞くこと」「相談先の多さ」が「入社前の会社・適性理解」を促進している。
図7.リアリティ・ショック 高群の割合
図8.就職活動における相談先の数(種類)
「多くの意見を聞くほうが良い」という意識で就職活動をした学生は、「重要な人だけに絞って話を聞けば良い」と考えていた学生と比べ、入社後の「リアリティ・ショック」が低い傾向にあります。
就職活動における相談先(親、OB/OG、教授、志望企業の社員など)の数が多いほど、入社前の企業・適性の理解度合いが高くなっており、多くの人の意見を参照することで理解が促進されていることがうかがえます。
Point.2)将来のやりたい事の決定時期が遅いと、「リアリティ・ショック」「入社前の会社・適性理解」のいずれにもネガティブに影響している。自己学習や豊かな人間関係を築く意識が「やりたいこと」の決定を促す要因となっている。
図9.キャリアについての思考時間とリアリティ・ショックと入社前の会社・適正理解への影響
図10.リアリティ・ショック高群の割合
「将来のやりたいことが決定した時期」が遅いと、「リアリティ・ショック」「入社前の会社・適性理解」のいずれにもネガティブに影響しています。その一方で、就職活動の開始時期、キャリアを考え始めた時期には有意な影響は見られませんでした。
大学3年の冬には、約7割の学生が就職活動を開始していますが、在学中に将来のやりたいことが決まっている学生は8割程度で、就職活動生の19.4%はやりたいことを明確にしないまま活動を終えています。
図11.学生生活で最も重点を置いていたこと
図12.学生生活で時間をかけていた活動
大学3年の冬時点で、「やりたいこと」が決まっている学生とそうでない学生を比較すると、決まっている学生は、学生時代の重点として「資格取得」「勉強」「豊かな人間関係」に重きを置いていた人が多いことがわかりました。 また、具体的行動として、「授業とは関係のない勉強」「授業に関する勉強」「異性の友達との交際」も「やりたいこと」が決まっている学生に強く見られました。
図13.就活ルール変更について
図14.就活ルール変更における期待層と不安層の割合
新就職活動ルールを巡る議論について、2019年2月現在での大学1~2年生に意見を聴取したところ、「自分に関係がある」と思う人は65.5%と自分事に感じている一方で、「その内容を知っている」と答えた人は33.8%に留まり、議論の透明性の確保と周知の徹底が望まれます。
また、不安を感じている人も68.3%にのぼりました。期待を感じている層と不安を感じている層を比較すると、期待層は「新しい事業を自分で起こす機会に恵まれたい」「将来、独立したい」といった志向性が強く、不安層は「リストラが無い会社で働きたい」など、安定志向が強い学生が多い傾向が見られました。
※本調査を引用いただく際は出所を明示してください。
出所の記載例:パーソル総合研究所×CAMP「就職活動と入社後の実態に関する定量調査」
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