公開日 2015/05/21
女性の管理職に対するキャリア意識について、しばしば取り上げられるのが「ロールモデルの存在」である。過去にインテリジェンスHITO総研が実施した調査結果でも、女性管理職になりたくない理由として「ロールモデルの不在」が挙がっている。しかし、下図のように一口にロールモデルといっても様々なタイプがある。
図:ロールモデルのタイプ
出典:Gibson, Donald(2003)"Developing the Professional Self-Concept: Role Model Construals in Early, Middle, and Late Career Stages."Organization Science 14.5 を基に筆者作成
また、人はキャリアステージによって描くロールモデルのタイプを変えている。例えば、キャリアの初期段階におけるキーワードは「ポジティブ」「包括的」「遠い存在」「上位」である。つまり、自分とはかけ離れたある特定のモデルケースに憧れを抱き、その人のスキルや態度、行動まで包括的に真似しようとするという傾向である。一方、キャリアの中期以降におけるキーワードは「ネガティブ」「部分的」「遠い」「自分と同等または下位」だ。つまり、自分の身近にいる複数の人から、それぞれの良い点・悪い点を部分的に受け入れているという傾向である。
この研究結果から示唆されるのは、まず人がキャリアの初期段階に持つロールモデルは非常に限られた見方に基づいて形成されるものであるということである。特に、ある人のスキル・特徴・態度・行動を幅広くモデルにしたいという「包括的な見方」は、同性の管理職が少ない職場環境でキャリアをスタートせざるを得ない多くの女性にとってはなかなか持ちにくい。
そのため、キャリアの初期段階で「包括的なロールモデル」を追求するという発想を捨て、複数の身近な人から自分に取り入れられそうな点を「部分的」に見出し、学ぼうとする姿勢へと切り替えることが有効ではないだろうか。
※この記事は2015年3月に発行したHITO総研の機関紙別冊『HITO』~真の女性活躍推進に向けて~でまとめた記事を再編集したものです。
キャリアも働き方も異なる多様な女性管理職のキャリアについてインタビューを連載中です。
それぞれ立場や視点によって、取り入れたい部分も異なると思います。ぜひご覧ください。
http://doda.jp/woman/guide/hito/
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