公開日 2015/04/21
女性活躍推進の度合いを測る指標の1つが、女性の管理職比率。政府は、「2020年に指導的地位に占める女性の割合を30%にする」という目標を掲げているが、現状とのかい離は大きい。また企業が女性の管理職比率を上げようとしても、管理職への意向のある女性がそもそも少ないという声も多い。そこで今回、管理職になりたいと思っている女性はどのぐらいいるのか、また「なりたい」理由、「なりたくない」理由は何なのかについて調査した。
今回の調査では、管理職に「なりたくない」女性が75.6%と、圧倒的に多い結果となった。
その理由は、「自分には向いていないと思うから」が59.1%と、突出して多く、「長時間労働になりそうだから」(36.0%)、「責任が重くなるのがいやだから」(34.1%)と続いた。女性の管理職を増やそうとする場合、まずは自信を持ってもらうこと、そして必要以上に難易度の高さを感じさせないよう、期待する役割や管理職としての仕事の実態をきちんと伝えることが重要になりそうだ。
一方で、「なりたい」理由としては、「年収を上げたいから」が65.1%に上り、続いて「自分の影響範囲を広げたいから」(33.3%)、「より影響力の大きな仕事がしたいから」(31.0%)など、誰かに勧められたから、単に管理職に憧れているから、ということではなく、管理職の仕事そのものに向き合おうとする積極的な姿勢がうかがえる。
国や企業が女性管理職を増やそうとする中、女性のほとんどが「管理職になりたくない」と考えていることが分かった。「なりたくない」理由は、「自分には向いていないと思うから」。ここには女性たちが、「女性管理職="スーパーウーマン"」というイメージを持っていることが表れているのではないだろうか。女性管理職の数自体がまだ少ない中、管理職の女性たちが、どう仕事に向き合い、どんなことに悩み、失敗し、成長しているのか、直接話をするなど、具体的にイメージする機会がないのかもしれない。ひと言で女性管理職と言っても、考え方も働く環境も人それぞれ。より多くの「ロールモデル」を知ることが、女性たちの管理職意向のアップに繋がるかもしれない。
■調査概要
・調査名:女性の管理職意向調査
・調査主体:インテリジェンスHITO総合研究所
・調査対象者:全国の25~44歳の女性 1,058人
・調査期間:2015年1月24~25日
・調査方法:インターネット調査
※引用いただく際は出所を明示してください。
出所の記載例:パーソル総合研究所(旧インテリジェンスHITO総合研究所)「女性の管理職意向調査(2015)」
本記事はお役に立ちましたか?
前のコラム
はたらくソーシャル・リスニング/24年4月
女性管理職比率の現在地と依然遠い30%目標
学歴や職業にかかわらず、すべての女性が能力を発揮できる社会を実現するには──働く母親たちへの調査を通じて見えてきたこと
女性活躍のハードルは日本独特の昇進構造 ~遅い昇進、平等主義的選抜からの脱却~
女性の管理職への昇進を後押しする上司の働きかけとは
蔓延する女性活躍への「懐疑」と「抵抗」
女性の管理職昇進意欲を高める鍵は「管理職への両立支援」
女性活躍を阻む「管理職の罰ゲーム化」
女性活躍推進に関する定量調査
“小1以降の壁”を企業はどう考えるべきか?
ワーキングマザー調査
644万人の人手不足~4つの解決策の提言~(労働市場の未来推計2030)
特別号 HITO REPORT vol.4『労働市場の未来推計2030 ~644万人の人手不足~』
労働市場の未来推計 2030
「管理職になりたがらない女性」を「意欲が低い女性」と同一視してはいけない~時間や場所に縛られない職場が未来の管理職をつくる~
労働市場の今とこれから 第5回 女性活躍推進のいま
HITO vol.11『「両立」支援は誰のため? ~事業vs.育児 キャリアvs.育児?~』
7割が異動経験なし。でも異動経験者のほうが管理職意向が高い
女性管理職登用を阻む「就業時間の壁」
考えよう。女性のキャリアマネジメント
管理職に最もなりたい年代は「30代前半」
【覆面座談会】女性の活躍を阻むものは何か
女性管理職が「自らのキャリア」を切り拓くために
真の女性活躍推進に向けて
女性管理職のエピソードから導き出す「変えていく力」への近道
【女性1000人調査】女性管理職を増やすために今企業が行うべきこと
別冊HITO SPRING『真の女性活躍推進に向けて』
日本の職場における働きづらさの正体
follow us
メルマガ登録&SNSフォローで最新情報をチェック!