公開日 2016/06/15
日本の大手企業でマネジメント職を外部から採用する動きが目立ってきたが、残念ながら転職後に思うように活躍できていないケースもよく耳にする。
そこでインテリジェンスHITO総合研究所では、転職経験のあるマネジメント職400名を対象に実態調査を実施し、成功を実感できるような転職には何が影響しているのかを探った。まずは結果の概観を把握するため、転職後の自身の変化について「転職は成功だと思える」との設問に対し、「とてもあてはまる」「ややあてはまる」と答えた人を「成功実感あり層」、「全くあてはまらない」「あまりあてはまらない」と答えた人を「成功実感なし層」とし、入職前後で両者の回答傾向にどのような違いがあるのかを単純比較した。
まず、今回の調査の回答者全体のうち、自身の転職を成功だったと捉えている「成功実感あり層」と、成功とは捉えていない「成功実感なし層」がどれくらい存在するのかを示したのが下の円グラフだ。「成功実感あり層」は全体の45.8%と半分近くに上り、「成功実感なし層」は13.8%と1割強に留まった。
一方、「どちらともいえない」と回答した人も4割に上り、自身の転職を成功だったかどうか、ハッキリとは判定できない人も多い様子がうかがえる。
転職は成功だと思える
「転職する際、企業側から『募集の背景・目的』について説明がありましたか」との問いに対し、「説明があった」と答えた割合について、「成功実感あり層」は54.6%なのに対し、「成功実感なし層」は30.9%と20ポイント以上の開きがある。
さらに「説明なく、自分からも特に確認していない」についても、「成功実感あり層」が12.6%、「成功実感なし層」が34.5%で、ギャップが大きい。企業による募集の背景情報の提供と、説明がなければ転職者自ら確認に動くかどうかは、転職成否の捉え方に影響しているようだ。
転職する際、企業側から「募集の背景・目的」について説明がありましたか
転職先の企業規模別に見てみると、「成功実感あり層」が特に多くなるのは、300名未満の小規模企業、1,000名以上の大規模企業という結果であった。小規模企業は中規模以上の企業に比べて、組織全体に対する自分の仕事の影響度合いを実感しやすい。一方、大規模企業では中規模以下の企業に比べ、転職者を受け入れる仕組みが整っていることなどが要因として考えられる。
転職は成功だと思える
以上のように、マネジメント職の転職において、転職者自身がその転職を成功と捉えられているケースと、そうでないケースが生じている。
マネジメント職として採用するような人材は、前職で一定の成果や実績を積んできた人である。それにもかかわらず、転職後に転職を成功と思えないケースが生じてしまうことは、採用した企業にとっても、転職した本人にとっても残念なことだ。そのような事態を防ぐ手立てとして、この調査結果が示しているのは、企業による「募集の背景・目的」に関する説明が重要だということである。背景や目的が明確になることで、転職者は何に対して力を発揮すべきかが見えるため、貢献もしやすくなる。
これからマネジメント職を採用しようとしている企業は、今一度、転職者に対する情報提供の在り方を見直してみるとよさそうだ。一方、転職するマネジメント職の人は、企業からの情報提供がない場合、自分から情報獲得に動くことが、自身の転職を成功だったと思えるものにする第一歩になるかもしれない。
■調査概要
・調査名:マネジメント職の転職実態調査
・調査主体:インテリジェンスHITO総合研究所
・調査対象者:管理職から管理職へ転職し、その後現在も管理職の人 200名、管理職から一般メンバーへ転職し、その後現在は管理職の人 200名 計400名
・調査期間:2015年12月25日~ 27日
・調査方法:インターネット調査
※引用いただく際は出所を明示してください。
出所の記載例:パーソル総合研究所(旧インテリジェンスHITO総合研究所)「マネジメント職の転職実態調査(2015)」
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