公開日 2016/01/12
「エンゲージメント(Engagement)」のもともとの語源は「エンゲージ(engage)」であり、"婚約する"くらいお互いに尊敬し合い、愛着心を持っていることを指す。最近では「エンゲージメント(Engagement)」を、「愛着心」に基づく期待をはるかに超えた貢献行動という意味で使われることが多い。従ってエンゲージメントの今日的意味は「会社に対する愛着心と、より積極的な組織貢献行動」といえよう。そこには自発的に行動し、仕事に熱中する社員、仲間を信頼し合い、組織の成功のために一丸となるチーム意識を生み出す態度が一体となっている。エーオン・ヒューイット社では、社員の貢献意欲レベルを3Sと名付け、次のような行動で示している。
図.エーオン・ヒューイット社の社員の貢献意欲レベル3S
筆者が2008年に経営行動科学学会で発表した論文「日本企業と外資系企業におけるエンゲージメントのあり方」の中で明らかにした興味深い研究結果についてご紹介したい。
調査は日本企業とグローバル企業におけるエンゲージメント・ドライバーの相違点について明らかにすることを目的に、2007年9月~11月に当時ヒューイットアソシエイツ社(現エーオン・ヒューイット社)がインターネットで行った調査である。
調査の結果、まず日本企業のエンゲージメントスコアは25%と、他国と比べるとずばぬけて低いことがわかった。また日本企業の高エンゲージメント、低エンゲージメントともに雇用保障の平均値は4.5点以上(6点法)と高く、安住化傾向であった。これはエンゲージメントの高低が雇用保障の程度によるものではないことを示唆する結果である。
では、グローバル企業のエンゲージメントスコアの高さの特徴とは何か。属性別に見ると、マネジャー・社員・顧客のエンゲージメントスコアが高かった。また報酬、福利厚生、キャリア機会、トレーニング、仕事の与え方、WLB、職場環境の面でグローバル企業と日本企業の差が大きかった。
なぜグローバル企業の方がエンゲージメントスコアは高いのであろうか?
グローバル企業はマネジャーにマネジメントしやすいようにツールや手法、そしてその使い方を提供している。また、人事部門はビジネスパートナーとして、日々マネジャーの側にいてサポートしている。マネジャーは、自身のステークホルダーのエンゲージメントスコアが評価される。それだけではなく、スコアの改善について、ビジネスパートナーからコーチングを受ける機会まで用意されている。当然、福利厚生やキャリア機会などもエンゲージメント・ドライバーとしてKPI化され、評価の対象となっているので、それらの項目についても、社員が納得するように対話していかなければならない。
日本企業の人事部門もマネジャーの在り方を見つめ直し、施策を打っていく必要があるのではないだろうか。
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