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2018.11.26

サテライトオフィス導入企業にとってのメリットとデメリット
~5つの利用効果と3つの懸念点~

"サテライトオフィス2.0"は、企業にとってさまざまな効果が期待される一方で、導入の障壁となる懸念点も少なくない。そこで、導入時に具体的にどのような利用効果が生まれるのか、どのような利用の可能性があり得るのか、どのようなことが導入に際しての懸念点となるのかを探る。

自由時間の増加が社会に好影響をもたらす

サテライトオフィス2.0は企業に5つのメリットがあると私たちは考えている。

1つ目は「新たな働き手の獲得」だ。サテライトオフィスを導入すれば、未就学児の母親/就学児の母親/介護者/60歳以上のシニア層など、現在、さまざまな事情で働けていない人々の中から新たな雇用を創出できる。そこから優秀人材を発掘できる可能性もあり、企業にとって大きな意味があるだろう。また今後はサテライトオフィスをはじめとしたテレワーク導入の有無を気にする社会人や学生が増えるだろう。テレワーク導入をアピールすることで、優秀人材や優秀新卒者の獲得競争力を高めることができる。

2つ目に挙げられるのは「離職の抑制」である。サテライトオフィスが可能になれば、育児・介護など、従来なら離職してしまうタイミングで優れた人材を引き留めることができる。特に、出産時の離職率を低減できる効果は大きい。

3つ目は「生産性の向上」である。サテライトオフィスの導入によって、個人やチームの働き方が変化し、結果として生産性を高められる可能性がある。また、営業職が外出先で時間を有効活用できるようにもなる。

4つ目は「コスト削減」だ。たとえば、サテライトオフィス導入と同時に社員の固定席をなくし、席数を減らしてオフィスをフリーアドレスにすれば、賃料単価の高い都心オフィスの床面積を削減することができる。また、社員の通勤コストを削減することもできるだろう。

最後の5つ目は「災害時の事業継続性の向上」だ。災害が発生したとき、社員が比較的被害が少ない地域のサテライトオフィスに通勤することで、早く事業を再開できる可能性が高まる。

図1_サテライト機関誌_サテライトオフィス導入により期待できる効果.JPG

新規人材確保などさまざまな利用法があり得る

以上のメリットを踏まえて、企業によるいくつかの利用事例が想定できる。

1つ目に考えられるのは「新規人材確保」のために利用する事例だ。サテライトオフィスを定常的な勤務地として許容することで、既存のオフィスまで通えない人材なども採用の対象に含めることができ、獲得できる人材の幅が広がる可能性がある。

2つ目に、自由時間の増加が社会に好影響をもたらす新規人材確保などさまざまな利用法があり得る「既存社員」が利用する事例も増えるだろう。優秀人材の離職抑制、生産性の向上といった目的のために、既存社員がスポット拠点あるいは定常的な勤務地として利用することを促す企業が出てくるに違いない。

3つ目に「BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)」の受託企業がサテライトオフィスと契約して、その利用者を積極的に雇用し、委託企業の業務を行ってもらうケースも十分にあり得る。

企業のサテライトオフィス導入を阻む「懸念点」

とはいえ、このまま全面的にサテライトオフィスの導入が進むかと言えば、そうとは言いきれない。利用を躊躇させる3つの「懸念点」があるからだ。

1つ目は「モラルハザード」だ。オフィス外での業務となり、上司や他社員からの監視が減るため、社員が一生懸命に働かず、生産性が上がらない可能性がある。この点が気になって、導入に二の足を踏む企業は多いだろう。このリスクを防ぐには、何らかの方法で労働者の勤務状況を管理する必要がある。サテライトオフィスで働く社員に、勤務状況・勤務内容などを定期的にレポーティングさせる施策が効果的かもしれない。

2つ目は「帰属意識の低下」である。他の社員と顔を合わせ、話す機会が減少するため、企業に対する社員の帰属意識が低下する可能性がある。この問題を克服するには、定期的にチームや社員同士でコミュニケーションする場や仕組み、ルールを決める必要があるだろう。たとえば、ある企業では、Web会議システムを使用して、本社社員とサテライトオフィス勤務社員が合同で「朝会」を実施している。こうした施策を継続することが効果を発揮すると考えられる。

3つ目に「情報漏えいリスクの増大」がある。サテライトオフィスには多くの利用者が出入りするため、パソコン等の盗難により、企業の情報が漏えいするリスクが高まる。このリスクを減らすには、社員が使用するIT機器のセキュリティ環境を十分に整える必要がある。また、オフィス内をカメラで監視することにも一定の効果がありそうだ。さらに、個人情報をはじめ漏えいが許されない情報は、サテライトオフィスでは使わないといった慎重な情報管理体制も求められるだろう。

図2_サテライト機関誌_サテライトオフィス導入のリスク.JPG

※本記事は、機関誌『HITO REPORT』vol.02 「"サテライトオフィス2.0"の提言」からの抜粋です。
※文中の内容・肩書等はすべて発刊当時のものになります。

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