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レポート

2014.06.26

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ミドル世代はキャリアチェンジできるか?

キャリア ミドル・シニア

【HRサミット2014 登壇報告】
中堅・ミドル世代へのキャリアマネジメントとは
~働く人のキャリアと学び、そして人事部門が行うべきこと~

6月5日、HRプロ主催HRサミット2014に、当研究所主席研究員の須東朋広が登壇し、「中堅・ミドル世代へのキャリアマネジメントとは~働く人のキャリアと学び、そして人事部門が行うべきこと~」と題した講演を行いました。その内容をお伝えします。

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ルールが変わった、求められる人材も変わった

近年、あっという間にモデルチェンジしたり主役交代したりするデジタル商品ひとつを見ても分かるように、資本主義のルールは「つくれば売れる」時代から「売れるモノやコト」を創り出さねばならない時代へと突入しています。このような変化に伴い、企業が求める人材像も変化しています。例えば、与えられた仕事に対する処理が得意で、その達成に満足できる人材から、自ら社内外の課題を見つけ出して解決へと導くことができ、それにより仕事に対する達成感を得られる人材へ。そして、ある課題を解決するために社内外のネットワークが築ける人材へ。
こうした人材を創出すべく、政府も「雇用規制緩和」や「無期転換ルールと限定正社員制度」をはじめとした労働・雇用に関する議論を推し進めているのは、みなさんもご承知の通りでしょう。

さて、「売れるモノ・コト」を創れる人材を考える場合、もちろん若い発想も大事ですが、やはりある程度の職業人生を送り、様々な経験を積んできた中高年の活用が重要になります。我が国の経済成長を図るうえで、製造業などの成熟産業から環境・エネルギー、IT等の成長産業へと構造転換が求められるなか、中高年のキャリアチェンジと躍進はとても重要なカギになるといえます。

キャリアチェンジできる人、できない人

当社では、経済産業省が主導する「多様な『人活』支援サービス創出事業」を受託し(※リリース参照)、成熟産業においてスキルや経験を持つ中高年層に、成長分野で活躍いただくための研修やカウンセリングといった支援を行っています。その取り組みの中で、キャリアチェンジできる中高年の方には共通して、ある重要なポイントがあることが見えてきました。

1つには、仕事を通して学ぼうとし、自己やビジネスの理解を深めようとするような『キャリア意識』をきちんと持っていること。もう1つは、専門性や変化対応力、組織の課題設定力など社外でも通用するような『ポータブルスキル』を持ち、自分にはポータブルスキルがあるということを認識していることです。

なお、ポータブルスキルについては、専門知識や技能に加え、従来見える化できていなかった仕事のし方や人との関わり方などの要素も「現状把握」「課題設定」から「社内外への対応」「指導・育成」まで8カテゴリで抽出し、これを元にヒアリング・アセスメントを行いました。(hs.pdf

対して、キャリアチェンジが困難な人の共通点は、1つに、現状把握と課題設定ができないこと(図表1の赤枠部分)。特に大企業のマネジメント経験者に多いのが、経営企画や営業企画からすでに決まった目標と年間予算が割り振られ、その達成に向けた人員配置と予算割り振りだけを行ってきたケースです。これでは、現状把握や課題設定の力が身に付きづらい。もう1つが、その仕事が会社として重要かどうかという『組織観点』がなく、仕事の結果に対する責任意識が低い『他責』であることです。

【図表1】MIDDLE MATCH FRAME

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これらの結果から、中高年のキャリアチェンジを可能にするには、現状認識をする力や課題設定力を身につけ、責任を持ってビジネスを推進させる機会を与えることが重要であることが分かります。これは将来中高年になる若者に対しても、同様のことが言えるでしょう。

企業・個人・人事は何をすべきか

マネジメント経験者が多い中高年のキャリアチェンジを可能にするために、企業は、個人は、そして人事は、何をしなければならないのでしょうか。

まず、企業は「変化」を軸に組織構造を考えねばなりません。ビジネスに変化を生み出せる層は誰か。また、変化に対応する層の意識をまとめ、動機づけのできる人がマネジメント職に就いているかなどを見直す必要があるのです。

次に、マネジメント職にある個人は、数字だけを共通言語として関係者と会話していないかを振り返る必要があります。経営層には経営論や組織論、マーケテイング論などを使った経営言語で語り、メンバーには本人のステップアップを促すようなキャリア言語で語っているでしょうか。

【図表2】マネジャーとしての在り方
経営陣になれるマネジャーとなれないマネジャーの違い

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一方で、人事は変化を生み出す人材を正しく判断してマネジメント職に登用しているかを振り返りましょう。現場の慣れ合いで登用を推薦された人材に対し、疑問を持ちながらも承諾していないでしょうか。現場の人事にきちんと関与していくには、評価や育成の在り方も十分に考える必要があります。評価方法については、業績とバリューで評価するGEの例が参考になるのではないでしょうか。

以上のように、中高年層のキャリアチェンジは、一筋縄ではいかない課題です。しかし、経営を取り巻く環境の変化に合わせ、彼らのキャリアチェンジは必要不可欠といえるでしょう。ビジネスの根幹は「人」です。自社の中高年社員のキャリア、そして、ご自身がもし中高年に差し掛かっておられるならばご自身のキャリアについても、この機会に見つめ直してみてはいかがでしょうか。

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