HOMEコラム・レポート レポート 第4回 議事要旨『グローバル人事が担う3つの機能と役割』

レポート

2012.03.19

このエントリーをはてなブックマークに追加

第4回 議事要旨『グローバル人事が担う3つの機能と役割』

グローバル人事

<要旨>

本委員会では、これまで「人材マネジメントのコアとは何か?」について議論を重ね、人材マネジメントの機能(採用、育成、配置、処遇)におけるコア・スタイルが国籍以上にビジネスモデルや成熟度、外部労働市場環境などに規定されていることが明らかとなった。そこで今回、HRが担う機能についてコアとは何かを議論し、トランスナショナル企業になる上で、それらのコア機能が今後どのように進化すべきかをこれまで果たしてきた役割と比較しながら以下、検討した。

HR業務における3つのコア機能について

(1)ビジネスへの付加価値提供
(2)組織文化の醸成
(3)社員とのコミュニケーション

3つのHRコア機能が果たすべき新たな役割について

(1)ビジネスへの付加価値提供

【従来】アドミニストレーターとしての役割
労務関係や給与計算などルーティンな業務を行うアドミニストレーターとしての機能が主な役割であった。

【今後】ビジネスパートナーとしての役割
ビジネスをサポートするという意味でフィールドHRとしての役目が求められるようになってきた。さらに最近では、「将来的な事業戦略の実現に必要となる組織ケイパビリティとは何か」をプロアクティブに把握し、打ち手を実行するビジネスパートナーとしての役割が求められるようになってきた。戦略の実行主体というよりビジネスアジェンダのファシリテーターとして、ビジネスリーダーへのコーチング機能が求められている。
また、今「ベンチマーク」という考え方が注目され始めている。それは、社内だけに目を向けるのではなく、コストやヘッドカウントに関する競合他社のHR事例を調査し、より客観的な枠組みの中で、自社のHR機能のあり方を検討するという新しいアプローチである。

(2)組織文化の醸成

【従来】同質性を強化する組織文化
従来、HRは組織文化に対して果たしてきた役割とは、同質性を高め、組織としての一体感を醸成することであった。具体的には、慰安旅行や社内運動会など職場外や就業時間外などのインフォーマルな場を通じて行われることが多かった。

【今後】多様性に富む組織文化、学習する文化の醸成
従来の同質性を前提とした組織文化の醸成はトランスナショナル企業へと進化する上で足かせとなる。なぜなら、同質性はイノベーション創造の阻害要因となるためである。そこで多様性を受け入れる組織文化の醸成が必要になる。また組織としてのダイナミックケイパビリティを高める上で、学習する文化も重要になる。人事の仕組みをオープンにし、公正な競争原理の下で、社員の学習意欲を喚起させることは効果的な施策である。ただし、学習する文化は全てのレイヤーに当てはまる問題であり、上位層が学習しない組織から学習する文化は生まれないことを理解する必要がある。

(3)社員とのコミュニケーション

【従来】マスを対象にしたエンゲージメントの強化
上述した通り、主にインフォーマルなイベントを通じて、いかにエンゲージメントを高めるかが、社員とのコミュニケーションにおけるHR機能の課題であった。そこでは個別的なアプローチではなく、全社員を対象にした画一的なアプローチであることが特徴的である。

【今後】ハイキャリバー向けのリテンションとフォロワー向けのエンゲージメント
従来の画一的なエンゲージメント施策では、社員の確保と組織としての一体感の醸成を維持することが出来なくなった。そこで、コミュニケーションの対象をセグメント化し、それぞれに適したコミュニケーション手法をとることが重要と考えられるようになった。具体的には、ハイキャリバーに対しては、ネクストキャリアステップを可視化し、伝えることで効果的なリテンションに繋がる。一方、多数のフォロワーに対して、それぞれに個別対応的なリテンションマネジメントをすることは難しい。そのため、フォロワーに対しては、風通しのよい職場環境の整備などの施策を実施することが重要である。

これらの議論をD.ウルリッチ(1997)のフレームワークを参考に考えると以下のように整理することができる。

cm_gijiroku_04kai_01.jpg

トランスナショナル企業になる中で、HR機能におけるコア業務・ノンコア業務を切り分けることが重要である。コア業務はさらに本社HRで行うべき機能、ローカルHRで行うべき機能に整理され、またノンコア業務はアウトソーシング化されるべきではないだろうか。

今後の議論について

・トランスナショナル企業になるための鍵は「グローバル規模でいかにタレントマネジメントを実現できるか」にある。

・HR業務を本社・ローカル・アウトソーシングで具体的にどのように切り分け、また統合させていくのか。
└業務の切り分けと統合を行うにあたり、ビジネスモデルや企業成熟度、また業務の対象となるターゲット層(新卒/中途、コア人材/ノンコア人材、トップ/ミドル/ボトム...etc)はそれらにどう影響を与えるのか。

日時:2012年3月19日(月)18:30~21:00
場所:株式会社インテリジェンスHITO総合研究所 会議室
参加者:
早稲田大学 政治経済学術院 教授 白木三秀氏
コマツ 常務執行役員 日置政克氏
アジレント・テクノロジー株式会社 取締役 人事・総務部門長 島田智氏
株式会社日本総合研究所 調査部長 チーフエコノミスト 山田久氏
コーチジャパン ヴァイスプレジデント 人事部 島村隆志氏
株式会社インテリジェンスHITO総合研究所 主席研究員 須東朋広氏

事務局:
株式会社インテリジェンスHITO総合研究所 研究員 田中聡
株式会社インテリジェンスHITO総合研究所 研究員 森安亮介

※肩書きは当時のものです

関連コンテンツ

このエントリーをはてなブックマークに追加

【経営者・人事部向け】

パーソル総研 メルマガ

雇用や労働市場、人材マネジメント、キャリアなど 日々取り組んでいる調査・研究内容のレポートに加えて、
研究員やコンサルタント・講師のコラム、お得なセミナー・研修情報などをお届けします。

メルマガ詳細はこちら
PAGETOP
PAGETOP