HOMEコラム・レポート レポート 経営人材を創り続けるための仕掛けと仕組みの構築

レポート

2014.06.18

このエントリーをはてなブックマークに追加

経営人材を創り続けるための仕掛けと仕組みの構築

キャリア 組織開発

【HRサミット2014 登壇報告 vol.2】
経営人材を創り続けるための仕掛けと仕組みの構築
~戦略パートナーから戦略イノベーターへ~

前回に続き、HRプロ主催HRサミット2014にて、当研究所主席研究員の須東がモデレータを務めたシリーズ講演「経営に資する人事キャリアのつくり方」の様子をご報告します。
今回お伝えするのは、株式会社サイバーエージェント取締役 人事本部長の曽山哲人氏による講演「経営人材を創り続けるための仕掛けと仕組みの構築~戦略パートナーから戦略イノベーターへ~」です。

HRsummit_soyama-sudo_1.jpg

経営と現場に一貫性をもたせる=戦略人事

「戦略人事、戦略イノベーターとは何か。それは、経営と現場に一貫性を持たせることと定義しています」。講演冒頭、曽山氏はそう切り出しました。「今日のテーマである『経営人材を増やしたい』と経営側が言えば、それをわかりやすく現場に伝え、それに向けて社員が頑張ろうとする風土や仕掛けを作る。経営の言いたいことを、一貫性を持たせて現場につなげる、そして現場の声をまた一貫性を持たせて経営につなげる。そこに人事の付加価値があります」。

新規事業制度で経営人材を育てる「ジギョつく」「あした会議」

曽山氏はそこで、実際に経営人材を創るための実践例として、新規事業の数を増やす社内制度を2つ紹介しました。1つは、内定者から経営幹部まで参加可能な新規事業プランコンテスト「ジギョつく」。もう1つが、経営陣が自ら決議を持参する役員対抗の新事業バトル「あした会議」です。曽山氏は、2つの制度について実行時のポイントを次のように語りました。

「ジギョつく」については、"提案を出せば得になる"と社員に思わせることを特に意識しています。優勝賞金100万円は言わずもがなですが、役員プレゼンができ、かつ役員から質問を受けることが参加者の学びになること、応募すればするほど人事上の抜擢機会につながることなど、社員自身のキャリアにプラスになるよう仕組みを工夫しています。また、制度浸透のために、提案募集時には人事社員が現場へ足を運び、対面で提案を呼びかけているといいます。

「あした会議」については、役員が4名の社員を指名してチームを作るルールで、かつ提案できる決議案は他部署の業務に限られているため、部署を跨いだつながりと他部署の業務への関心・知識が自然に醸成される仕組みとなっています。また、提案後すぐに社長を交えて再考ポイントを話し合い、その日のうちに再提案もできるため、経営者の視座に触れる貴重な経験にもなっています。

挑戦と安心はセットで考える

HRsummit_soyama-225x300.jpg
株式会社サイバーエージェント
取締役 人材本部長 曽山哲人 氏

こうした意欲的な社内制度の実践によって、同社ではスマホ広告会社である株式会社CyberZ(サイバーゼット)やスマホゲーム事業を手掛ける株式会社サムザップをはじめ、3年で計25社の子会社を新設するなど、経営への貢献が結果として目に見える形で表れています。また、子会社の経営に新卒入社社員が42名も携わっているなど、経営人材育成にも寄与しています。

このように攻めの制度によって華々しい結果を生んでいる同社の取り組みですが、一方で、社内異動公募や社内ヘッドハンティング、妊活休暇、毎年5日間の特別休暇付与といった「安心」を提供するセーフティネットも用意しています。「『挑戦』と『安心』、どちらが欠けても社員は離れてしまう」。そのため、曽山氏は「挑戦」と「安心」のフレームワークを使って人事制度設計を行っています。


経営と現場に信頼される人事になるために

経営と現場に一貫性をもたせることを人事の最大の役目と置き、精力的に活動する曽山氏。組織作りをするうえで、経営と社員に信頼されるための要諦が3つあると言います。

まずは「成果の定義」です。曽山氏は、人事の最優先事項として「常に経営の期待に"満願回答"することを意識している」と強調します。その際、重要になるのが、何ができれば"満願回答"したことになるのかを明らかにすることです。人事の取り組みは数値だけで表せないことも往々にしてあります。そのため、1つの工夫として、上司の褒めゼリフを目標として設定する考え方を発案し導入しています。例えば「ジギョつく」で、応募数は少なくても、「今回の『ジギョつく』よかった。新規事業が2~3個作れそうだね」と社長が言ってくれれば「成果アリ」と判断するような定性情報の定量化の手法です。

成果が決まれば、それを現場に伝える「経営と現場の通訳なること」が大事になります。曽山氏は、月に8回は社員とランチを設けて経営・人事側の意図を伝えたり、同時に「困ったことはないか」と現場の声や微かな空気感を把握するよう努めたりしているといいます。

そして最後に、実際に人事制度などを実行していくうえで重視していることが、「運用に時間をかけること」。例えば、先述のような新規事業提案の制度を計画する場合、企画ではなく、運用の成功イメージを持つことに8割の時間をかけます。運用段階で社員が"シラケ"てしまわないように、十分に気遣って実行することで、今回紹介したような結果を生める制度運用になるのです。

HRsummit_soyama-sudo_2.jpg

経営と現場、両方の考えや状況を熟知し、経営の意図をスムーズに運ばせる存在であること。サイバーエージェントの取り組みには、戦略人事になるためのヒントが多く含まれていました。

関連コンテンツ

このエントリーをはてなブックマークに追加

【経営者・人事部向け】

パーソル総研 メルマガ

雇用や労働市場、人材マネジメント、キャリアなど 日々取り組んでいる調査・研究内容のレポートに加えて、
研究員やコンサルタント・講師のコラム、お得なセミナー・研修情報などをお届けします。

メルマガ詳細はこちら
PAGETOP
PAGETOP