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レポート

2012.11.30

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【第3回HITOフォーラム「ミドルの未来」】 『これからの企業組織で求められるミドルマネジメントのあり方とは』

ミドル・シニア

第1部ではミドルに求められる役割の変化について、日本のマクロ環境から概観しました。
第2部では企業組織の変化を踏まえた上で、求められるマネジメントの在り方やそれを実現するミドルマネジャーの育成の在り方について議論いたしました。

【第2部】『これからの企業組織で求められるミドルマネジメントのあり方とは』

≪パネリスト≫
一橋大学大学院 商学研究科 教授 守島 基博 氏
日本電気株式会社 コーポレートコミュニケーション部シニアマネージャー(企画統括)
中島 英幸 氏
ディー・エイチ・エル・ジャパン株式会社 人事本部オーガニゼーションディベロップメントマネジャー 牛島 仁 氏
グリー株式会社 ヒューマンリソース本部 本部長  中西一統 氏
≪ファシリテーター≫
マーサージャパン株式会社 代表取締役社長 古森 剛 氏

階層型組織から自律型組織へ:ミドルの役割を変える組織モデルの変化

右肩上がりの成長が続く"作れば売れる"時代であれは、トップダウンで決められた戦略に従って行動する「階層型組織」が有効に機能しました。しかし、競争激化に伴い戦略立案が難しくなったことで現場の重要性が増してきました。また、イノベーションが競争力の源泉になったことで現場の革新や知識創造が戦略の中核になってきています。
そうした中で有効な組織モデルも「階層型組織」から、顧客ニーズを現場が取り込み、新しい付加価値を現場自身が戦略に主体的に取り込んでいくような「自律型組織」へ変化してきました。

組織モデルの変化によって、求められるマネジメントスタイルも変化しています。「階層型組織」であれば業務や情報の交通整理をするようなミドルマネジャーが有用でした。しかし、「自律型組織」においては、服従や忠誠ではなく自律や挑戦が求められ、ミドルマネジャーには自ら付加価値を生み出すような価値発揮が求められています。

求められるミドルマネジャー像は「現場経営者としてのミドル」

そうしたミドルマネジャーの役割変化を人事はどう捉えているのでしょうか。
フォーラムではファシリテーターの古森様より、「ミドルマネジャーの期待値の変化を一言で言うならば何でしょうか?」と問いかけがなされました。

これに対し各パネリストの方々からは、
・「多様な視点を持ち、仲間と連携しながら行動・成長できる人材。」(中島氏)
・「変化に柔軟に対応しながら常に学び続ける人材。」(牛島氏)
・「教える人材・率いる人材ではなくて、常に学び組織から主体性や組織のゴールを引き出せるような人材」(中西氏)
といった回答がされました。

そうした回答を受け、守島先生は
「今までは、若いときには成長が、マネジャーには成果が求められていた。しかし、今のミドルマネジャーは、成果を出しながらも絶えず成長し続けることが求められている」と総括されました。

さらに、ミドルマネジャーが持つべき要素として、一昔前であれば経営者に求められていたような下記3つの要素が今のミドルに求められていることから「現場経営者としてのミドル」像を主張されました。

【ミドルマネジャーが持つべき3つの要素】
①自律性:プロフェッショナルとしての専門性と自分が成し得たい目的意識・アイディアを自身で持つこと。
②人の心の結集:理念や人的魅力で周囲をひきつけるようなリーダーシップ
③組織力:上記②のような魅力だけでなく、合理的に組織を作りこんでいく力。また必要に応じて組織開発や変革を行なっていく力

人事機能が果たすべき役割

hito_forum3_pt1_2_01.jpgでは、そういったミドルを生み出すためにどうすれば良いのでしょうか?人事機能の果たすべき役割とは何なのでしょうか?
フォーラムでは下記2点に焦点が当てられました。

1.意識変革

第1部でもミドル世代一人一人がキャリア意識を持つ重要性が議論されました。ミドルマネジャーに対しても、まずはマインドを変えることが第一歩となります。

・役割期待の明確化

ミドルマネジャーの意識を変えるために、必要なのは役割期待の明確化です。現在ミドルマネジャーには、リーダーシップの発揮やプレイングマネジャー、後進の育成、高い専門性、イノベーション...など多くの役割が求められていると言われています。しかし、そういった要素が本当に全員のミドルマネジャーに求められているのか今一度考える必要があるのではないでしょうか。個々のマネジャーに求められる役割は個別化・多様化しているにも関わらず、企業側が"マネジャー"を一様に捉え、一般的な役割期待だけを伝えている場合、ミドルマネジャー自身の自己認知を妨げている恐れがあるためです。

・内省機会の提供

hito_forum3_pt1_2_02.jpg次に、内省の機会を提供することです。内省の機会を与える例として牛島氏からは人材棚卸のような会議(部長クラスが部下である課長・係長クラス1人1人の強みや改善課題について話し合う会議)で出た結果を本人1人1人にフィードバックをする例が紹介されました。また、「私が会社を変えるんですか?」でも著名な中島氏からは、対話による内省機会の提供例が紹介されました。これは組織の枠を超えたサードプレイス的な対話の場を設けることで、多くのミドルが周囲との対話や自分との対話を経験し、自らの想いを見つめ直す機会になったといった例です。

こうした意識変革を人事が行う際、人事が気を付けないといけないポイントは「制度から着手してはいけない」という点です。
「人事企画などのポジションにいると、目に見えやすい人事制度改革につい着手したくなります。これは人事自身も上から評価されるという要因もあります。しかし、制度などの押しつけは現場の反発を招き、むしろ意識改革を後退させてしまいます。氷山の下を揺さぶるには、社員を巻き込んだムーブメントを一緒に作り出していくような姿勢が求められます」という中島氏の発言にパネリストの方々は大きく共感されていました。

人事が一方的に押し付けるのではなく、双方向性や自主性の喚起を意識した姿勢で臨む必要があります。中島氏は「今までは施策の説明に100%注力していた。しかし今は、説明は20%くらいにして、残り80%は質問を聞いたり声を吸い上げることに注力している」という例をお話頂きました。また、中西氏からは社内SNSを導入し、社員一人一人の不満や要望の声を吸い上げた事例も共有されました。

2.変化対応力と継続学習能力を醸成するためのサポート

hito_forum3_pt1_2_03.jpg上記のような意識改革に加えて、次に課題になってくるのが「"自分は次に何を学ぶべきか"を学ぶ機会がない」(牛島氏)ことです。一昔前であれば過去培ったスキルや経験はそのまま活用できました。しかし、顧客ニーズや競争環境が変化し続ける環境にあっては、現場のマネジャーが専門性を持ちながらも、変化に対応し、時にはその専門性を捨てて学び直すようなことも必要です。

こうした変化対応力と継続学習能力を養うための施策として、
・高いストレッチ目標をあえて与えて続けること
・(学ぶべきものに本人が気付くための)フィードバックやコーチング
・外部交流の推奨や意識的に他流試合の場の用意
などが挙げられました。

しかし、ここでも問われるのは人事が持つべきスタンスです。中西氏からは「変わるのが当たり前という文化を創る上で、まず人事自身が挑戦し、変わり続けていくこと」が、牛島氏からは「仕掛け続けること」の重要性が指摘されました。人事自身も色々な仕掛けにチャレンジし、社員の反応をみてダメだったら変えていくといった姿勢が求めれます。また、研修等に注力するのではなく、いかに日々の業務の中に組み込むかということがポイントになってきます。

以上のように、第二部ではミドルマネジャーの役割やその育成について議論いたしました。
古森様の「育成のための要素や枠組みは決して新規性があるものではなく、至ってシンプルで普遍的なもの。ポイントは得てしてやり方の工夫と継続性、そして仕掛ける側のスタンスにあるのではないでしょうか。」というメッセージには会場の多くが共感を呼んでいました。
組織をコントロールするのではなく"場"創りを意識すること。また、その"場"自体も、環境の変化によって変えていくような柔軟性やダイナミックさを人事自体が持ち挑戦を続けること。以上のような人事の姿勢が問われているのではないでしょうか。

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