HOMEコラム・レポート レポート 第2回 議事要旨『ミドルマネジャーの変化対応力をいかにして養うか』

レポート

2012.08.07

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第2回 議事要旨『ミドルマネジャーの変化対応力をいかにして養うか』

ミドル・シニア

ミドル世代を取り巻く課題の1つとして、環境変化にも対応して自らの専門性を磨き続け、価値を発揮する変化対応力の欠如が挙げられる。この変化対応力の欠如は、個人にとってはエンプロイアビリティの低下を招き、組織にとっては市場の変化に適応できない問題を引き起こす。
ミドル世代のミドルマネジャーが変化対応力を身に付け、より活躍するためには何が課題なのだろうか?また企業や個人はどうすれば良いのだろうか?

1.個々のマネジャーに対する役割期待を明確にする。

本委員会でまず議論に上がった問題は、「企業がミドルマネジャーの役割を一様に捉えてしまっている」という点である。現在、マネジャーには、リーダーシップの発揮やプレイングマネジャー、後進の育成、高い専門性、そしてイノベーションなど多くの役割が求められている。(※注1) しかし、これら全ての役割が1人のマネジャーに期待されているわけではない。ビジネスの現場において、個々のマネジャーに求められる役割は個別化・多様化しているにも関わらず、企業側が"マネジャー"を一様に捉え、一般的な役割期待だけを持ったままとなっているのではないだろうか。例えば、既存事業で与えられた課題をこなすマネジャーと、組織にイノベーションを起こすマネジャーとでは、求められる役割期待やHRの課題は大きく異なる。まずは個々のマネジャーに対する役割期待を明確にすることがマネジャーの成長を図る上での第一歩となる。
本委員会では、マネジャーの役割を下記図のような4タイプに分けて議論を行なった。これは、与えられた課題をこなす課題解決型か自ら課題を見出す課題設定型かという横軸と、変革型か継続型かという縦軸の2軸で分類している。各々、①自ら課題を見出し、変革をもたらすイノベーティブマネジャー②与えられた課題の中で変革をもたらす変革型マネジャー③与えられた課題を安定的にこなすオペレーショナルマネジャー④自ら課題を設定し、改善を図る改善型マネジャーと名付けている。

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このうち、イノベーティブマネジャーは新規事業の創造や革新的な商品の開発、マーケティング、組織変革などが求められる。独創性や構想力を持つ彼らは計画的な育成が困難であり希少性が高い。また、厳格な管理や減点主義的な制度下では強みを最大限に発揮できない場合が多い。従って、「自由度を保ちながらも、いかにして自社へのエンゲージメントを高めるか?」が企業の課題となろう。平時にはコストにもなり得るため、その制約とのバランスも図る必要もある。
一方、オペレーショナルマネジャーはどうだろうか。創造性や革新性が尊ばれる昨今の風潮では、オペレーション型のマネジャーは軽視される傾向にある。しかしながら既存事業を支えているのはこのオペレーショナルマネジャーであり、彼らの弱体化は企業の競争力低下を意味する。企業は、彼らを底上げするとともに、ぬるま湯化やタコツボ化が起こらないように適度に刺激や気付きを与える必要があろう。

2.マネジャーに内省を促し、変化対応力を養う。

ぬるま湯化やタコツボ化を防ぐために必要なのは、個々のマネジャーが現状に甘んじることなく、高いストレッチ目標や内発的動機を持つことである。そのために、企業は直接的に気付きを与えたり、気付きが生まれやすいような環境を生み出すことがそのサポートにつながる。
直接的に気付きを与える例としては、キャリア教育のほか、組織ニーズをしっかりと伝えることも有効であろう。とある企業では新任課長研修において「今いる新任課長のうち、3分の1は将来、部長か役員になります。3分の1は課長のままです。そして残り3分の1は辞めて頂くことになります。」というメッセージをしっかりと伝えている。ポスト数など人員構成上の客観的事実を知ることで、個人の危機意識が芽生え、個々人が自らストレッチ目標を持つようになるという。
また、あえて適度なストレスをかけ続けることも求められる。成長機会や育成機会の提供のほか、採用・離職などといった適切な新陳代謝や配置転換など、組織にゆらぎを与えることがそれに当たる。異質なものとの接触や緊張感、後進の育成などが個人に内省を促すきっかけとなる。上記のような内省を通して、個人には、環境変化に対応する変化対応力を養うことが求められる。
結果として、ただ与えられた課題に対応するだけであったオペレーショナルマネジャーが、自らの価値観や志を見出すことで、自ら課題を設定する改善型マネジャーに変容したり、自らのマインドセットが変化し変革を志す変革型マネジャーに変わっていかなくてはならない。既存事業を支えるオペレーショナルマネジャーには次世代マネジャー候補からの登用を促し、そして彼らがまた成長し、変革型マネジャーや改善型マネジャーの役割を担っていく。これが企業内労働市場における健全な労働移動であり、企業競争力の高い学習する組織と言えるだろう。

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本委員会では、自らのキャリアを考える際、自分のピークと職種のピークの両方の視点を持つことの重要性が挙げられた。例えば、自分が職業人生でピークを迎える時期にその業種や職種の活躍の場がインドやベトナムにあるのであれば、今のうちにその準備をしておく必要性が見えてくる。自分自身や環境の将来を洞察する力がポイントとなる。他方で、不確実性の高い現代では将来が見通せないということもある。「マネジャーになってもあぐらをかかず、専門性を磨き、いつでも現場に戻る準備をしておく」。そうした意識をマネジャー自身に根付かせるような文化醸成や学習する組織としての仕組み作りが個人にとっても企業にとっても大切となってくる。

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日時:2012年8月7日(火)18:30~21:00
場所:株式会社インテリジェンスHITO総合研究所 会議室
参加者:
法政大学大学院政策創造研究科 教授 諏訪康雄氏
株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ 執行役員人事部長 工代将章氏
経済産業省 大臣官房秘書課 総括補佐 梶川文博氏
日本電気株式会社 コーポレートコミュニケーション部
広報統括マネージャー 中島英幸氏
グリー株式会社 ヒューマンリソース本部長 中西一統氏
株式会社インテリジェンス 取締役兼専務執行役員 小澤稔弘
株式会社インテリジェンスHITO総合研究所 主席研究員 須東朋広

事務局:
株式会社インテリジェンスHITO総合研究所 研究員 田中 聡
株式会社インテリジェンスHITO総合研究所 研究員 森安 亮介

※肩書きは当時のものです

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