HOMEコラム・レポート レポート 【第2回HITOフォーラム「タレントマネジメントの未来」】 企業競争力を高めるタレントマネジメントシステムの現状と課題、そしてこれから②

レポート

2012.05.15

このエントリーをはてなブックマークに追加

【第2回HITOフォーラム「タレントマネジメントの未来」】 企業競争力を高めるタレントマネジメントシステムの現状と課題、そしてこれから②

タレントマネジメント

昨日は、なぜ今タレントマネジメントが求められるのか?そして、なぜタレントマネジメントは定着しないのか?といった点についてご紹介させて頂きました。

今回はタレントマネジメントを実現するために、人事部門は何を行うべきか?3社の事例や城戸先生の発表を中心にお伝えさせて頂きます。

456537_362951850428659_1209096583_o.jpg

ビジネスモデルを実現できる仕組みや仕掛けが出来ているのか?
~サイバーエージェント流 組織開発事例(サイバーエージェント 取締役 人事本部長 曽山氏)~

タレントマネジメントを実現するためにはどういった仕組みや仕掛けが必要なのでしょうか?サイバーエージェントの事例を曽山氏からお話頂きました。

同社の人材マネジメントは「採用、育成、活性化、適材適所」の4つを軸に展開しています。特徴的な仕掛けが「ジギョつく」と呼ばれる社内新規事業プランコンテストや「あした会議」という役員対抗での新規事業バトル。「あした会議」は、役員自ら指名した社員とともに新規事業を提案する場ですが、その結果が社内外に公開されるため、役員は本気になって人材を探しに回ります。同時に参加した社員にとっても役員との経験を通して育成される場となっています。

同社では「リーダーはリーダー経験によって育ち、経営者は経営経験によって育つ」という考えのもと、ビジネス現場での「決断経験値」を重視し、子会社経営など若手人材を抜擢するような人事を行っています。加えて、役員2人が2年ごとに入れ替わる「CA8」という制度もあり、役員自らも新陳代謝をしている様子が紹介されました。

人材育成システムはどのような方向性や方法論で実現できているのか?~トリンプにおける変革マネジメントと組織人材開発(トリンプ・インターナショナル・ジャパン 取締役 人事本部長 平塚氏)~

組織の変革やそれに伴う人材育成について、トリンプの事例を平塚氏にお話頂きました。2010年8月に現社長が着任した同社は「お客様中心主義の強化」、「ブランド志向の強化」、そして「それらを体現できる組織・人材・文化を創っていく」ことに向けて大きな変化の時期を迎えています。

変革にあたりまず実行したことは「自分たちが持ち続けたい強み」の明確化です。その上で向かうべきビジネスの方向性を明確に示し、それを実現するために必要となる人材像も明確に示しました。

人材育成においては「アライメント」、「意図的」、「ストレッチした場で育てる」、「承認とフィードバック」、「自律」を基本的な枠組みとしています。お客様中心主義を実行するチーム作りとして、また育成の場として、お客様のセグメントに応じたクロスファンクショナルチームの形成や、"すごい会議"導入などが例としてあげられました。

企業風土の改革はどう変革すべきか?
~「人財マネジメントと風土改革」(資生堂 執行役員 アキレス氏)~

タレントマネジメントを導入し実践していくにあたり、ドライブとなる風土こそが定着の可否を握っていると言えます。では企業の風土改革はどのようにして行えばよいのでしょうか?アキレス氏よりお話頂きました。

資生堂の風土改革では、まず各現場に回り、勝ち方を明確にしています。具体的には6つの風土改革アンカーを設計し、「なぜ改革が必要なのか?」そして「どんな風に改革していくのか?」を各役員・各ラインに説明しています。現場の声をまとめ、役員全員で議論することで、「やらされ感ではなく"自分ごと"として実践する改革」を図っています。業務プロセスと人事の仕組み、そしてコミュニケーションの変革を三位一体で行い、且つそれらを役員から実践している例をお話頂きました。

あるべき組織力とは?どう構築するのか?
~「組織能力とタレントマネジメント」(産能大学大学院総合マネジメント研究科 教授 城戸先生)~

3社の事例を踏まえ、最後には城戸先生から「組織能力からみたタレントマネジメント」についてお話頂きました。

優秀な人材がいるだけでは組織の成果にはつながりません。優秀な人材を組織化して始めて組織の成果は高まります。組織拡大には硬直化やタコツボ化・縦割り化という弊害を伴いますが、これらをいかにして乗り越えるか?こういった組織の難しさを乗り越えることが、言い換えれば組織能力につながり、組織独自の強さにつながります。

組織能力とは、"変化する環境下で組織の目的達成に向けて資源を統合し、展開・活用する能力"というように定義されます。ヘルファットなどは、意図的に資源を拡大し修正するような"ダイナミックケイパビリティ"とオペレーションを拡充させる"オペレーショナルケイパビリティ"に分けた上で、ダイナミックケイパビリティを重要視しています。その際、人材とは"自立・創発型の人材"であり、いかに内発的動機づけを刺激するか?能力をどう備えるか?方向付けを正しく行なっているか?が重要になってきます。

【第1部を通して】

3社の事例や城戸先生のお話をお伺いしましたが、タレントマネジメントの導入が定着するには、変化を受け入れる企業文化が重要だと言えるのではないでしょうか。いくら制度や運用の在り方を変えても、企業文化が変わらなければ定着しません。従ってまずイノベーション文化を創ることが必要になってきます。

本日のトリンプさんや資生堂さんのお話でも、組織変革や風土改革を行うにあたり、まずは現状の文化や強みを把握する重要性をお話し頂きました。城戸先生のお話でも、まずは「どこに強みや弱みがあるか?自社の文化はどういったものか?」を把握し、それを他と比較した上で、個人の良さや組織の良さを伸ばしていく発想が大事だといったお話を頂きました。

そうした風土や強みを把握した上で、あるべきビジネスモデルやあるべき組織力、リーダーシップスタイル、マネジメントスタイル、マネジメント対象の区分け、人事管理スタイルなどが定まり、タレントマネジメントシステム構築に向けた準備が整います。そういった意味で、サイバーエージェントさんの「ジギョつく」や「あした会議」といった仕掛けは、社員からの提案を推奨することで「イノベーション文化を強める」ことに当てはまるのではないでしょうか。

まずは自社の文化や強みを捉えた上で、人事部門自身が「管理のエキスパート」から「戦略パートナー」や「従業員のサポーター」、「変革のエージェント」として変革していくことが求められます。

467265_362951917095319_1523355591_o.jpg

関連コンテンツ

このエントリーをはてなブックマークに追加

【経営者・人事部向け】

パーソル総研 メルマガ

雇用や労働市場、人材マネジメント、キャリアなど 日々取り組んでいる調査・研究内容のレポートに加えて、
研究員やコンサルタント・講師のコラム、お得なセミナー・研修情報などをお届けします。

メルマガ詳細はこちら
PAGETOP
PAGETOP