自社らしい次世代リーダーを計画的に育成、輩出するための全体構想から選抜・育成まで一気通貫したサクセッションプラン支援

当クライアント企業では環境変化が伴う中での事業成長を見据え、積極的な人事改革に取り組んでいた一方で、特に本部長から役員レベルのトップマネジメントクラス層に対しては計画的な育成やそのための投資が行われておらず、次世代リーダーが育っていないという課題がありました。

そこで、人事改革の1施策として、次世代リーダー人材を育成し、候補人材をプールしていくための基準や人材要件の定義、選抜の仕組みから育成プログラムの策定までのサクセッションプランを設計し、2年に渡り伴走しながら支援に携わりました。

CONTENTS

  1. サクセッションプランゴールの明確化と選抜・育成サイクルを確立
  2. 選抜・育成のベースとなる人材像の策定
  3. 「自社らしさ」を盛り込んだ育成プログラムの策定

サクセッションプランゴールの明確化と選抜・育成サイクルを確立

1年目は、サクセッションプランの目的とゴールを明確化した上で、各階層で上司が自分の後継者となりうる候補者を特定し、候補者に必要な経験や育成の方向性を整理する仕組みを策定。各候補者の育成プランシートをまとめ、会議で議論を行うことで、会社として重要な人材の共通認識を持ち、経営が育成にコミットしていくための土台を整えました。

2年目では、1年目で策定した候補者選抜と候補者の育成プランの取り組みをさらに進化させる形で、「ポスト・要件の決定」「選抜・入替」「育成」「モニタリング・調整」の4つのサイクルを回していくことで精度を高める仕組みを構築しました。

図表1 サクセッションプランのサイクル

選抜・育成のベースとなる人材像の策定

1年目で得られた各階層の候補者への期待や育成が必要な要素の情報、さらには経営陣のマネジメントに対する期待を踏まえて、本部長や役員の人材像を言語化しました。
人材像を定義することで、各階層・ポストに求められる要件を経営陣の中でも共通認識化するとともに、人材像に基づいた候補者の選抜・育成が行えるようになることを目的としています。一般的な経営者育成の考えに留まらず、同社の独自性のあるマネジメントのあり方を打ち立て、育成の基本思想に据えました。

本部長は能力、マインド、知識・スキル、覚悟、経験の大きく5つのカテゴリーで作成し、候補者に上げる段階で必要な要素、候補として選抜後に育成すべき要素を分けながらも、レベル感を見極めて選抜と育成をしていくベースとしました。
役員層に関しては、能力・マインドはそれまでに高いレベルで培っているという前提で、より個人の強みを磨いていくことを主眼としました。

このように人材像を定義していくことによって、「選抜・入替」「育成」のサイクルにつなげていくことが可能となりました。

「自社らしさ」を盛り込んだ育成プログラムの策定

「個性」を際立たせることを大事にしている企業でもあり、リーダー育成プログラムもその価値観に沿って「自社らしさ」を打ち出したもので設計しました。
一般的な経営者育成プログラムとは異なり、ミドル~トップマネジメント層までに必要な能力やスキルを磨きつつ、個人の強みをより高める独自の育成プログラムを設計したのが特徴です。

具体的には、よりリーダーとしての行動変容を促すために、タフアサインメントを通じた「経験」を積ませながら、その経験を通じた成長をより効果的にするために、「薫陶」「学習機会」も並行して行う内容としています。学習機会としては、自分の強み・課題を把握するためのアセスメントやコーチング、外部研修などを設け、「薫陶」では上司による継続的な支援・フィードバックの仕組みを設けています。
これにより個人の経験・学びをより深め強固にしていけるような仕組みを構築しました。

図表2 リーダーの育成の仕組み

まとめ

同社では、経営戦略や人事戦略全体に基づき、サクセッションプランにも「自社らしさ」を強く求められていました。そのため「自社らしさ」の打ち出し方について時間をかけて議論し、確認作業を繰り返しながら固める必要がありました。

2年を要するプロジェクトであり、次世代リーダーの育成という長期的視点が必須のプラン構築ということで、仕組みや枠組みの策定だけでなく、実際にサイクルを回しながら運用面でのサポートや、自走を促す支援も行いました。

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