自律型組織を目指した組織変革のご支援

人口減少や世帯構造の変化・個人のライフスタイルや食に対する志向の多様化など経営環境が変わる中で、当クライアント企業では従来の管理統制型の組織から顧客体験価値を高められる自律型組織への変革に取り組んできました。しかし、管理統制を是とする本部、指示待ちの現場という構造から脱しきれていませんでした。

そこで、組織構造や職務権限・経営管理プロセスの再構築と、目標管理や人事評価方法を改定し、自律型組織に変わるための具体的な取り組みに着手しました。更に変革のステップを着実に歩むためのロードマップを策定し、段階的な導入を試みました

CONTENTS

  1. マトリックス組織への変革を職務権限再構築とガイドライン策定により実現
  2. 人材要件の再構築と期待する行動を促す目標管理・評価方法へ改定
  3. 新たな取り組みの定着に向け段階的に着手

図表1 企業成長に向けた目指す姿の全体像

マトリックス組織への変革を職務権限再構築とガイドライン策定により実現

現行組織の機能を活かしつつ、プロジェクト型で機能横断的に取り組める組織へと改定しました。具体的には、店舗を規模や取扱商品幅の広さなどから複数グループに分け、グループ店舗×本部機能のマトリックスにてプロジェクトを推進する体制としました。

また、全店の一貫性を担保しつつ、自律的に個店の最適化に取り組めるよう権限配分の見直しを行いました。例えば、店舗改装において本部がすべての権限を有していた状況から、面積・予算・内装などの一定権限を店舗に付与すように変更しました。
加えて、プロジェクトを推進する中でどのように決定を行うべきか、プロジェクト承認・組成・終了に関するガイドラインを策定しました。

人材要件の再構築と期待する行動を促す目標管理・評価方法へ改定

人材要件に関し、役割基準と評価すべき要素の見直しを行いました。具体的には、自律的な行動を促すため、組織や風土づくりにおける観点を強化し、店長におけるマネジメント要素の割合を抑える一方、リーダーシップ要素を高めるなどの変更を行いました。

目標管理制度に関しては、能力・役割に応じた目標設定となるようガイドラインを策定し、かつ四半期に1回中間確認を行うことを徹底しました。その中で達成状況の把握を通じた今後のための改善施策検討および必要に応じた目標の修正に取り組み、納得性を高めるためのコミュニケーションを浸透させるようにしました。

評価プロセスの仕組みにおいては、相互評価を基本とし、過度な上位下達・管理統制を抑制しつつ、対等な関係性構築・共創を促すようにしました。具体的には上位者からの一方通行の評価プロセスを改め、機能や業務に関わる関係者全員が相互に評価し合う多面評価に変更しました。
その際に、どのような理由での評価としたかを明記することとし、評価の客観性・納得性を高めるように取り組みました。

新たな取り組みの定着に向け段階的に着手

組織構造や職務権限・経営管理プロセスの再構築、目標管理や人事評価方法の改定は全社一斉に行うのではなく、定着に向け段階的に浸透させていくことにしました。
まずは特定の部署・店舗にて試験的に実施し、運用における現場の受け止め方の把握や運用上の課題について整理し、改善に取り組みました

その後の全社展開の段階においては、管理職以上を先行対象とし、現場でのマネジメントおよびリーダーシップ発揮を期待する層へ展開しました。このような順番とした背景には、新たな取り組みに現場社員が混乱してしまわないよう、管理職が経験を通じて理解することでフォローできるよう配慮したためです。

図表2 従業員の自主自律的行動促進サイクルを実現するための施策

まとめ

本事例は、同社が既に自律型組織への変革に取り組んでいた中で、なかなか思うような成果に結び付けられないという困難に直面していたものです。
そのため、私たちは現状把握と同社が目指す姿との乖離(ギャップ)を丁寧に整理し、これを解決するためにはどのような施策をどのように実行していくべきかという、課題解決プロセスの基本に従って支援したものです。

自律型組織は理想としては描きやすいものの、現実との大きな違いから実現に至るには高いハードルがあるものです。そうした中で、変革に向けて歩みだせたことの大きな要因は、同社のプロジェクトチームと検討を重ね、現場との連携を図り協働体制を丁寧に構築したことにあると考えます。
私たちが掲げる寄り添い型のコンサルティング支援が同社の真摯さと相まって成し得たものだと考えています。

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