舞浜リゾートライン様/人事制度設計

「世界一のモノレール」を目指し、人事制度を刷新。
"寄り添いコンサル"で、「腑に落ちる」実行力の高い新制度を実現。

総務部人事グループ マネージャー 杉本光正氏(前列右)、係長 落合鮎水氏(前列左から2人目)、主任 吉田剛史氏(前列左)、秋山沙也香氏(前列右から2人目) 総務部人事グループ マネージャー 杉本光正氏(前列右)、係長 落合鮎水氏(前列左から2人目)、
主任 吉田剛史氏(前列左)、秋山沙也香氏(前列右から2人目)

世界有数のテーマパークのモノレール事業を展開する株式会社舞浜リゾートライン。同社では、より一層社員の自主性を引き出す人材開発を主眼に、人事評価制度を刷新。付随する資格等級制度や教育制度も新たに設け、大幅な制度改革を実現しています。そのねらいやコンサルティング導入の状況について、同社総務部人事グループの杉本光正マネージャー、吉田剛史主任、秋山沙也香氏にお話しを伺いました。

CONTENTS

  1. 舞浜リゾートラインが目指す「世界一のモノレール」
  2. 制度改革の狙いと当時の課題
  3. 「人事評価制度」「資格等級制度」「社員教育制度」の構築
  4. 制度刷新のポイントや展開時の注力点
  5. コンサルティング導入を実施してみて
  6. 今後の展望

舞浜リゾートラインが目指す「世界一のモノレール」

― 御社の事業概要とその特徴をお聞かせください。

御社の事業概要とその特徴をお聞かせください

杉本氏:当社は、世界でも有数のテーマパーク運営会社の100%出資子会社として、テーマパークの周遊を助けるモノレール鉄道業を行っています。お子さんはもちろん大人の方にも夢を提供するテーマパークの周辺を運行するだけに、各ステーションは非日常を演出するデザイン性の高い空間を有し、その接客サービスはきめ細やかな対応が求められます。質の高いユーザーエクスペリエンスを実現すると同時に、安全を期した運行を担保しています。「世界一のモノレール」をポリシーに、極めて高いレベルでの顧客体験と安全な鉄道運行を遂行しているのが当社の特徴となります。

制度改革の狙いと当時の課題

― 2016年には社内の人事評価制度を一新されましたが、どのような課題があったのでしょうか?

杉本氏:2014年に3カ年の中期計画を定めた際に「人材開発への注力」という内容が盛り込まれました。企業目標である「世界一のモノレール」を実現する上では、サービス面でも安全性の高い鉄道運行の面でも、社員一人ひとりが自主性を持って業務にあたっていかなければなりません。

しかし、社員の自主性を重んじようとしても、なかなか社内の仕組みが追い付いていないのが当時の状況でした。そこで社内の制度を一新することになったのです。その1つが、人事評価制度でした。当時の人事評価制度は、設立時の20年近く前の制度をそのまま使っていたため、単純に評価が賞与と結びついているものでした。人材開発につながる「自己成長」や「上司が部下の成長を後押しする」といった概念が盛り込まれていませんでした。そこで人事評価制度を見直すことになったのです。

― 具体的な取り組みをお聞かせください。

杉本氏:2015年1月からスタートした人事評価制度の見直しですが、当社の現場の状況に沿った仕組みを模索しました。当社には現在170名ほどの契約社員やアルバイトが在籍しています。それを束ねるのが約60名の正社員。それほど規模が大きくない分、ポジション自体が少なく「マネージャー」の次は「部長」といった構成でした。より社員のモチベーションを向上させるために役職とは別に等級を作成し、それに伴い人事評価制度を見直しました。当然、等級を決定するには「資格等級制度」が必要になりますので、新規で構築しました。また等級を細かく定め資格試験を実施する上で、社員をサポートする教育体制が必要とされました。「世界一のモノレール」を目指すポリシーを共有するためにも社員教育制度も新設したのです。

「人事評価制度」「資格等級制度」「社員教育制度」の構築

― ゼロベースでの構築と伺いましたどのように取り組みを進められましたか?

吉田氏:私は、「昇格試験制度」を主に担当しました。時間軸でいえば資格等級制度及び人事評価制度が施行された2016年4月から昇格試験制度の骨子を検討し、今年2017年の1月には社員の方に説明会を行い、現在は当社で初めての昇格試験がクロージングを迎えているところです。ゼロベースから出発にもかかわらず、わずか10カ月間に、制度の骨子づくりから運用部分まで落としこみました。まずは担当者によるフリーディスカッションで目的を定めるところから始め、骨子を研ぎ澄ませながら、肉付けの部分ではパーソル総研さんからプロのご意見をいただき組み立てていった形です。

秋山氏:ゼロベースという点では、教育制度も同じでした。教育制度を整えようとした際の、管理職へのヒアリングで明確化された課題は、「サービス部門と鉄道のテクニカル部門がより企業全体の目標を共有できること」でした。というのも、当社はテーマパークでのモノレール事業という特殊なバックボーンを形成しているため、ユーザーエクスペリエンスを最優先したいサービス部門と、鉄道法に則ったうえで安全を第一とする鉄道運行のテクニカル部門で意見が二極化される状況がありました。そこで、新たな教育制度としては、「世界一のモノレール」を体現するサービスと安全性を融合させた共通認識を意識づける研修、資格等級に求められる、行動要件の達成をサポートするためのマネージャー研修などを新たに作成しました。

研修自体はこれから本格的に実施していく段階ですが、2016年度の1年間はまずプレ段階として、部門を超えてマネージャーが意見交換を行う座談会を毎月開催しました。これには「これまでコミュニケーションをとる機会が少なかった各部門の考えが共有できた」と参加者から評価をいただいております。

制度刷新のポイントや展開時の注力点

― 実際にそれぞれの制度を策定・展開する上で注力されたこととは?

実際にそれぞれの制度を策定・展開する上で注力されたこととは?

秋山氏:とにかく社内にある課題を吸い上げ、細かく検討していくことに注力しています。一つひとつ丁寧につくることを心がけましたが、それは、制度の説明を社員に説明する言葉選びをとっても例外ではありません。研修を行うとなれば、シフト調整なども必要になるため、現場では「面倒」とネガティブに受け取られ兼ねないことがあります。そうした場合に、例えばマネージャーに対してであれば"メンバーが成長することにより作業負荷が減っていく""よりクリエイティブな業務に注力できるようになる"など一人ひとりが納得できる伝え方を選びながら繊細に伝える努力もしました。そこは、社員へのヒアリングを実施していただいたパーソル総研さんとも意見をすり合わせながら、細かに対応した部分です。

吉田氏:昇格試験制度においても、制度の説明ではマネージャーに対して、単に「制度」という形式だけを伝えてはいません。なぜ必要なのか、これによりどう変わっていけるのか、その人にあった説明の仕方を切り出して、まずは納得していただく。「人事がこういっているよ」ではなく、本来の意図を一人ひとりに感じていただき、「こちら側」に立っていただけることも意識しました。

杉本氏:もちろん、大幅に制度を変えるということは、例えば人事評価制度であれば記入様式も様変わりしますので、詳細になればなるほど記入内容も増えるといった現場への負荷ととれる部分も出てきます。ただ、こちらがきちんとつくり込み、その意図や狙いも細かに説明できたため、「これまでにない側面から、正しく評価をしてもらえてありがたい」といった評価もいただいています。こうした反応は励みになります。もちろん全員ではありませんし、まだまだ改良の余地もありますので今後さらにブラッシュアップしていきたいと思います。

コンサルティング導入を実施してみて

― パーソル総研のコンサルティングを導入されて、評価やどのような感想をお持ちでしょうか。

杉本氏:正直私はコンサルタントさんに対し、「上から目線」という印象があり、最初はどこまで社内の現状に沿ったものを提案いただけるのか「騙されないぞ」という思いがあったのも正直なところです(笑)。

ですが、パーソル総研さんは、「ああしましょう、こうしましょう」とお仕着せの提案ありきではなく、「どうしたいですか?どうされたいですか?」と常に私たちの要望を引き出してくれました。あくまでも主導権は舞浜リゾートラインにある印象でした。全てを教えていただくのではなく、一緒に組み立てていくという姿勢をとってくださったことでとても信頼が置けました。

吉田氏:まさに、我々がまずは答えを探さないと始まらない。それは本当に徹底されていました。正直「答えを教えてよ」と思ったこともあります(笑)。ですが、結果として我々の考える時間を大切にしてくださったことは、当社にとって非常にメリットのあることでした。制度に「魂を入れる」ことができたと思うのです。

経営層に制度を説明する時、現場からあがってきた疑問に答える時、本当に自分たちで考えてきたので言葉に自信がのります。今後、本格的に制度を活用していく上で実行力も違うでしょう。

もちろん、我々の疑問にパーソル総研さんは常に全力で応えてくれましたし、プロとして当社に沿った制度の在り方というものを懸命に考えてもらいました。我々が進む背中を押してもらえる、非常に良いフォロワーシップをいただいたと思います。

秋山氏:パーソル総研さんがお持ちになっているノウハウは惜しみなく提供していただき、全力でサポートをしていただきました。舞浜リゾートラインらしさを存分に出しながらの見事な伴走をしていただけたと感じています。

今後の展望

― 一連の制度はこれからさらに運用段階に入っていきます。今後の抱負をお聞かせください。

秋山氏:教育制度に関しては、これからが本番です。実施後はきちんとアンケートを行い、その声を次の年度に反映していく予定です。運用結果をいかに次に反映できるかに注力していきたいと思います。

吉田氏:昇格試験制度をゼロからつくりこんだ現状には満足しています。ただ、実際に運用してみて課題というものも多少見えてきました。例えば人事評価制度と昇格試験の評価結果が必ずしも一致しないことがあります。その間をどのように埋めていくかは次年度以降の改善課題だと思っています。また、昇格試験は、単に試験ではなく、社員に気づきを与えるものでありたいと考えています。人事評価や昇格試験を通じてその方にとっての気づきが生まれるものでありたい。そこにより一層注力できるよう、運用後の改善をしていきたいと思っています。

杉本氏:まずは制度を整備しました。これからは2つの方向性を見ていきたいですね。新たに策定した制度をよりよいものに固めていく努力。同時に、働きがい・やりがいを支える、働きやすさを追求し、「世界一のモノレール」のポリシーを、より様々な場面で体現できる組織づくりをこれからも続けていきたいと思います。

担当コンサルタントから

舞浜リゾートライン様と共に歩ませていただいたコンサルティングは、まさにこれからの時代に求められる「寄り添いコンサル」そのものでした。我々が一方的にご提案をするのではなく、お客様からの発案を最大限に大事にさせていただく。だからこそ「腑に落ちる」実感を共有できたと考えています。それこそが、制度を生きたものにする実行力を生み出します。ただし、そこは、あくまでのお客様の変革に対するモチベーション、ステップアップへの飽くなき追求があってこそのもの。制度改革に対するお客様の一貫した強い姿勢と我々のノウハウがシナジーを生み出す結果でした。今後も舞浜ゾートライン様の改革への強い意思と行動力のもとに、最大限のサポートを実現していきたいと考えています。

パーソル総合研究所 ディレクター 佐々木 聡

取材:2017年5月。部署名、役職名は取材当時のものです。

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