公開日 2019/02/05
近年、製品やサービスの複雑化、競争の激化などにより、営業に求められるスキルや能力も、ますます高度になっています。インターネットが普及し、買い手は売り手よりも情報優位に立ち、顧客は慎重にモノやサービスを選ぶようになりました。そうした環境の中で、営業力の強化は企業にとって必須の取り組みとなっています。営業のパフォーマンスを向上させるために重要なのが上司による「セールスコーチング」です。このセールスコーチングが、営業成績を左右するケースもあります。今回はセールスコーチングについて、その基本となる考え方や具体的な手法を解説していきます。
セールスコーチングとは、上司と部下の間で目標を決め、行動を通じて部下に気付きを与えることで成長を促し目標を達成させることです。ティーチングと呼ばれる「指導」とは異なり、個々の能力を引き出すためにプロセスを支援します。セールスコーチングによって成長過程にある営業担当者を育てるとともに、チームのパフォーマンスを改善・強化することができます。
社会環境の変化、世代間ギャップ、人材の多様化などによって、職場で部下や後輩に対して適切な育成や教育を行うことが難しくなりつつあります。成果主義の導入で短期的な利益を追うあまりメンバー間での協力や相互支援が希薄になっている側面もあります。若手が成長やスキルアップを達成できずに自信を喪失すると、モチベーション低下や離職のリスクが高まります。
こうした状況下ではリーダーが成長過程にある部下に対して適切なセールスコーチングを行うことで、成長を促すことが大切になります。適切な会話によって課題解決への思考を促すことが、セールスコーチングの目的です。優れたリーダーはメンバーのやる気や意欲を最大限に高めることでチーム力を強化します。また経験の少ない営業担当者に指針を示して、スキルの開発をサポートすることにより、定着率を向上させることもできます。
セールスコーチングは、コーチングする者、受ける者、組織全体にさまざまなメリットがあります。
セールスコーチングをする側のメリットは、人を成長させる実感や達成感を味わうことができ、コーチングの実践によって聞くスキルやコミュニケーション力を磨くことができます。
セールスコーチングを受ける側のメリットは、目標に対してのベストプラクティスを学ぶことができます。上司との会話を通して、最適な解決策、思考方法、表現力を身に付けることができ、成功体験によって自信を得ることにもつながります。
組織としてのメリットは、人材を育成することによってメンバー個々の責任感や思考力が増し、チーム力の強化が期待できます。そしてセールスコーチングによって、お互いがより深く理解し、信頼し合えることもメリットです。またやる気や意欲が増して、チーム間での人間関係がスムーズになることで、離職防止などにもつながるでしょう。
セールスコーチングの基本的な考え方として、常に以下の問いかけをすることが大切になります。
目標を聞き出し、そのためにできることは何かを考えることが大切です。その中から、最適な行動や、その行動に至った理由を聞き出して相手の能力を引き出します。
相手の成功体験を聞きましょう。それに対して、成功に至った経緯や方法を聞いたうえで、もっと良くなる方法や今後も継続するにはどうすれば良いのかなども掘り下げてみましょう
失敗談を聞くことも重要です。なぜ失敗したのか、どうすればよかったのかなど明確に振り返ることで次に成功するためのヒントをつかむことができます。
セールスコーチングを成功させるために、意識すべきポイントは次の4つです。
また、セールスコーチングの具体的な進め方としては次の4ステップが考えられます。
セールスコーチングを行ううえで気を付けなければいけないことは、「しっかりと話をきくこと」「否定的な言葉を避けること」です。上述した通り、部下との会話では、相手に十分話させることが大切です。上司が高圧的な態度だと、部下は言いわけに走ったり、本質とは関係のない話をしたりしてしまいがちです。部下に現状や目標を話させた後に、解決策を提案することで部下の自発的な成長を促します。
セールスコーチングは、個人のやる気とチームのやる気を向上させることが目的のひとつです。モチベーションを低下させるような、態度や言動には気を付けましょう。
日々さまざまな業務を抱えるビジネスパーソンにとって、セールスコーチングをじっくりと行う時間を確保することは難しいかもしれません。ですが、今後さらに競争が激化する中で、営業チームのパフォーマンスを最大化させるためにはセールスコーチングの活用が重要になってきます。部下の育成やチーム力強化を目指すために、セールスコーチングを取り入れてみてはいかがでしょうか。
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