公開日 2018/09/11
ソリューション営業とは、ヒアリングを通じて顧客の潜在的なニーズや課題を洗い出し、それを解決するための提案を行う営業スタイルを指します。商品やサービスの機能的な差別化が難しい昨今、顧客の意思決定に効果的なソリューション営業は、もはや当たり前の営業手法となりつつあります。しかし、ソリューション営業への転換や実業務での定着がうまくいかず、結局チームの業績は変わらないままというケースも少なくありません。ここでは、ソリューション営業をチームで実践し、成果につなげるために必要な3つの具体的なポイントについて紹介します。
従来の営業手法とソリューション営業の最大の違いは「顧客の課題の質」にあります。すでに顧客のなかで、「〇〇(製品・サービス)が欲しい」「△△な問題を解決したい」と課題や要望が顕在化している場合に用いられるのが従来型の営業手法で、「御用聞き営業」などと呼ばれるものです。
これに対してソリューション営業は、顧客自身がまだ気づいていない「潜在的な」課題を示し、それを解決するための提案を行うことです。ソリューション営業の手法を実践していくうえで、根本的な考え方の違いは必ず知っておく必要があるでしょう。
形式をなぞるだけでなく、チームの業績アップにつながるソリューション営業を実践するために抑えるべきポイントが3つあります。「スキルアップ」「プロセスの標準化」「マネジメント」です。
ソリューション営業に必要なスキルを身につけ、チーム内で標準化することで営業力を底上げします。そのうえで、ソリューション営業を定着させるためのチームづくりやマネジメントが重要になるでしょう。下記では、3つのポイントを掘り下げ、ソリューション営業実践のための具体的な手法をご紹介します。
ソリューション営業を行うためには、各営業担当者が必要なスキルを習得する必要があります。コンサルティング会社や人材教育を専門に行っている機関が提供している研修メニューやプログラムを利用し、体系的に学ぶことで標準化されたスキルを身につけられるでしょう。下記に、ソリューション営業で必須となる主なスキルを紹介します。
研修などで十分なスキルを身につけても、実行プロセスが標準化されていなければ、うまくチームで成果をあげることができないでしょう。また、評価軸が明確に定義されていないと、ソリューション営業が正しく実践されているかの評価も曖昧になってしまいます。
営業プロセスを標準化することで、現場の社員は習得したスキルを十二分に発揮できるようになります。今までバラバラだった個人の手法や営業管理の方法が明確化されることで、各人のコミュニケーションがより円滑になり、効果的な営業活動が行えるようになります。また、マネジメント側も活動の進捗を正確に把握することができるでしょう。
新たな営業手法をチームに根づかせるためには、実践を個人の裁量にまかせていると非効率です。特に実践後すぐに成果が見えない場合、個人の判断で従来のやり方に戻ってしまったり、やり方を変えてしまったりするかもしれません。チーム全体でスキルを共通言語化することが肝要になります。
メンバー全員で、プロジェクトの進捗や成功例・失敗例が共有できるチームの風土づくりを行うことが、営業手法の定着と営業力アップにつながります。共通言語を持つことで、営業担当者は不明点や行き詰っている点について、先輩や上司に的確に質問することができるようになるでしょう。同時に、マネジメント層も適切なアドバイスが行えるので、チーム力の全体的な底上げにつながります。
モノと情報があふれている時代にあって、企業間競争で勝ち抜くためには、営業による提案内容の差別化が重要になっています。そのカギを握っているのが「ソリューション営業」です。チーム全体でソリューション営業への転換を行っていくことで、営業成果の向上だけでなく、マネジメントの効率を上げることもできるでしょう。
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