ミドルからの躍進を探求するプロジェクト

日本で働くミドル・シニアを科学する

  • 法政大学 石山恒貴研究室
  • パーソル総合研究所
40~69歳のミドル・シニア層 全労働人口の約57% ※雇用形態別有業者数及び割合

労働力人口の不足が深刻化する中、企業にとって、限られた労働力の活用、生産性向上は大きな課題であり、
働き手のボリュームゾーンを占める40歳以上のミドル・シニアの活用に期待が集まっています。

パーソル総合研究所では、法政大学大学院の石山恒貴教授をPJTリーダーに迎え石山研究室との共同研究により、
ミドル・シニア層(ミドル:40〜54歳/シニア:55〜69歳)2,300名に対し、
就業意識や躍進の実態に関する大規模なアンケート調査を実施。

ベールに包まれていたミドル・シニアの就業意識・実態の調査結果から「ミドル・シニア躍進の鍵」を紐解いていきます。

公開日: 更新日:

データで見る
「働くミドル・シニア躍進の実態」

BASIC

基礎実態編

管理職比率について・部下なし管理職比率について

(全体 n=2300)

部下なし管理職比率について

(n=966)

40~69歳のミドル・シニアの役職について見てみると、管理職が42%・非管理職が58%と約4割を占める管理職のうち、課長・課長相当は22.8%、部長・部長相当は16.9%、事業部長相当は2.3%となっています。また部下のいる管理職は79.3%で約8割を占め、約2割を占める20.7%は部下のいない管理職となっています。

給与はどのぐらい?

年収について

40代(n=1189)、50代(n=1075)、60代(n=384)
※パーソル総合研究所「1万人成長実態調査 2017」より

ミドル・シニアの平均年収を年代別に見ていくと、40代は555.4万円、50代は658.0万円、60代は590.6万円と50代が最も高く、働きざかりの40代より60代の平均年収が高いことが分かります。また、50代の約4分の1は年収800万以上となっています。

毎月の残業時間は?

残業時間について

40代(n=1189)、50代(n=1075)、60代(n=384)
※パーソル総合研究所「1万人成長実態調査 2017」より

ミドル・シニアの毎月の平均残業時間は、40代で17.7時間、50代で15.6時間、60代で7.9時間と40代の残業時間が最も長くなっています。40代以降、年代と共に残業時間は減少し、60代では半数以上が残業をしていないことが分かります。また、残業の理由には「自分の仕事が終わらない」「突発的な仕事の対応」「与えられた仕事を最後までこなしたい」などがあげられています。

INDIVIDUAL

個人編

活躍できている?

ジョブパフォーマンスについて

(n=2300)

ミドル・シニアの躍進状態を見ていきます。「任された役割を果たしている」「担当業務の責任を果たしている」「仕事でパフォーマンスを発揮している」「会社から求められる仕事の成果を出している」「仕事の評価に直接影響する活動には関与している」といった5つの項目からジョブパフォーマンスの割合を2歳刻みで測定したところ、50~51歳が最も落ち込んでいることが分かります。

会社に満足しているか・ストレスをどのくらい感じているか

(n=2300)

ストレスをどのくらい感じているか

※パーソル総合研究所「1万人成長実態調査 2017」より(n=3879)

会社への満足度に関しては、50代前半が最も下がっています。ストレスのピークは45~49歳の40代後半が最も高く、以降50~54歳、55~59歳、60~64歳と徐々に減少傾向にあります。

休みは取れてる?

働き方について

(n=2300)

働き方について、休日や休暇は満足にとることができているかを訊ねたところ、60~69歳は77.7%と満足度が高く、対して45~49歳は59.2%と満足度が最も低い結果になりました。忙しさのピークは40代後半に集中していることが分かります。

今後どうする?

将来に対する見通しについて・この会社にずっと勤めたいか

(n=2300)

将来に対する見通しについて・この会社にずっと勤めたいか

(n=2300)

将来への見通しについて聞いたところ「専門性・やりがいを得る」「組織内で中心的な役割を発揮できる」という項目と比較して、「昇進・昇格」に関する見通しは、年代とともに急下降しています。また、同じ会社にずっと勤めたいかを聞いたところ、50~54歳が最も低く、55歳以降、回復傾向が見受けられます。

出世したい?

キャリアの終わりを意識している?

キャリアに対する意識について

※パーソル総合研究所「1万人成長実態調査 2017」より(n=3879)

出世に対する意欲についての回答は、40代前半で大きく変化し、42.5歳で「出世したい」から「出世したいと思わない」に逆転します。また、出世意欲の低下と並行するように、自分自身の「キャリアの終わり」を意識する転換点は45.5歳となっています。

ORGANIZATION

組織編

研修の実施率(過去10年間)について

(n=2300)

どの程度のキャリア支援が実施されているか、過去10年間の研修内容を見ていくと、管理職と非管理職の差が大きく、管理職と非管理職をあわせた全体では、リーダーシップ研修やマネジメント研修は20%を超え、積極的に実施されています。一方で、キャリアカウンセリング研修については6.7%と少数であることが調査データからは分かっています。

上司について

直属の上司の年齢について 上司からどんなマネジメントを受けているか
上司からどんなマネジメントを受けているか

(n=2300)

上司の年齢が、年上から年下にシフトするのは50代前半の53.5歳であることが分かりました。直属の上司の年齢は、50代前半で年齢逆転が起こっています。調査結果から、50代、60代の部下を持つ上司の大半は「年下上司」であるといえます。また、ミドル・シニアに躍進行動を与える上司のマネジメントについては「定期的な会話をする機会がある」が45.7%だったのに対して、課題の指摘、振り返りとなる内省の機会を与える、キャリアプランを一緒に考えサポートしてくれるといったマネジメント行動が不足していることが分かります。

役員退任について

役職退任(ポストオフ)の年齢について

ポストオフには、会社の制度により役職を退任した場合と、慣習的に50代というタイミングで役職を降りるケースがあり、非公式かつ慣習的な役職退任は50歳から広く分布しているのに対し、制度による役職退任は55歳がピークという特徴が見られます。

役職退任(ポストオフ)で変化すること・役職退任(ポストオフ)の告知タイミングについて

(50代ポストオフ経験者 n=300)

役職退任(ポストオフ)の告知タイミングについて

(50代ポストオフ経験者 n=300)

役職退任により「年収」「部下人数」「上司」については7割以上の人が「変化した」と回答しているのに対し、「仕事内容」が変化したと回答した人は全体の6割弱。4割以上は仕事内容に変化がないにもかかわらず、ポストが変化していることが分かります。また、役職退任を告知されたタイミングについては、約7割が「特に説明はなかった」「説明は直前だった」と回答しています。

役職退任(ポストオフ)での意識の変化について

(50代ポストオフ経験者 n=300)

役職退任に伴う心理的な変化では、ネガティブな変化を経験する人の割合が多く、「仕事に対するやる気・モチベーションの低下」が全体の1位を占め、ミドル・シニアの働く意欲を減退させていることが浮き彫りになりました。また、約2割は「マネジメントから解放、今まで取り組めなかったことをやる気になった」というポジティブな変化が見て取れます。他に「自分のキャリアと向き合う機会になった」「プレッシャー消失、気持ちが楽になった」という回答がありました。

【ミドル・シニアの躍進実態調査 調査概要】
調査方法:調査会社モニターを用いたインターネット調査
調査協力者:要件=以下の要件を満たすビジネスパーソン2300名 ①従業員300人以上の企業に勤める40-69歳の男女 ②正社員(60代は定年後再雇用含む)
調査日程:2017年5月12日-14日

まとめ

人手不足の日本を支える戦力として、ミドル・シニアへの期待は「活用」から「躍進」への変化が求められています。企業はミドル・シニアの人材マネジメントを見直し、持続的な成果と成長ができる「躍進」への支援が鍵となります。

あわせて、50代に訪れる役職定年というキャリア・トランジションを乗り越えるための事前準備をサポートし、キャリアプランについて考え、仕事への考え方を変えられる機会を提供していくことが、ミドル・シニア躍進の要諦といえるでしょう。

ミドルからの躍進を
探求するプロジェクト

ABOUT

本プロジェクトについて

働き手のボリュームゾーンを占める40-50代のミドル・シニア層には、今後、更なる躍進を通じて企業の生産性を向上させる役割が期待されています。
しかし、残念ながら、ミドル・シニア層の働き方や就業意識の実態については全くと言っていいほど明らかになっていません。

そこで、私たちパーソル総合研究所では、2016年、雇用政策・人材マネジメントを専門とする法政大学大学院 石山恒貴教授をPJTリーダーに迎え、
大手製造業数社と協力し、産学協同のPJTを発足。
ミドル・シニア層の働き方や就業意識に関する実態、およびミドルからの躍進に影響する要因を定量的に調査分析し、
実践可能な知を創出する調査研究プロジェクトとして活動してきました。

本プロジェクトの3つの指針

  1. 01
    「経験論」から「エビデンス」ベースへ

    経験や感情に基づく直感的な語りから、大規模かつユニークな調査データを基にした、科学的なアプローチへ

  2. 02
    「活用」から「躍進支援」へ

    現状の能力を前提とした「活用」の発想から、まだ見ぬポテンシャルを最大限に発揮させる「躍進支援」の発想へ

  3. 03
    「年次」視点から「個人」視点へ

    入社年次や年齢に応じた一律的・画一的な人事管理から、より個人のキャリアや志向性に基づく、個別的な人材マネジメントへ

MESSAGE

メッセージ

PJTリーダー 石山 恒貴

個人が長い人生で幸福を追求するためにも、
ミドル・シニアの躍進こそが最も重要な社会課題のひとつ

少子高齢化が進み「人口ボーナス」の状態から「人口オーナス」へと転換した日本では、今後確実に生産年齢人口の減少が進んでいきます。一方で、『ライフ・シフト』(リンダ・グラットンほか著)で指摘されているように、われわれは100年ライフの時代にも突入したのです。日本社会が持続的に成長していくためにも、個人が長い人生で幸福を追求するためにも、ミドル・シニアの躍進こそが最も重要な社会課題のひとつと言えるでしょう。

しかしながら、企業の人事施策において、ミドル・シニアの課題の優先順位は必ずしも高かったとは言えません。重要な課題であることは認識されながらも、その取り組みの難しさ、解決の方向性の不確かさから、後回しにされてきたことが実態ではないでしょうか。

今回、ミドル・シニアが躍進できる職場環境の整備に意欲的な企業数社の協力を得て、多角的な調査研究が実施されることになりました。ついに、この難しい課題への本格的な研究プロジェクトが始動します。組織と個人双方の視点で、ミドル・シニアがキャリアの時間軸を見直し、生涯にわたり躍進を続ける処方箋を創造していきたいと考えています。

石山 恒貴
法政大学大学院 政策創造研究科 教授

一橋大学社会学部卒業、産業能率大学大学院経営情報学研究科経営情報学専攻修士課程修了、法政大学大学院政策創造研究科政策創造専攻博士後期課程修了、博士(政策学)。一橋大学卒業後、日本電気(NEC)、GE(ゼネラルエレクトリック)、バイオ・ラッド ラボラトリーズ株式会社執行役員人事総務部長を経て、現職。人材育成学会理事。主な論文:Role of knowledge brokers in communities of practice in Japan, Journal of Knowledge Management, Vol.20 Iss 6,2016. 主な著書:『パラレルキャリアを始めよう!』ダイヤモンド社、2015年、『組織内専門人材のキャリアと学習』生産性労働情報センタ-、2013年、他

関連記事

働く10,000人の成長実態調査2020 「日本的ジョブ型雇用」転換への道プロジェクト 幸福学 外国人材の採用・定着・共生を探求する 希望の残業学 136万人が働き手に変わる サテライトオフィス2.0の提言

機関誌HITO vol.12
ミドル・シニア社員の新時代 ~躍進のために個人と会社がすべきこと~

「元気がない」「モチベーションが低い」と指摘されがちな企業のミドル・シニア。しかし中にはいつまでも成長が止まることなく、継続的に活躍している人材も存在します。いったいミドル・シニアの躍進にはどのような要因が影響しているのでしょうか。定量調査や企業事例などを通して考察しました。

PDFで読む

書籍化情報
PAGETOP
PAGETOP