公開日 2020/08/13
私たちの生活は新たな局面を迎えています。急速に進んだテレワーク。今後、会社はメンバーとどう向き合っていけばいいのか、会社と個人がつながり続けていくにはどうしたらいいのか―。まさに、多くの企業が直面している課題かもしれません。特にセールスは、お客さまと会えない状況が続き、これまでの在り方を変えていく必要があります。そこで、人・組織づくりを支援している弊社の営業マネジャー(部長、グループ長)に、「コロナ禍における営業の組織運営」にどのように取り組み、このコロナ禍を乗り越えようとしているのか、実際の取り組みを聞きました。
話し手:
ソリューション1部
部長 田原 卓
グループ長 生井 忠輝
グループ長 仲川 丈二
聞き手:
マーケティング部 中村 舞衣子
中村 テレワークが急速に進み、非対面の状況が続いています。メンバーとのコミュニケーションにおいて、特に意識して取り組んでいることはありますか。
仲川 オフィスであったような、偶然の会話やちょっと話しかけてみようという会話が減りました。ちょうど移転を契機にフリーアドレス制を導入したころからその傾向はあったのですが、コロナによって明るみに出たように感じています。それに気がついてからは、自ら目的をもってオンラインの打合せを設定するようにしています。また、若手中堅が中心となって定期的にゆるい朝会を開いてくれているので、そういう機会にも積極的に参加するようにしています。
田原 フリーアドレスの導入とともに、全社的に社内コミュニケーションは原則、Teams*を使いはじめました。これまでは、どちらかといえば、スタッフが公式な情報連絡のために、全社掲示板で発信するものとなっていましたが、Teamsを取り入れたことにより、誰かが何かをしたいと思った時に、情報を発信しやすくなりました。
生井 マネジャー同士のやり取りや、私とメンバー、メンバー同士のやり取りもTeamsのチャットへ投稿しているので、会話に参加していない人も誰と誰がどんな話をしているのか見えるようになりました。見えるようになったことで、以前より情報の共有が進んだように感じています。
仲川 Teamsに加え、オンライン会議を取り入れるようになってからは、中部や関西のメンバーともこれまで以上に密に話ができるようになっているのは大きな変化です。
中村 コミュニケーションが促進されたのは思いがけない産物ですね。一方で、気持ちの変化はいかがでしょうか。
生井 緊急事態宣言が出て、1か月ぐらい経ったころでしょうか。メンバーから不安の声もありました。そんな時に、「テレワーク実態調査」のトライアルもかねて、「これからの働き方」や「皆が心配に思っていること」など、マネジャーとメンバーの間やメンバー同士でかみ合っていないことをかみ合わせるために思っていることを全部出して、「カルチャーコード」を作りました。その後も、部全体で話し合いが行われています。
田原 「カルチャーコード」とは、組織の拠り所となる価値観を言語化して、明確な指針とするものなのですが、例えば、「会議は、いつもより15%長くして、雑談を増やそう」など、些細な事でも構わないので「これってどうだろう」と思っていることを皆で話し合って明文化しました。皆同じ気持ちだったのか参加率も高かったと思います。
生井 さらに私のチームでは、「テレワーク実態調査」結果を題材に、チーム内で共有しチームで取り組めることを話し合いました。
田原 対話の積み重ねによって、事業本部という単位では、この緊急事態において、一緒に乗り越えていこうという一体感が増したように感じています。
中村 テレワークによって、生産性は変化しましたか。
田原 テレワークそのものによって仕事が停滞するということは、それほどないと思います。むしろ1日の中でのアウトプット量は上がっていると思います。 ただ、元々予定していたシステム変更に加えて、コロナ禍による臨時の対応が加わり、営業側の情報理解が追い付かないような声を聞くことが増えました。
生井 これまでと比べてメールやチャットが増えているので、スタッフと営業とのコミュニケーションの行き違いも起きやすくなっています。発信する側も受ける側も、確認しながら進める、周りの人に聞いてみるなど、理解を深める努力も一層求められているように思います。
田原 次は、情報を検索しやすく誰がみても分かる状態にするために、もうひと手間かけたいですね。営業系の情報は、業務のみならず、活動履歴もセールスフォース上でチーム共有しやすくしたいと思っています。お客様から新しいテーマのご相談が増える中、お互いのチャレンジやアイデア、知見が共有され、新たなお役立ちができるようになることを期待しています。以前ならオフィスの密なコミュニケーションでカバーしていた部分であり、これもリモートワークにならなければ思いつかなかった発想です。
仲川 スタッフと営業という話もありますが、新人にとっては仕事を覚えたり周囲との関係性を作っていったりすることのハードルがあがっています。阿吽の呼吸で分かるというのはこの環境下では現実的ではありませんし、情報の取得方法や粒度も違うので、本来新人が学ぶべき要素の全体像を理解するのに苦労しています。
中村 確かに、新人にとっては、覚えることも多く、ハードルが高いですね。その点について、どのようにサポートをされたのでしょうか。
生井 私のチームでは、中堅リーダーが中心となって、若手二人をサポートしてくれています。聞けば数分で分かるような内容でも、オンラインでは、ミーティングのアポイントを取って誰かにわざわざ聞く必要があるので遠慮しがちです。三人で知恵を出し合って、業務手順を動画撮影するなど工夫を凝らしながら取り組んでくれています。その動画は、今は、事業部全体に共有され、他の方の理解促進にも役立っていると聞いています。
仲川 私のチームにも新人が一人います。新人だからといって、私との縦の関係だけでなく、若手同士で自主的に学びあう「若手塾」のような横のつながりや、マネジャー経験のある先輩から案件を通じて仕事の進め方を学ぶように伝えています。ただ、一方で、勉強会で業務プロセスを学んだとしても、その内容と実態との齟齬があり、カバーしきれない問題も出てきています。今まで自分たちにとって当たり前にできていたことが暗黙知だったことにマネジャー側も気づかされ、言葉を補足したり、よりわかりやすく手順を見直すよう働きかけたりしています。
田原 事業の特性として集合研修をこれまで提供してきましたが、コロナ禍によって、大きな変革期を迎えています。社会的にもお客様自身も働き方が変わってきている中で、人や組織の課題も大きく変化してきています。製薬会社がワクチン、治療薬を開発しているように、自社もテレワークを前提としたソリューション開発を急ぐ必要があると考えています。また、若手には、これまでの自分たちのやってきたことを自社でも今一度確かめてほしいと思っています。試行錯誤の中で、お客様に受け入れられなかったり、今までのように成功しなかったりすることもあるかもしれませんが、少なくともここまで行けたということを振り返り手ごたえを自信に変えて、成長していってほしいと思います。
生井 こういう時こそ、自発的に意見が出てくるような場をつくったり、ボトムアップで発想が出てくるような仕掛けをつくったりすることがマネジャーの務めだと思っています。我々は、パーソルグループの一員でもありますので、自社だけでなくグループオールでソリューションを提供することにも積極的に取り組んでいきたいです。
仲川 4月から6月は、試行錯誤しながら様々なことに取り組んできました。これから、私は3つのことについて、考えていきたいと思っています。1つは、若手塾の取り組みについてです。私自身が数年前に立ち上げた組織ですが、今は役割を次世代リーダー達にバトンタッチしサポーターとしてかかわっています。彼らも色々と悩んでいる面もあるように感じています。事業変換時に若手のパワーを活かしながら組織をさらに活性化していくために、どのようにマネジャーとしてかわれるか課題です。もう1つは、若手のキャリア形成です。これから採用も増やしていく計画なので、自分自身もふくめ、withコロナ然り、afterコロナを見据えた営業の在り方、キャリアについて考えていきたいと思います。最後に、「エンゲージメントと人事評価」についてです。個人と組織が一体となり双方の成長に貢献し合う関係作りとその取り組みをどのように評価すればよいのか、自社での取り組み過程を通じてお客様にも解決策を提供できるようしっかり考えていきたいと思います。
中村 不安定な状況においても、自分たちの確固となるものをベースに、新しいことにも試せる組織づくりを応援します。本日は、ありがとうございました。
*Microsoft Teamsとは、マイクロソフトが提供しているグループウェアです。 通常、Microsoft 365に提供されているツールで、チーム内でのチャットやグループで情報共有が可能なツールです。
取材日:2020年8月。所属は、取材当時のものです。
ラーニング事業本部
事業推進部マーケティンググループ
中村 舞衣子
Maiko Nakamura
2007年富士ゼロックス総合教育研究所(現 パーソル総合研究所)へ入社。営業、広報(PR)を経て、現在、BtoBのWebマーケティング担当として従事。Webサイトの機能改善からウェビナーなど各種プロモーション施策の企画・実行まで一気通貫して務める。現在、MAとWebマーケティング施策によるデータ連携を通じ、自社CRM(SalesForce)の構築に邁進中。
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