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コラム

2017.06.28

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ゼロからはじめるタレントマネジメント Vol1.タレントマネジメントの実現に向けて、まず何から始めるべきか?

タレントマネジメント

マネジャー 和田実

「新規事業を担える人材は社内にどれだけいるのか?」「そもそも社員のスキルはどれだけ高まっているのか?」

そうした問いを経営陣から投げかけられて、答えに窮している人事担当者は少なからずいるのではないだろうか?そしてそうした人事担当者が一度はたどり着くのが、「タレントマネジメント」という魅惑的なキーワードではないだろうか。しかし、実際に「タレントマネジメント」に取り組もうとしても、一体何からどう取り組めばいいのか困っているという相談が昨年あたりから増えてきていると感じる。今回は、「タレントマネジメントに取り組むにあたってまず何をやればいいのか?」に焦点を絞って、これまでタレントマネジメントに関わってきた筆者の経験に基づき少し整理してみたい。

一人歩きする「タレントマネジメント」というキーワード

「タレントマネジメント」というキーワードが注目され始めたのは2012年頃だが、当時は主にタレントマネジメントシステムの導入・活用という文脈で使われることが多かった。その結果、5年経った今でもシステムを使って社員の情報を一元化・可視化することが「タレントマネジメント」である、と一面的に捉える向きもいまだ多いように感じる。一方でATD(Association for Talent Development)などで学術的に議論されている本質的な「タレントマネジメント」という言葉も実は多義的で、様々な捉え方がなされていることも、「タレントマネジメントに取り組みたいが、何をやればいいか分からない」といった混乱に拍車をかける一因となっているようだ。(*1)
(*1) タレントマネジメントの定義を巡る議論については以下のレポートも参照されたい
http://rc.persol-group.co.jp/research/data/20170118_01

土台づくりから始めるか、成果ありきで始めるか

このようなやや混乱めいた状況ではあるが、タレントマネジメントに取り組む上での切り口を、筆者が普段接しているクライアントの課題感から類推してみたい。

前段で触れたとおり、早い段階からタレントマネジメントというキーワードに着目して取り組みを始めた企業は、タレントマネジメントを通じて最終的に成し遂げたい成果が何かを明確に定める前に、まずはタレントマネジメントの土台作り、即ち社内に散在する人事情報の一元化・可視化やシステム化を実現するということを狙いに取り組んでいた企業が多かったように思う。しかしここ最近の傾向として、依然としてまず土台作りに取り組もうという企業は多いものの、それを通じて何を実現したいか、成し遂げたい成果が何かを明確にした上で取り組もうとする企業や、土台作りに取り組む前に成し遂げたい成果の明確化が先である、と考える企業が増えてきているように感じる。ここでいう"最終的に成し遂げたい成果"は、企業によって非常に様々であるが、あえて大きくグルーピングすると、以下の3つに集約されると考える。

①人材の獲得・配置・代謝に関わる人材フローマネジメントの革新
例)具体的なテーマとしては、「事業・組織要件に合致した人材確保」、「異動配置の最適化」などがこれに該当する

②中長期的なキャリア開発や能力開発に関わる人材開発の革新
例)具体的なテーマとしては、「経営幹部候補育成」、「キャリア自律実現のためのキャリア開発」などがこれに該当する

③どういった属性をもつ人材を処遇するかといった人材マネジメントの「基軸」の革新
例)具体的なテーマとしては、「グローバル化に向けた人材マネジメント戦略の見直し」、「戦略・事業に照らしたコンピテンシーの再定義」、「多様な社員の活用に向けた雇用・処遇制度の見直し」などがこれに該当する

図55.png

最近のトレンドは成果重視、特に異動配置の最適化への関心が高い

さてここで、前述の仮説を検証するために、弊社セミナーの中で実施したアンケートの結果をご紹介したい。これは今年2017年1月18日に弊社パーソル総合研究所主催で開催した「進化するタレントマネジメント」と題したセミナーに参加いただいた160社に対して、当日終了後に実施したアンケートで、最終的に101社からの回答を得ている。回答者の主な属性は以下の通りだ。

~回答者の属性~

2図1.png図2.png

アンケートの中で、「タレントマネジメントを進めるにあたって、御社の課題認識に近いものを選んでください(複数回答可)」という問いで、各社の課題が土台作り重視なのか成果重視にあるのか確認したところ、やはり本質的な成果を重視している企業が多い(土台・成果両方に課題がある企業を含めると8割超)ことが判明した。

図3.png

では成し遂げたい成果はどのようなものだろうか。前述の①、②、③のグルーピングで見た場合、グループ間では特に大きな差は生じなかったが、①、②、③の中身をみると、①では「異動配置の最適化」(のべ回答社数40社)、②では「経営幹部候補育成」(のべ27社)、③では「戦略・事業に照らしたコンピテンシーの再定義」(のべ19社)について課題を感じている企業が多いことが分かった。

図4.png

成果を見据えた土台作りを

今回の調査では、タレントマネジメントに感心を持ち、あるいは既に取り組んでいる企業の8割が、何らかの成し遂げたい成果をじゅうししていることが明らかになった。当たり前といえば当たり前の結果でもあるが、タレントマネジメントといえばとりあえずシステム導入や人材の見える化に取り組もう、といった土台作りに関する議論で止まっていた以前の状況から考えると、企業担当者のタレントマネジメントに対する意識が非常に高くなってきている状況がうかがえる。

もし御社が今まさに「タレントマネジメントに取り組むにあたってまず何をやればいいのか?」を考えているフェーズであれば、筆者としても是非タレントマネジメントを通じて成し遂げたい成果が何かを明確にするところから始めることをお勧めしたい。

執筆者紹介

和田 実

マネジャー
wada_182×182-150x150.jpg組織・人事領域専門のコンサルティングファームのコンサルタントとして、等級・評価・報酬体系の見直しを中心とした人事制度改革、経営再建に向けた人事リストラクチャリングの推進、キャリアデザイン制度の導入、管理職・リーダー層を対象としたリーダーシップ研修の設計・実施、組織・人事統合に向けた意識調査の実施など、組織・人事にまつわる多岐にわたるプロジェクトをリード。2015年4月より現職。経歴詳細はこちら

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