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HRLF レポート

2019.05.24

HRリーダーズフォーラム 第14講(前編)
「組織・人事マネジメント論② リスクマネジメント」

コンプライアンス 戦略人事

パーソル総合研究所は、「企業経営における戦略パートナーとしての人事」を実現するにあたってキーパーソンとなる次期リーダーの育成を本格的に支援するための学びの場として、「HRリーダーズフォーラム」を開講しました。10テーマにおよぶ人事領域の理論やプラクティスを学ぶ講義と、自社・自組織の課題への打ち手を考察するワークショップ、著名な人事変革リーダーの実体験を聴講する「人事変革ストーリー」など、さまざまな角度から人事パーソンとしての専門性とリーダーシップを高める全15回のプログラムを2019年3月まで開催していきます。


リスクマネジメントとは何か

第14講の前半は、HRリーダーズフォーラム監修委員でありコーディネーターの株式会社パーソル総合研究所 副社長・櫻井功が、人事におけるリスクマネジメントについての講義を行いました。この日は、8月から始まった当プログラムの最終講義。これまでに学んだ知識を総括しながら、様々な視点から企業人事のリスクマネジメントについて考えました。

リスクマネジメントとは
組織や企業の経営の中で、想定される内外の様々なリスクを適切に管理する経営手法の一つ

経営に資するという観点では、想定されるリスクを全体的に管理することで、最大限の利益を得るための経営戦略であるという見方もできるそうです。

混同されやすい言葉として「危機管理(クライシスマネジメント)」というものがありますが、こちらはすでに起きてしまった損失を事後に極小化するためのマネジメントのことで、例えば東日本大震災時の対応などがこれにあたります。

「リスク」と言っても、その中身は実に多岐に及びます。事業そのものにまつわる「事業リスク」の他に、従業員が起こす不祥事などの「人事労務リスク」というのがあります。そして、リスク発生後の損失・対応にかかるコストは、リスクマネジメントに要するコストの何百倍にもなり得るそうです。一度リスクが発生してしまうと、最悪の場合は事業免許の剥奪や、事業の停止・倒産に至ることも。

人事労務リスクで記憶に新しい2016年の電通事件(新入社員の女性が過労を苦にして自殺。労災認定された事件)を振り返ってみると、どの時点でどんな対応ができていたらリスクを回避することができたのか、様々な考察ができそうです。

人事労務リスクの発生によって一発倒産になることは少ないそうですが、ブランドイメージの毀損や損害賠償コストは、企業にとって決して小さなダメージではないでしょう。リスクの兆候をきちんとキャッチし、予防策を投じるリスクマネジメントの仕組みをしっかりと構築しておくことが大切だといいます。


登壇するパーソル総合研究所取締役副社長 櫻井功

リスクマネジメントは「予防」が最も大切である

リスク発生時の対応コストは、リスクを事前に想定しマネジメントするためのコストよりもはるかに大きいため、リスクマネジメントは「予防」が最も大事。リスクマネジメントの実施は、次の4つのステップに沿って行うことが有効です。

  1. リスクの洗い出し
    気づいていないリスクはマネージできない
  2. リスクの評価
    評価できないリスクには優先順位がつけられない
  3. リスク戦略・目標・対策の構築
    戦略と体制を構築し、対策とゴールを決めておかなくては対策が打てない
  4. リスク対策の実施
    対策を打たなくては予防とはならない


STEP1 リスクの洗い出し

リスクと聞くと天変地異などを真っ先にイメージしてしまいがちですが、どんな組織でも発生する可能性の高い「アブセンティーイズム(病気や体調不良で従業員が会社を休むこと)」も、リスクのひとつ。講義では、人事労務リスクの代表的な洗い出し方法として、以下の4つの手法が紹介されました。


【図1】人事労務リスクの代表的な洗い出し方法

人事労務リスクを洗い出す4つの手法

STEP2 リスクの評価

リスクを洗い出したら、リスクマップを用いて整理します。リスクの発生頻度と企業に与える影響度のマトリクスにプロットしながら、自社にとっての各リスクの優先順位を決めます。

【図2】人事・労務のリスクマップ
※こちらはあくまで例示であり、リスクの影響度と発生頻度は企業により異なります

人事・労務のリスクマップ

STEP3 リスク戦略・目標・対策の構築

リスクを洗い出し、リスクの評価をした後に、どのような戦略で、何を目標に対策を講じるかを考えます。

【図3】リスク戦略の4つのアプローチ

リスク戦略の4つのアプローチ

STEP4 リスク対策の実施

リスクの優先順位を確認し、各リスクに対する目標と対策が決定したら、リスク対策の施行に移ります。


第14講リスクマネジメント セッションの様子

経営陣がリスクマネジメントの重要性を理解することも重要

講義では、各社の人事・労務関連リスク体制とその活動について、グループ内でシェアするワークを行いました。中には、数センチの厚みのある規定ブックをご持参された方もいらっしゃいましたが、定期的な見直しまでできている方はほとんどいらっしゃらないようでした。

経営者は、経済的価値に関わる分かりやすいリスクには敏感になりやすい一方で、まだ発生していない影響が予測しづらい人事労務リスクに対しては腰が重くなることが少なくないといいます。しかし、人事労務リスクは前述の通り、発生してしまった後では多大なコストがかかり、ブランドイメージの毀損、ひいては企業の存続にも関わる重要な課題です。「だからこそ、人事がしっかりと人事労務リスクをマネジメントしていく必要がある。」という櫻井の言葉で、講義は締めくくられました。


第14講リスクマネジメント セッションの様子

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