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HRLF レポート

2019.04.10

HRリーダーズフォーラム 第11講
「リーダーシップ開発論 Leadership for everyone」

リーダー育成 人材育成 戦略人事

パーソル総合研究所は、「企業経営における戦略パートナーとしての人事」を実現するにあたってキーパーソンとなる次期リーダーの育成を本格的に支援するための学びの場として、「HRリーダーズフォーラム」を開講しました。10テーマにおよぶ人事領域の理論やプラクティスを学ぶ講義と、自社・自組織の課題への打ち手を考察するワークショップ、著名な人事変革リーダーの実体験を聴講する「人事変革ストーリー」など、さまざまな角度から人事パーソンとしての専門性とリーダーシップを高める全15回のプログラムを2019年3月まで開催していきます。


リーダーシップ開発のヒントは大学に?

企業の将来を担う優秀な人材をいかにして生み出すか。これは各社人事が抱える課題の一つです。人材開発担当者からのニーズも高いリーダーシップ開発が大学で教育されている...?

第11講ではその最前線である立教大学経営学部Business Leadership Program(以下、立教BLP)の授業を参観し、リーダーシップ開発とは何かを学んできました。大学と企業のリーダーシップ開発の基本設計は共通する、という提言から見えてくるリーダーシップ開発とは一体どんなものなのでしょうか。

今回は授業参観とともに以下の方々からお話を伺いました。

(写真右より)

  • 中原 淳先生(立教大学 経営学部 教授)
  • 舘野 泰一先生(立教大学 経営学部 助教)
  • 高橋 俊之先生(立教大学 経営学部 特任准教授)

第11講「リーダーシップ開発論」立教大学の高橋俊之教授・舘野泰一教授・中原淳教授

「経験学習型教育」

立教大学BLPのリーダーシップ開発プログラムは「経験・実践」、その「内省」を重視する「経験学習型教育」であることが特徴であると舘野先生。以下の工程を通じて、自分のリーダーシップ行動の他者からの見え方を理解し、自分の強み・弱み・改善点の理解につなげることを目的としています。

自分らしいリーダーシップの目標を設定

グループワーク

メンバー同士で相互フィードバック

各自振り返り

ではBLPでいうリーダーシップとは何なのか?
それは「学習可能(先天的なものではない)」で、「全員が発揮できる」ものであり、「自分らしさが大切」であるという、通念を覆すリーダーシップでした。

従来考えられてきたリーダーシップ、「才能」であり「役職」であり「周りを引っ張ること」とは異なります。さらにBLPでは、受講している学生だけでなく、運営側にもリーダーシップが醸成されているのだといいます。

第11講「リーダーシップ開発論」立教大学舘野泰一教授登壇の様子

組織でリーダーシップを開発する仕組み

この日参観したのは、1年生の授業(リーダーシップのための論理思考を強化するBL1というクラス)で、すでに論理思考の基礎の学習とプロジェクト実践を終了し、その振り返りを行う回でした。

教壇に立つのは、先生ではなくSAと呼ばれる学生アシスタント。彼らは経営学部の2年生で、つい1年前までは教わる側だった学生です。実は立教BLPの授業は、教員とSAなどの授業をサポートする学生達が一緒になって運営しているのです。

グループワークが主体のプログラムで議論・企画・実践を通してリーダーシップ開発を体感する1年生、運営に携わりながら授業自体を作り一段上のリーダーシップを経験するSAたち(2年生)。そのSAたちがリーダーシップを発揮する様子を見てさらに1年生たちが先を目指す効果もあります。このように経験学習を重層的な構造のなかで生み出すことが、立教大学におけるリーダーシップ開発におけるポイントです。

毎回の授業の後に、教員・SAなどの学生・学部事務局スタッフが集まり、振り返りのミーティングが行われます。2年生のSAが、一年前の自身の経験を通して運営を考え、発言する様子は、まさにここにリーダーシップが育っている! と感じさせられました。

単発の研修とは異なり、複数階層が毎年継続していく仕組みと、学生・教職員・SA・CAが一丸となりチームで授業を作り上げる環境。これが「経験学習型教育」組織で育成するプログラムであると理解できました。

第11講「リーダーシップ開発論」セッションの様子

企業にも通じるリーダーシップ開発の方法とは?


第11講「リーダーシップ開発論」高橋俊之教授登壇の様子

授業参観後、高橋先生より再掲されたリーダーシップとは、「特性論」(優れたリーダーの資質に注目)ではなく、「行動論」(行動に注目し学習・育成の可能性がある)で表せるものだということ。そのため、現在想起できるリーダーシップ開発の方法(以下)の中でも大切なのは、4の経験学習だといいます。

  1. 公式トレーニング(研修など)
  2. 開発行動(仕事の中での活動/360度FB、メンタリング、仕事の割り当て、エグゼクティブ・コーチングなど)
  3. セルフアクティビティ(本を読む、自主学習)
  4. 経験学習 ※重要※

特に重要したい経験学習は、効果を促進させるために以下の3要素が大切。

  • チャレンジ(困難を伴う課題/仕事の中での活動)
  • サポート(支援/トレーニング)
  • アセスメント(評価/相互フィードバック)

これらを踏まえた経験学習型のリーダーシップ学習の基本形は、以下の通り。

経験学習型リーダーシップ学習の基本形「環境」と「仕組み」に注目し、成果目標と成長目標をつなげてあげることがポイントです。
上司と部下のリレーション(1on1や考課など)でも活用できそうですね。

「みんな俺についてこい!」はもう古い?


第9講登壇する中原淳教授の様子

本プログラムの監修者であり、参加者の皆様にとってはお馴染みの中原先生より、企業におけるリーダーシップ開発についてエッセンスを教えていただきました。企業で問われるリーダーシップの多くは=(イコール)カリスマが部下を引っ張る力だと一般には考えられています。しかし、BLPで重視されているのは、別の在り方でした。かつて、日本社会は、高度経済長期に、安くて品質のよいものをとにかく大量につくることが求められていました。同一のニーズのものをとにかく大量生産することが求められていた高度経済成長期と、いまは時代が異なります。たとえば、ランドセルひとつ手に取っても、現代のランドセルは、多種多様で、色、デザインは毎年のように変化します。こうしたなかで、企業に求められるリーダーシップスタイルも「従属者を従える長スタイル」から「みんなが特徴を生かしながら一緒に考えようスタイル」に変化する必要性があるといいます。市場の変化をすばやく全員で察知し、それに適応するためのチームが必要だからです。

背景におけるリーダーシップの在り方の違い


今までとこれからのリーダーシップの在り方の違い多種多様なニーズが拡散している現代社会には、画一した要求に対して役職者が指示をだせば事足りた以前とは違い、それぞれの得意分野を担い共存していく共有型リーダーシップがフィットしやすいようです。ただ、企業の人事としては職位や職責のある役職層には「統率する力」も求めたいところ。各社で実施する時期とステークホルダーを意識する必要がありそうですね。会社という組織の成り立ちから、どんなリーダーシップがいつどこで誰に適切なのか人事の見極めと設計が求められるところです。

最後にお話されたのは、これからの人事・企業を担う受講者たちへのメッセージでした。


大学の事例も、他社企業の事例もそのままコピペはできない。

実践事例からエッセンスを抽出し、自社(自分)の場合に落とし込むことが大切。

学んだエッセンスの中から自社に必要な取捨選択を行い、より良い自社開発につなげることは全プログラムを通して伝えたいことです。

大学の授業見学に講義と、濃厚な時間を過ごした受講生たちはどんなリフレクションを得たのでしょうか。
環境の複雑性が増し自律したリーダーシップが求められる中、それを開発するために人事は何をしなくてはいけないのか? リーダーシップという定義から考え直し、自社課題に向き合うためのきっかけとなる実りある一日だったことでしょう。

第11講「リーダーシップ開発論」セッションの様子

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