パーソル総合研究所

HOMEコラム 第2回 議事要旨『企業価値を高める採用・育成・評価』

<要旨>

問題提起

日本企業がこれから変化し続けるビジネス環境の中で勝ち続けるためには、現在行われている人材マネジメントの何が問題で、求められているタレントマネジメントにするには何をすべきか。

具体的な問題

①そもそも「勝ち続けるために必要なタレント」を定義できていない。
②「勝ち続けるために必要なタレント」に育つ素養を持った人材を適切に採用できていない。
③「勝ち続けるために必要なタレント」に育てるために適切な評価・育成施策が行われていない。

それが及ぼす影響

①採用や評価、育成といった人事管理の機能不全を引き起こし、ビジネス成長に貢献できていない。また人事部組織の機能分化の一因にもなっているのではないか。
②コミュニケーションや協調性といった業務遂行型人材偏重な採用が横行し、同質的な組織文化が醸成される。
③サクセッション・プランのブラックボックス化とそれを容認する組織風土が醸成され、本当に必要な中核候補人材のリテンション効果が効かなくなる。結果としてマネジメント劣化が生じ、部下の成長を阻害する要因にも繋がる。

人事部が行うべき施策

①「勝ちの定義」に基づいて、「勝ち続けるタレントとは何か」を将来志向でしっかりと定義づける。
②達成志向をもって波を作れる人材の採用を重視する。
③年次管理ではなく、個別のタレントに焦点をあてた評価を行う。
明確なサクセッション・プランに基づいた昇進や評価を実施し、曖昧性を極力排除する。
EX:経営人材の場合、実際に経営を経験できる環境をキャリア初期の段階で用意する。

<要旨詳細>

将来的に勝ち続ける企業になるために、
どういった人材を採用し、人材をどう継続的に育て評価していくか?

《採用》

採用時に重視すべき選考ポイントは、その人材が将来にわたって継続的に企業の成長に貢献できる人材になる資質を持っているかである。では、現状行われている採用活動の現場で何が求められているのだろうか。アンケート結果から、コミュニケーション能力やチームで働く力などが上位に挙げられている。たしかに業務を遂行する上では、コミュニケーション能力や協調性などは必要である。

しかし、そうした業務遂行型人材(従順なコーポレートオフィサー)を積極的に採用することで、企業は本当にこれから勝てるのか?グローバル競争が加熱するなか、いま本当に必要な人材は、波に乗れる人材ではなく、「自ら波を作れる人材」ではないだろうか。
では将来的に、「自ら波を作れる人材」とは、若い時どのような資質を有しているのだろうか?代表的なものとして「志」「アグレッシブさ」「巻き込み力」「主体性」などが挙げられるが、その根底には「好奇心」や「達成志向」、「エネルギーレベルの高さ」などがあると考えられる。これらは将来ビジネス環境が激変した中でも高いパフォーマンスを発揮するために必要な学習能力の源泉である。

《評価・育成》

「好奇心」や「達成志向」、「エネルギーレベル」などは採用時には重要であるが、それが売上に直結するわけではない。企業は「勝ち続けるために必要なタレント」に育つ素養を持った人材を、実際に付加価値を生み出す人材へと育てなければならない。しかし、いま日本企業の人材育成は本当に機能しているといえるだろうか。

人材育成の中心的な担い手は現場のマネジメント層だが、日本の中間管理職は、先代の遺産や時代的な背景による日本企業の躍進を自分たちの実力だと勘違いし、修羅場や決断経験を積まないまま管理職となっている傾向が強い。マネジメントのしやすさを優先した評価のもと、尖った部下のクリエイティビティの芽を摘み、同質的な人材の育成を行ってきたといえる。
また人材育成は現場や人事部だけではなく、経営の重要な問題である。本来、経営者自身が将来志向を持って、継続的に勝ち続ける人材をどう育てるべきかを考える必要があるが、学習していない経営者が多いのが事実。
日本企業のタレントマネジメントの大きな問題は、こうした経営者やマネジメント層の質的問題が人材の育成や採用に悪影響を及ぼすという負のスパイラルにある。それを断ち切るためには、経営者を選ぶサクセッション・プランを策定し、従来ブラックボックス化されていた育成や評価に関する議論をオープンにすることから始める必要がある。

日時:2011年12月15日(木)18:30~21:00
場所:株式会社インテリジェンスHITO総合研究所 会議室
参加者:
産能大学大学院 経営情報学研究科 教授 城戸康彰氏
産業革新機構 執行役員 西口尚宏氏
株式会社資生堂 執行役員 アキレス美知子氏
株式会社サイバーエージェント 取締役 人事本部長 曽山哲人氏
バイオ・ラッド ラボラトリーズ株式会社 執行役員 人事総務部長 石山恒貴氏
株式会社インテリジェンスHITO総合研究所 主席研究員 須東朋広氏

事務局:
株式会社インテリジェンスHITO総合研究所 研究員 森安 亮介

※肩書きは当時のものです


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