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2011.04.11

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特集Report Vol.1 震災による採用活動への影響について

キャリア 採用

震災から1ヶ月が経過した今、この1ヶ月間で採用活動がどのように動いたのかを振り返ることで、今回の震災が雇用に与える影響について考察します。

※なお、現時点では被害状況の全容が判明していないこと、また考察の基にしたデータが自社データに依拠するものであることから、考察内容が限定的かつ暫定的な範囲に留まることをご了承ください。

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<転職市場>

震災直後一時的に停滞した採用活動も徐々に回復傾向にある

正社員の求人ニーズは、3月2週を境に新規求人数、面接設定数ともに急落するものの、3,4週を底に回復がみられました。震災直後の急落に関しては、地震そのものの影響というよりは、計画停電や自宅待機のほか、人事担当者が災害対策業務に追われ、手が回らなくなったことが大きく影響しています。また、震災の影響を直接受けていない企業においても、顧客動向や社会的状況を鑑みて採用を後ろ倒ししたことが大きな要因だといえます。
4週目から5週目にかけては、後ろ倒された採用が徐々に再開し、緩やかな回復がみられました。ただ、一部の外資系企業を中心に支社移転や従業員の一時避難がみられ、原発を含めた今後の動きが焦点となります。

【図表1】新規求人数および面接設定数 (3月第1週~第5週)

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※DODA人材紹介サービスよりHITO総研作成

採用計画の見通しが明らかになるのは、早くてGW明けから

今回特に大きな被害を受けた自動車部品メーカーや電子部品メーカーをはじめとする製造業では、採用活動を中止または休止する動きがみられています。また、消費低迷や営業時間短縮への懸念から百貨店やアパレル業態では採用意欲減退の兆しが出始めています。
一方、直接的な被害が限定的だったIT/通信系では、震災直後こそ採用活動を休止する動きがみられたものの、5週目に入ると採用が再開し、震災前の水準まで回復しています。商社や流通各社については、交通インフラの復旧に伴い事業見通しのメドも立ったことから、年間計画に基づいた採用活動を再開する動きがみられます。また素材・食品系メーカーについては、一時大きく落ち込んだ求人も、緊急的な増産などにより5週目には回復しているほか、復興特需が見込まれる建設・不動産業界は回復基調を示しており、早くも人材ニーズが顕在化していることが分かります。
今後の見通しについてはまだ不透明で、製造業を中心に「見通しを立てている」状態にあるといえます。サプライチェーンの復旧状況に加え、電力対策や原発などによる事業計画の見直しが求められるほか、新卒採用の延期が大きく影響し、見通しが立つのはGW明けになることが予想されます。小売業や旅行業などサービス業に関しては、消費マインド悪化による個人消費の下振れが懸念材料となり、採用意欲の減退に繋がることも予想されます。

【図表2】業種別新規求人数(3月第1週~第5週)

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※DODA人材紹介サービスよりHITO総研作成

<アルバイト、派遣、アウトソーシング市場>

採用意欲は減退傾向にあるものの、一部では人員不足が発生

震災直後の求人ニーズ低下は転職市場に限った話ではなく、アルバイト・派遣・アウトソーシング領域においても大きく低下しました。特に小売・外食系企業では、被災地店舗の復旧活動や首都圏地域の営業時間短縮により、求人ニーズは一時停滞しました。
しかし、生保・損保を中心としたコールセンター需要の発生などにより、4週目には派遣を中心にニーズの回復がみられました。また、アウトソーシング領域については、IT通信分野などでインフラ復旧に向けた人手不足が発生したほか、アルバイト領域に関しても、食品・日用品の増産に伴い、物流会社や小売などで突発的な求人ニーズが発生しました。さらに、全国展開する小売・外食系企業については外国人スタッフの帰国が深刻なスタッフ不足を引き起こし、アルバイトへの求人ニーズ増加をもたらしています。

【図表3】派遣における新規求人数(3月第1週~第5週)

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※参考:インテリジェンス人材派遣サービスよりHITO総研作成

長期的には、アウトソーシングの需要や地方の求人ニーズの高まりも

阪神・淡路大震災では、非正規を中心とした雇用契約の相次ぐ解除が問題となりましたが、今回の震災で解雇や雇い止めは再び発生するのでしょうか。
まず、直接被害を受けた企業に関しては、雇用調整助成金や中小企業の経営再建支援策により、ある程度の発生は抑えられるものの今後深刻化することも予想されます。一方で被害を直接受けていない企業に関しては、解雇や雇い止めといった動きは限定的とみられます。リーマンショック以降、各社人件費の見直しを徹底的に行い、必要最低限の人材によって事業を行っているため、大幅な解雇や雇い止め等はないものと考えられます。ただ電力対策や原発問題、消費停滞といった懸念が長引く恐れもあり、今後も注意が必要です。
その一方で、復旧・復興に伴い求人ニーズが発生している業界もあります。短期的なニーズとしては、解体作業・区画整理・道路敷設に関わる作業スタッフや資材運搬に不可欠なトラックのドライバーに対する需要が考えられます。また、これまで中国需要への依存度が高かった建機メーカーにおいても、震災復興ニーズで国内需要が喚起されることが予想され、国内での人材ニーズが発生する見込みです。警備スタッフに関しても、鉄道復旧や道路整備に関連する警備需要の高まりから求人ニーズが発生し、今後も増加することが見込まれます。
中長期的には、データセンター、コンタクトセンター、コールセンター等の拠点分散に伴う、地方での求人ニーズ、アウトソーシングニーズの高まりが見込まれます。今回の震災により、拠点を一箇所におくリスクが表面化したことから、北海道や九州など地方へ主要な活動拠点を分散化させていくことが予想されます。

2011年4月11日
主任研究員 美濃 啓貴
研究員 田中 聡/森安 亮介
URL:http://rc.persol-group.co.jp

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