海外のHRトレンドから3つのテーマを紹介
株式会社パーソル総合研究所のシンクタンク本部は、機関誌HITO「海外のHRトレンド」(2024年6月)を発刊。海外のHR領域において注目される3つのテーマ<BANI><Voice of Employee><Trust>を特集しました。
2023年に発表された主要な学術論文や産業界・公的機関などのレポートから、海外のHR動向を調査し、これから日本においても重要度を増していくと考えられる3つのテーマを選定しました。日本のHR領域のトレンドは海外から輸入されることが多く、最新の海外トレンドを注視し、理解することは、数年後に日本企業が直面するであろう課題を把握するとともに、その解決策や発展につながるような施策のヒントを得ることができます。まだ日本では馴染みのない海外のトピックス(概念)を通じて、日本企業の人事戦略の一助となることを期待しています。
https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/hito/hito22.html
未来研究所(IFTF) 特別研究員
Jamais Cascio氏 〔PROFILE〕未来学者、作家、講演家。人類の未来、情報化時代の教育、創発技術など、さまざまなテーマで講演・執筆を行う。2009年、『フォーリン・ポリシー』誌の「グローバル・シンカー・トップ100」に選出。2017年5月、そのライフワークが認められ、アドバンシング・テクノロジー大学から名誉博士号を授与された。 BANI(バニ)は、現代の複雑で予測不可能な世界を説明するために使われる新しい概念で、特にVUCA(Volatility、Uncertainty、Complexity、Ambiguity)に代わる言葉として注目されています。 VUCAは、変動性、不確実性、複雑性、曖昧性を強調していましたが、BANIは、システムや構造が一見堅固でも脆弱である(Brittle)、不確実性が高まる中での人々の不安(Anxious)、出来事が直線的に進まず予期しない結果が生じる(Non-Linear)、情報過多や複雑さからくる理解困難さ(Incomprehensible)を強調しています。この概念により、現代の厳しい環境や状況をより具体的に捉えることができます。 特集では、BANIを提唱した未来研究所(IFTF)の特別研究員 Jamais Cascio氏へのインタビューを通じて、混とんとした時代に立ち向かうためのヒントやBANIへの対処法などについても詳説しています。 |
Gallup ディレクター
Heather Barrett氏 〔PROFILE〕ジェームズマディソン大学でコミュニケーションの文学士(メディアアート&デザイン・コミュニケーション)を、ジョージタウン大学マクドノー経営大学院で経営学修士(MBA)を取得。複数の企業で人事のリーダーとして人材戦略や組織開発、タレントマネジメントなどに携わった後、アメリカの調査会社Gallupに入社。現在はディレクターとして、クライアントの課題解決や組織変革を支援している。 Voice of Employee(VoE)とは、従業員が仕事に関する意見、要望、提案、懸念などを表明し、企業がそれに耳を傾け、経営に活かす取り組みです。多様な従業員の声を反映することで、職場環境の改善や従業員のエンゲージメント向上、経営の透明性向上やイノベーションの創出が期待されます。特に多様化(性別、年齢、人種、文化、言語、宗教)、そして複雑化する社会において、さまざまなバックグラウンドを持つ従業員の声を取り入れることで、組織はより包括的で公平な環境を作り出すことができます。従業員の声を組織戦略や人事戦略と結びつけることで、持続可能な成長とイノベーションを実現することが求められます。 特集では、世界で先駆けてその価値を認識し、指標を築いてきたGallup社のディレクターHeather Barrett氏に、VoEの関心が高まっている背景や組織戦略への活用について伺いました。 |
カイロ・アメリカン大学
ビジネススクール経済学部 助教 Ismaeel Tharwat氏 〔PROFILE〕パリ・サクレー大学で経済学の博士号を取得。エジプトの地方開発担当副大臣を務め、「アフリカ連合・欧州連合青年協会ハブ」にてアフリカ・ヨーロッパ間の公共福祉向上に貢献した。また、WEFグローバルシェイパーズ・カイロハブのキュレーターも務める。専門は、イノベーションとテクノロジー政策など。 信頼を基盤にした挑戦できる組織文化の育成は、現代のグローバル社会や企業にとって極めて重要です。2024年の世界経済フォーラム(WEF)では、「信頼の再構築」がテーマとして掲げられました。気候変動、経済格差、偽情報の拡散など、複雑な課題に対処するためには、関係者間の信頼が不可欠です。企業においては、COVID-19のパンデミックにより、リモートワークやハイブリッドワークが普及し、社内の信頼関係に影響を与えたことが注目されました。 企業では、従業員の声を聴き、オープンなコミュニケーションを推進することで信頼関係を強化することが求められます。信頼に基づく組織文化が、エンゲージメント向上やイノベーションの源泉となり、持続可能な成長を実現します。 特集では、経済学を幅広く研究し、経済における信頼の重要性についてWEFにも寄稿もした、カイロ・アメリカン大学 ビジネススクール経済学部 助教のIsmaeel Tharwat氏に伺いました。 |
機関誌「HITO」は、組織・人事における様々なテーマについて、調査分析や共同研究の成果の解説、識者インタビュー、事例取材、寄稿などを通して、課題の要因を探り、解決方針を提示する人と組織に関する専門情報誌です。
https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/hito/hito22.html
株式会社パーソル総合研究所 広報
TEL:03-6385-6888 Mail:prc_pr@persol.co.jp