連載コラム「プロジェクトの詰まり」を解きほぐす“設計”の話 第6回/全6回
ここまでの連載では、
という問いを通じて、プロジェクトの詰まりについて考えてきました。
その背景には、意思決定、前提、依存関係、役割と責任といった要素があり、それらが見えなくなったときに、プロジェクトは停滞しやすくなります。しかし、それらを整理できたとしても、プロジェクトが計画通りに進むとは限りません。なぜなら、プロジェクトを取り巻く環境そのものが変化し続けるからです。
部門の優先順位が変わる。関係者が異動する。新たな制約やリスクが見つかる。市場や顧客の状況が変わる。こうした変化は、特別な出来事ではありません。むしろ、部門横断プロジェクトでは日常的に起こるものです(図1)。
そのため、本当の問題は「変化が起きること」ではありません。変化が起きているにもかかわらず、
といったように、変化に応じて見直しをしないことが問題なのです。
私たちは、プロジェクトが停滞すると、「計画が悪かったのではないか」と考えがちです。もちろん計画は重要です。しかし、変化が起き続ける環境では、計画そのものよりも、状況に応じて見直し続けられるかどうかの方が重要になります。
実際、前回までに取り上げてきた、
といった要素も、一度整理したら終わりではありません。プロジェクトの状況が変われば、それらも変わります。だからこそ必要になるのが、継続的な確認と判断です。
前提は今も成り立っているか。依存関係は変わっていないか。役割や責任は曖昧になっていないか。新たに判断すべきことはないか。こうした問いを繰り返しながら進めることが、複雑なプロジェクトでは欠かせません。
「プロジェクトマネジメント」というと、計画を立て、その計画通りに実行することだと思われることがあります。しかし実際には、プロジェクトは計画だけでは動きません。関係者の認識を揃え、必要な情報を集め、判断を促し、その結果を実行につなげる。そして、変化が起これば再び状況を確認し、判断し直す。その繰り返しの中で前に進んでいきます。
第2回で触れたように、プロジェクトマネジャーの役割は、単に進捗を管理することではなく、意思決定を支えることにもあります。複雑なプロジェクトで求められるのは、正解を持つことではありません。関係者が状況を理解し、必要な判断を行い、前に進める状態をつくることです。言い換えれば、プロジェクトとは計画を守り切る活動ではなく、変化の中で判断を整え続ける活動なのかもしれません(図2)。
この連載では、プロジェクトが止まる背景にある構造を、意思決定、前提、依存関係、役割と責任という視点から見てきました。どれも、計画書やWBSだけでは見えにくいものです。しかし、実際にプロジェクトを前に進めるのは、そうした見えにくい要素であることも少なくありません。
もし明日、自分のプロジェクトを見直すとしたら、まず確認すべきは進捗率だけではないかもしれません。今、何が変わったのか。その変化に、私たちは気づけているのか。そして、その変化に対応するための判断ができているのか。プロジェクトの詰まりを解きほぐす第一歩は、そこから始まるのではないでしょうか。
連載コラム「プロジェクトの詰まり」を解きほぐす“設計”の話 第6回/全6回
CONTACT US
こちらのフォームからお問い合わせいただけます