連載コラム「プロジェクトの詰まり」を解きほぐす“設計”の話 第5回/全6回
DX推進、業務改善、新規事業、研究開発などの部門横断プロジェクトでは、会議で大きな反対が出ないにもかかわらず、なぜか前に進まないことがあります。誰も異論を唱えていない。方向性にも大きな違和感はなさそう。それなのに、次のアクションに移ろうとすると動きが鈍くなる。そのような状況に心当たりはないでしょうか。
こうした状況は、当事者意識や巻き込み不足の問題として語られることがあります。もちろん、それらが原因である場合もあります。しかし、もう一段構造的に見ると、役割や責任の設計が曖昧なまま進んでいることがあります。
特に部門横断プロジェクトでは、「参加していること」と「責任を持って進めること」は同じではありません(図1)。会議に出る。内容を確認する。判断する。実行する。部門内に展開する。これらは似ているようで、それぞれ異なる役割です。
問題が起きやすいのは、特に「確認」と「判断」が混ざっているときです。確認は、情報や前提、影響を確かめること。判断は、複数の選択肢の中から進む方向を決めることです。この二つが曖昧なままだと、
という状態が続き、なかなか決定に至りません。さらに、誰が実行し、誰が部門内に展開するのかが決まっていなければ、会議で合意していても現場は動き出せません。
誰も反対していないのに止まるとき、問題は合意形成そのものではなく、合意の後に必要な役割が見えていないことかもしれません(図2)。誰が確認するのか。誰が判断するのか。誰が実行するのか。そして、誰が周囲に働きかけるのか。関係者を集めるだけでなく、それぞれがどの役割を担うのかを明確にすることが重要です。
誰も反対していないのに止まる。その背景には、関係者の意欲や協力の不足ではなく、「誰が確認し、誰が判断し、誰が動くのか」が曖昧なまま進んでいることがあるのかもしれません。
ここまで、プロジェクトで意思決定が進まない理由を出発点に、前提、依存関係、役割と責任という視点から、プロジェクトの詰まりを見てきました。しかし実際のプロジェクトでは、それらを整理しただけでは十分ではありません。変化し続ける環境の中で、前提も関係者も状況も変わっていきます。次回の最終回では、そうした変化に適応しながらプロジェクトを前に進めるための考え方について取り上げます。
連載コラム「プロジェクトの詰まり」を解きほぐす“設計”の話 第5回/全6回
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