ソリューションコラム

なぜ手戻りは繰り返されるのか ~「プロジェクトの詰まり」を解きほぐす“設計”の話 ④~

公開日:

執筆者

 プロダクト&マーケティング本部 プロダクトマネジメント部 プロジェクトマネジメントグループ シニアコンサルタント

プロダクト&マーケティング本部 プロダクトマネジメント部 プロジェクトマネジメントグループ シニアコンサルタント

中村 亜子

なぜ手戻りは繰り返されるのか ~「プロジェクトの詰まり」を解きほぐす“設計”の話 ④~

連載コラム「プロジェクトの詰まり」を解きほぐす“設計”の話 第4回/全6回

DX推進、業務改善、新規事業、研究開発などの部門横断プロジェクトでは、「手戻り」は避けたいことの一つです。一度決まったことをやり直す。作った成果物を修正する。関係者への説明や合意形成を再度行う。こうした手戻りが続くと、スケジュールは遅れ、現場の負荷も高まります。

そのため、

  • もっと早く確認すべきだった
  • 関係者への共有が足りなかった
  • レビューが不十分だった

と振り返られることが少なくありません。

もちろん、それらが原因である場合もあります。しかし、同じような手戻りが繰り返される場合、その原因は確認不足だけではないことがあります。

手戻りは、「影響のつながり」が見えていないことで発生する

たとえば、

  • ある部門の判断が遅れたことで、後続の作業が止まる
  • 仕様の変更によって、複数の成果物を修正することになる
  • 一つの合意の変更が、別部門での再調整につながる
  • 顧客との約束の変更が、社内承認のやり直しを招く

こうした状況では、一つの変更や遅れが別の工程や関係者に波及し(図1)、結果として手戻りが発生します。

図1:一つの変更は、思った以上に広範囲に影響する

つまり、手戻りの本質は「作業を間違えたこと」ではなく、「影響のつながりが見えていなかったこと」にある場合があります。

特に部門横断プロジェクトでは、タスクだけでなく、判断、承認、合意、部門間の調整なども複雑につながっています。

何が変わると、どこに影響するのか――「見えにくい依存関係」を把握する

しかし、私たちが普段目にしているのは、スケジュールやタスク一覧であることがほとんどです。担当者は動いている。会議も行われている。タスクも進んでいる。それでも手戻りが発生するのは、作業そのものではなく、その背後にある依存関係(図2)が十分に見えていないからかもしれません。

図2:「見えているタスク」と「見えにくい依存関係」

経験豊富なプロジェクト・マネジャーほど、先回りをして課題を捉えているように見えることがあります。しかし実際は、経験や勘だけでなく、「何が変わると、どこに影響するのか」という見えにくい依存関係を把握しているからこそ、課題を捉えることができるのです。

この変更は、どこに影響するのか。この判断が遅れると、誰の作業が止まるのか。手戻りの原因は、作業そのものではなく、その先に広がる影響のつながりにあるのかもしれません。

執筆者紹介

 プロダクト&マーケティング本部 プロダクトマネジメント部 プロジェクトマネジメントグループ シニアコンサルタント 中村 亜子

プロダクト&マーケティング本部 プロダクトマネジメント部 プロジェクトマネジメントグループ シニアコンサルタント

中村 亜子 Ako Nakamura

大手電機メーカーにて国内外の開発・技術者向けのサービスマニュアル作成や技術研修企画・運営を担当。その後、部品メーカーにてアジア事業の経営企画を中国・香港で経験したのち、2006年よりパーソル総合研究所(旧 富士ゼロックス総合教育研究所)にて人材育成、研修ビジネスに携わる。現在はプロジェクトマネジメント、ビジネスアナリシス領域を中心に主に研究開発、技術者を対象とした人材育成、組織開発のコンサルテーション、コンテンツ開発に携わる。

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