連載コラム「プロジェクトの詰まり」を解きほぐす“設計”の話 第2回/全6回
プロジェクトを進めていると、「前回の会議で合意したはずなのに、また同じ議論をしている」という場面に遭遇することがあります。
誰かが反対しているわけではない。議事録にも「了承済み」と残っている。それなのに次の会議になると、「そういう認識ではなかった」と話が戻ってしまうのです。こうした状況は一見、「関係者の理解不足」や「コミュニケーション不足」が原因であると思われがちです。しかし実際には、もう少し構造的な問題が隠れています。
それは、「何について合意したのかが揃っていない」という問題です。
たとえば、次のような状況に心当たりはないでしょうか。
このような状況では、一見すると合意できているように見えても、実際には参加者それぞれが異なる要求や期待値を持ったまま会議を終えています。ある人は「方向性について合意した」と思っている一方で、別の人は「詳細まで承認された」と考えているかもしれません。その結果、「そういう意味ではなかった」という認識のズレが後から表面化します(図1)。
つまり問題は、「合意をしていないこと」ではありません。真の問題は、「何について、どこまで、誰が同じ認識を持っているのかが、揃っていない」ということです。
特にDX推進や業務改善、研究開発のように、多くの関係者が関わる取り組みでは、要求や期待値が途中で少しずつ変化します。そのため、一度合意しただけでは十分ではありません。
だからこそ必要なのは、「合意を設計すること」です。何をもって完了とするのか。どこまでを対象範囲とするのか。どの前提の上で議論しているのか。誰が最終的な責任を持つのか。こうしたことが明確になって初めて、合意は維持されます(図2)。
もし最近、「決めたはずなのにまた戻る」と感じているのであれば、参加者の姿勢よりも先に、合意の設計を見直してみてください。プロジェクトで重要なのは、合意の回数ではありません。合意を維持できる状態になっているか。そこにプロジェクトが前に進むか停滞するかの分かれ道があります。
次回は、「なぜ計画通りに進めても崩れるのか~計画ではなく前提を設計する~」をテーマに、プロジェクトでくり返し起こる“前提崩れ”について考えてみます。
連載コラム「プロジェクトの詰まり」を解きほぐす“設計”の話 第2回/全6回
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