ソリューションコラム

なぜ計画通りに進めても崩れるのか ~「プロジェクトの詰まり」を解きほぐす“設計”の話 ③~

公開日:

執筆者

 プロダクト&マーケティング本部 プロダクトマネジメント部 プロジェクトマネジメントグループ シニアコンサルタント

プロダクト&マーケティング本部 プロダクトマネジメント部 プロジェクトマネジメントグループ シニアコンサルタント

中村 亜子

なぜ計画通りに進めても崩れるのか ~「プロジェクトの詰まり」を解きほぐす“設計”の話 ③~

連載コラム「プロジェクトの詰まり」を解きほぐす“設計”の話 第3回/全6回

DX推進、業務改善、新規事業、研究開発など、部門をまたぐプロジェクトでは、計画を立て、スケジュールを引き、役割を決めて進めることが一般的です。

しかし実際には、

  • 計画通りに進めているはずなのに途中から噛み合わなくなる
  • 当初想定した進め方では対応できなくなる
  • 大きなトラブルはないのに停滞が生まれる

といった状況が少なくありません。

このとき現場では、「計画が甘かった」「見積もりが不十分だった」「関係者の協力が得られなかった」と捉えられがちです。しかし、もう一段手前に目を向けると、その計画がどのような前提の上に成り立っていたのかが見えなくなっていることがあります。

プロジェクト計画を支える「見えない前提」

ここでいう「前提」とは、スケジュールや予算だけではありません。「この部門は協力してくれる」「必要な判断は予定通り下りる」「このテーマは優先される」といった、関係者が暗黙のうちに共有している認識や期待も含まれます(図1)。

図1:プロジェクト計画を支える「見えない前提」

たとえば、

  • 部門の優先順位が変わった
  • 意思決定に想定以上の時間がかかるようになった
  • 現場負荷が想定より大きいことが分かった
  • 新たな制約やリスクが見つかった

という変化は、部門横断プロジェクトでは珍しくありません。

その前提は、今も成り立っているか

問題は、前提が変わることそのものではありません。本当の問題は、前提が変わっているにもかかわらず、そのままの計画や進め方で進もうとしてしまうことです(図2)。

図2:前提が変わったのに、計画を据え置くと崩れ始める

計画とは、関係者が同じ前提の上に立って動き始めるための約束事です。だからこそ確認すべきは、「計画通りに進んでいるか」ではなく、「計画を支えている前提は、今も成り立っているか」です。もし計画通りに進めているはずなのにどこか噛み合わない感覚があるなら、それは進捗管理の問題ではなく、前提の共有や更新の問題かもしれません。

このプロジェクトは、どのような前提の上に成り立っているのか。もしその問いにすぐ答えられないのであれば、計画が崩れ始めているのではなく、それを支えていた前提が崩れ始めているのかもしれません。

執筆者紹介

 プロダクト&マーケティング本部 プロダクトマネジメント部 プロジェクトマネジメントグループ シニアコンサルタント 中村 亜子

プロダクト&マーケティング本部 プロダクトマネジメント部 プロジェクトマネジメントグループ シニアコンサルタント

中村 亜子 Ako Nakamura

大手電機メーカーにて国内外の開発・技術者向けのサービスマニュアル作成や技術研修企画・運営を担当。その後、部品メーカーにてアジア事業の経営企画を中国・香港で経験したのち、2006年よりパーソル総合研究所(旧 富士ゼロックス総合教育研究所)にて人材育成、研修ビジネスに携わる。現在はプロジェクトマネジメント、ビジネスアナリシス領域を中心に主に研究開発、技術者を対象とした人材育成、組織開発のコンサルテーション、コンテンツ開発に携わる。

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