「DXを進めたい」「業務改善を前に進めたい」「研究開発の取り組みを事業につなげたい」――同じ思いでプロジェクトは動き出したはずなのに、実際には「会議はしているのに決まらない」「誰も反対していないのに次に進めない」「合意したはずの内容が後で揺らぐ」といった停滞に直面することがあります。
こうした停滞の背景には、担当者の努力や熱意だけでは解消しきれない、“進め方の設計”の問題があります。このとき、多くの現場では、停滞の原因を「特定部門に任せ過ぎている」「現場の協力が足りない」「人材が足りない」と捉えがちです。しかし、本当に見直すべきことは、もっと手前にある“仕事の進め方”かもしれません。
たとえば、次のような状態に心当たりはないでしょうか。
このような状態では、関係者が真面目に動いていても、議論の前提が少しずつずれていき、結果として意思決定が先送りされやすくなります。そのため、会議の数だけが増え、停滞が何度も繰り返されてしまいます。つまり、問題は「誰かが頑張っていないこと」ではなく、「何を決める場なのか」「誰が決めるのか」「何をもって前に進んだとみなすのか」といった認識が揃っていないことにあります。
「決めること」における認識の不揃いの影響は、DX推進、業務改善、研究開発のいずれにおいても、複数の部門が関わる取り組みほど大きくなります。だからこそ必要なのは、「相手を説得すること」よりも先に、「何を、誰が、どう決めるのか」を言語化し明確化することです。もし最近、「会議はしているのに決まらない」と感じているなら、参加者の姿勢より先に、意思決定の設計を疑ってみる必要があります。
では、視点を会議からもう一段広げて考えてみましょう。
「このプロジェクトは、何のために、何を、誰が、いつまでに進めるのかを、関係者が同じ言葉で説明できますか?」
この問いにすぐ答えられないなら、そのプロジェクトで今起きている停滞や詰まりは、人の数や能力といったリソースの問題ではなく、設計の問題として見直す価値があります。
そして、この「設計の問題」を捉え直すうえで欠かせないのが、プロジェクト全体を一貫した軸で捉える“統合”の視点です。プロジェクトマネジメントの本質は、個別最適ではなく全体最適を実現することにあります。だからこそ今、問うべきは、「このプロジェクトは、きちんと統合されているか」です。
目的や優先順位、意思決定の基準や責任の所在は、関係者の間で本当に同じようにつながっているでしょうか。もし「会議はしているのに決まらない」という違和感があるとしたら、その答えは既に、現場の中に現れているのかもしれません。
連載コラム「プロジェクトの詰まり」を解きほぐす“設計”の話 第1回/全6回
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