連載コラム「キャリア開発風土醸成へ ―管理職の役割と求められる教育」 第5回/全12回
キャリア面談について、前々回で「What(キャリア面談とは)」、前回で「Why(キャリア面談の目的)」を紹介してきました。今回は、「How ①(現場での進め方)」について検討していきます。
キャリア面談は、面談当日だけで完結するものではありません。大きくは「事前準備」「面談当日」「フォローアップ」の3つのステップに分けてとらえることができます(図表1)。事前準備とフォローアップも含めた全体を、1つの活動としてとらえることが重要です。
面談を有益な時間とするために、まずはメンバーが記入したキャリアプランシートに目を通し、「確認したいこと」と「伝えたいこと」を整理しておきましょう。ここで重要なのは、上司である自分が知りたいことを確認するという視点ではなく、メンバーの考えや意向を明確にしたり、気づきを促したりするための問いを準備することです。
あわせて、メンバーの状況に応じて活用できる社内制度や育成機会についても事前に確認しておくと、面談の中でより具体的な対話につなげることができます。
キャリア面談はメンバーが主役となるので、「メンバーの話を聞く」ことに多くの時間を割くことを意識してください。面談時間が短すぎると、表面的な会話で終わってしまう可能性が高いため、最低でも30分、できれば1時間程度の時間を確保することが望まれます。
いきなり本題に入るのではなく、まずはメンバーの日頃の頑張りに対するねぎらいや感謝の言葉から始めましょう。こうした導入によって安心・安全な場が生まれ、その後の対話も進めやすくなります。
メンバーの緊張がほぐれたところで、面談の目的を簡潔に伝えます。目的の共有は面談の成果にも大きく影響する重要な要素であるため、意識して伝えることが必要です。
その後は、メンバーの話を聞く時間に入ります。この時間がキャリア面談の中心となります。上司は聞き手として、メンバーの話に丁寧に耳を傾けます。
キャリアプランシートの項目は企業ごとに異なりますが、「Will・Can・Must」の観点に加え、現在の仕事のとらえ方や今後の希望などが主なテーマとなるでしょう。単に項目を順番に確認するのではなく、過去から将来へとつながる流れで対話を進めることで、自然に話を深めることができます(図表2)。
特に新たに加わったメンバーの場合は、これまでの業務経験や強みを丁寧に振り返ることで、上司自身の理解も深まります。
なお、上司自身の考えと異なる意見がメンバーから出てきた場合でも、否定せずに受け止めることが重要です。そのうえで、組織として期待すること、考えてほしいと思っていることを伝えます。上司とメンバーの考えにギャップがあったとしても、無理やり一致させる必要はありません。その違いやメンバーのもっている気持ち、考えについて、どうとらえていくかといった話し合いにつなげてください。
メンバーに向き合い、相手を理解しながら面談を進めていくと、一度の面談でキャリアの話が完結することは難しいと感じるはずです。そのため、日頃のコミュニケーションの中でも対話を継続し、「メンバーと一緒に考える」「上司として応援し続ける」という姿勢をもつことが重要になります。
面談後は、メンバーとの対話内容を振り返り、今後どのように支援していくかを考えます。面談で明らかになったメンバーのありたい姿に向けて、経験やスキル開発につながる仕事をアサインしたり、社内で参考になりそうな先輩を紹介したりするなど、継続的にフォローしていくことが重要です。こうした小さな積み重ねが、メンバーの成長促進につながります。また、上司が伴走していることをメンバー自身が実感することで、信頼関係の深化にもつながります。
さらに、定期的に進捗を確認しながら、本人の考えや状況の変化に耳を傾けることも大切です。継続的な対話を通じて、新たな挑戦や成長の機会につなげていきましょう。
次回は、上司向けのキャリア面談力を向上させるための研修・プログラム設計のポイントについて取り上げます。

産労総合研究所 『企業と人材』2026年8月号より転載
連載コラム「キャリア開発風土醸成へ ―管理職の役割と求められる教育」 第5回/全12回
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