部下のキャリア開発には、上司である管理職の支援が重要であり、支援は日常から継続的に行うことが大切であることは、前号まででも触れました。そして、コロナ禍以降、キャリア自律の重要性が一層認識されるなか、会社の制度として「キャリア面談」を取り入れる企業も増えています。そこで今号から4回にわたり、「キャリア面談」を有効に活用するための進め方、部下の理解の仕方、管理職の育成方法などを、データも交えてご紹介します。
皆さんの会社に「キャリア面談」の制度はありますか。目標面談や評価面談は、従来より多くの企業で実施されてきましたが、近年はそれに加えてキャリア面談の導入が進んでいます。
上司と部下のキャリア面談の実施状況について、独立行政法人労働政策研究・研修機構による「企業におけるキャリア支援の現状と課題(2025年)」では、必須・任意を合わせると、すべての年齢層で6割以上が実施されていると報告されています。さらに、公益財団法人21世紀職業財団が実施した「男女正社員対象 DEI推進状況調査(2022年)」では、企業規模10,001人以上において、総合職男性の72.2%、総合職女性の75.3%が「キャリア面談の施策がある」と回答しています。これらのデータから、特に大企業での導入が進んでいることがうかがえます。
一方で、管理職からは、多忙な業務のなかで「また業務が増えた」「やってもらったことがないので、やり方がわからない」「部下も望んでいないのではないか」など、戸惑いの声も少なくありません。
パーソル総合研究所では、キャリア面談を定期的に実施している従業員数500人以上の企業に勤めており、かつ、キャリア面談を複数回経験している非管理職を対象に「キャリア面談に関する調査 2023」を実施し、キャリア面談という場をどのような機会ととらえているかを確認しました(図表)。
その結果、「今後の仕事に関する希望を話せる機会」ととらえる人が75.8%(「強くそう思う」+「少しそう思う」、以下、すべて同じ)で最も高く、次いで「異動希望を伝える機会」が72.4%となりました。キャリア面談は、仕事そのものについて話す場という印象が強いことがうかがえます。また、「自分のこれからのキャリアにとって役立つ機会」(60.8%)や「本音を話せる機会」(65.8%)と、ポジティブにとらえる回答も多く見られました。一方で、「正直なところ、何のためにやるのかわからない」(44.6%)、「できればやりたくない」(46.0%)といったネガティブな反応も約半数に上りました。
これらの結果から、部下の多くは、キャリア面談に対して何らかの効果を認めていると考えられますが、同時に、意義や効果を明確にとらえられていない人が一定数存在することも明らかになりました。
部下がキャリア面談の意義や効果を理解していないとすれば、上司からの説明・伝達が十分ではない可能性が考えられます。同調査では、上司が面談で何をしてくれたかも確認していますが、「上司はキャリア面談の目的を話してくれる」と回答した割合は64.8%でした。裏を返せば、目的の説明ができていない、あるいは伝わっていない層が約35%存在することになります。
これは管理職だけの問題ではありません。会社は、キャリア面談の制度について「何のために行うのか」を管理職に丁寧に説明できているでしょうか。制度として実施する以上、趣旨はもちろん、実施後のフォロー施策、結果の取り扱い(どのように反映されるのか/されないのか)まで設計し、管理職の理解を得ることが重要です。
また、キャリア面談の目的は1つだけではありません。部下の年次・経験・業務特性に応じて、その部下に合わせた目的を設定し、伝える工夫が求められます。これを管理職だけに委ねるのは負担が大きいため、制度の詳細設計を社内であらためて検討し、共通のガイドを整備することが望ましいでしょう。
上司が「やらされ感」で臨むのではなく、上司・部下双方にとって有意義な時間となるよう、目的の共有とフォローの仕組みを整えていきたいものです。
次回は、キャリア面談の目的について、詳しく考えていきたいと思います。

産労総合研究所 『企業と人材』2026年6月号より転載
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