調査結果 02
若年就業者の
ウェルビーイングと
学びに関する定量調査
<高卒・専門学校卒・短大卒編>
今回の調査は、若年就業者のウェルビーイングと学びに関して「高卒・専門学校卒・短大卒の若年就業者における多様な活躍とウェルビーイング(主観的幸福感)に重要となる資質・能力・適性を明らかにする」「高卒・専門学校卒・短大卒の活躍とウェルビーイング(主観的幸福感)のために重要となる仕事経験/最終卒業校時代の学び・経験の内容を探る」ことを目的として実施しました。
幸せな活躍実態
若年層の「幸せ(はたらく幸せ実感)」を「私は、はたらくことを通じて、幸せを感じている」などの5項目、「活躍(個人のジョブ・パフォーマンスの高さ)」を「顧客や関係者に任された役割を果たしている」「担当した業務の責任を果たしている」などの5項目で測定。「幸せ」と「活躍」のそれぞれ5項目の平均値を標準化した上で2つの平均値を足し合わせた数値を、「幸せな活躍(活躍していて幸せ)」の度合いとして定義した。
「幸せ」と「活躍」のいずれも平均値より高い層を「幸せな活躍をしている人(幸せな活躍層)」とすると、幸せな活躍をしている割合は、いずれの最終卒業校においても3割前後であった。
図1.幸せな活躍をしている人の割合
*「若年就業者のウェルビーイングと学びに関する定量調査」 https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/assets/hatachikara.pdf
幸せな活躍層の学び実態
高卒で幸せな活躍をしている層は、高卒全体と比べて「学びや学習に前向きにとりくんでいる」人が2.2倍多く、58.4%。
専門学校卒や短大卒においても、幸せな活躍をしている層は「学びや学習に前向きにとりくんでいる」人が多い。
図2.幸せな活躍層の学習意欲
*「若年就業者のウェルビーイングと学びに関する定量調査」 https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/assets/hatachikara.pdf
幸せな活躍につながる重要な学び特性
前回の調査(*)で明らかになった幸せな活躍につながる5つの学び特性と幸せな活躍との関連を見たところ、積極的に人を巻き込みながら学ぶ「ソーシャル・ラーニング」、困難な事からこそ学ぶ「ラーニング・レジリエンス」、いくつかの学びや経験を架橋する「ラーニング・ブリッジング」の3つの学び特性が、最終卒業校にかかわらず、共通して幸せな活躍と関連していた。
図3.特に重要な学び特性
*「若年就業者のウェルビーイングと学びに関する定量調査」 https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/assets/hatachikara.pdf
学び特性と関連する仕事経験、研修・訓練・学習
幸せな活躍につながる「ソーシャル・ラーニング」「ラーニング・レジリエンス」「ラーニング・ブリッジング」の学び特性と関連する仕事経験や社会人の学び経験は最終卒業校によって異なる。高卒の社会人は学びの行動・経験が全般的に乏しく、社内外の交流で他者から刺激を得ることが幸せな活躍につながる学び特性と関連している。専門学校卒や短大卒の社会人は、知識・スキルの研鑽や他者からのアドバイスで専門性を深めて経験の幅の拡張を行うことが幸せな活躍につながる学び特性と関連している。
図4.学び特性に関連する仕事経験/研修・訓練・学習
社会人での学び特性に関連する最終卒業校での学び・経験項目
幸せな活躍につながる「ソーシャル・ラーニング」「ラーニング・レジリエンス」「ラーニング・ブリッジング」の学び特性と関連する学び・経験は、最終卒業校によって異なる。高卒は、探究活動が社会人での学び特性に強く関連している。専門学校卒は将来と直結する経験からの学び、短大卒は実習などでの知識活用が社会人での学び特性に関連している。
図5.社会人での学び特性に関連する最終卒業校での学び・経験
まとめ
今回の調査で、大卒だけでなく、高卒・専門学校卒・短大卒の社会人においても、幸せに活躍している若者は、主体的な学びの意欲が高いことがわかりました。また、積極的に人を巻き込みながら学ぶ「ソーシャル・ラーニング」、困難な事からこそ学ぶ「ラーニング・レジリエンス」、いくつかの学びや経験を架橋する「ラーニング・ブリッジング」の3つの学び特性が、最終卒業校にかかわらず、共通して若年社会人の幸せな活躍に影響していることが明らかになりました。
一方で、学び特性につながる具体的な学びのポイントは最終卒業校によって異なっています。
社会人になってからの学びのポイントとして、高卒は普段の生活から一歩踏み出して社内外の人から刺激を得ること、専門学校卒や短大卒は学習機会や他者からアドバイスを得られる機会を確保することで専門性を深めて経験の幅を拡張することが幸せな活躍につながるといえそうです。
また、最終卒業校でのポイントとして、高卒は探究活動、専門学校卒はインターンシップなどの実社会との接点確保、短大卒は実習・インターンシップなどでの知識活用を行うことが社会人になってからの幸せな活躍につながることがわかりました。
教科や知識の学習だけでなく、視野や行動範囲を広げ、他者とのかかわりから学ぶことや学びや経験を仕事に結びつけていくことが、最終卒業校にかかわらず、これからの世代の豊かなキャリアにつながるといえます。
調査概要
調査名称 | パーソル総合研究所・ベネッセ教育総合研究所・中原淳「若年就業者のウェルビーイングと学びに関する定量調査」<高卒・専門学校卒・短大卒編> |
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調査内容 | ①高卒・専門学校卒・短大卒の若年就業者における多様な活躍とウェルビーイング(主観的幸福感)に重要となる資質・能力・適性を明らかにする ②高卒・専門学校卒・短大卒の活躍とウェルビーイング(主観的幸福感)のために重要となる仕事経験/最終卒業校時代の学び・経験の内容を探る |
調査手法 | 調査会社モニターを用いたインターネット定量調査 |
調査時期 | 2022年7月28日–8月2日 |
調査 対象者 |
有期雇用を除く25~35歳の就労者 1600名 ※全国、高卒/専門学校卒/短大卒/大卒・院卒 各最終卒業校400名 ※業種・職種は不問 |
実施主体 | パーソル総合研究所・ベネッセ教育総合研究所・中原淳(ハタチからの「学びと幸せ」探究ラボ) |
※本調査を引用いただく際は、出所として『パーソル総合研究所・ベネッセ教育総合研究所・中原淳「若年就業者のウェルビーイングと学びに関する定量調査<高卒・専門学校卒・短大卒編>」』と明記してください。