第4回:「成果に近づいているか」リモート環境における戦略遂行・タスク管理

公開日 2020/11/20

新型コロナの影響を受け、BtoBの営業も大きく変わろうとしています。

そこで本連載ではシリーズテーマ「テレワーク時代のBtoB営業組織のあり方」として全5回のコラムをお届けいたします。

第4回は、「成果に近づいているか」リモート環境における戦略遂行・タスク管理について考えていきます。

目次

テレワーク化によって発生するBtoB営業の〝新たなる課題〟

新型コロナの影響以前からあった、「テレワークの要請」に対して全く応えられなかった企業の要因の一つに、「離れている社員の仕事の進捗(全体成果への貢献)をどう管理するのか」というミドルマネジャーや経営トップの不安があったと思います。

〝営業〟の世界では〝結果〟こそ数値で管理できますが、プロセスに関しては前述(第3回)のように、必ずしもうまくマネジメントできていませんし、今期の数字だけでなく、将来への種まきも含めリモートでマネジメントしていかなければなりません。そこではトップだけでなくミドルも含めた、バランスの良い戦略の構想力、成果へのつながり(トレーサビリティー)、意味ある進捗(KPI)マネジメントが必要になります。

 

数年前、オフィスのフリーアドレス化(座る席が自由)が登場したころ、「部下がどこにいるかわからないのでマネジメントできない」というお客様が多く、閉口した覚えがあります。席が自由になっただけでマネジメントできないのですから、テレワークになった今、さぞ困惑しているであろうことは想像に難くありません。

こうした状況の原因としては、訪問件数や提案件数など、会社から与えられているKPIが「自分のものになっていない」ことや、日々発生する不安を「おい、あの案件どうなってる?」と都度確認することによって安心している「場当たり的」マネジメントが考えられます。

 

バランスの良い戦略とは

訪問件数一つをとっても、その目的は「明日への種まき」から「キーパーソンとの関係構築」「商談クロージング」と多様で、どういった目的の訪問をどれくらいやるのか、それらはどのようなストーリー性をもってつながっていくのかを考えなければなりません。

ただ、一言で「バランスの良い戦略の構想力」といっても、そのような訓練をしてきていないミドルマネジャーにとっては、ハードルが高いことでしょう。そこで、十数年前に非常に流行し、今なお戦略フレームワークのスタンダードとなっているBSC(バランスド・スコア・カード)の考え方を活用して、部門戦略を簡易に立案・展開する方法を解説いたします。混迷を深める今こそ再注目されるべき内容だと考えます。

 

成果へのつながり(トレーサビリティー)を担保する上で重要なことは、目標とKPIの因果関係が論理的であることです。

BSCで言うと【図1参照】、最終的な「財務的視点」で、売上・利益といった最終成果を上げるために、「顧客の視点」で〝どのような価値をお客様に提供し、どのような評価をいただくのか〟を想定します。

 

そして、その評価をいただくために「業務プロセスの視点」で〝何をするのか〟、それらを実行するために「学習と成長の視点」で、どのような〝実行力〟を獲得するのかを考えます。この一連の目標の〝縦の連鎖〟を「戦略群」と呼び、そのストーリーが論理的で、さらに納得性もあればトレーサビリティーは上がっていきます。

 

 

BtoBsales04-図1.png

 

 

このBSCの考え方を営業戦略にあてはめる場合、主に次の3つのゾーンに区分けすることが効果的です。

【図2】の左からBゾーン(攻める)戦略群、Aゾーン(守る)戦略群、Cゾーン(効率化する)戦略群となります。

それぞれのゾーンは、商談と顧客の種類によって層別されるものです【図3-1、図3-2参照】。

 

BtoBsales04-図2.png

 

BtoBsales04-図3-1&2.png

 

【図2】の「全体(部門)戦略・個別施策展開(実行計画書)」のサンプルを公開しております。 資料ダウンロードフォームよりお申込み願います。

 

3つのゾーン、Bゾーン(攻める)戦略群、Aゾーン(守る)戦略群、Cゾーン(効率化する)戦略群について順に説明します。

 

Bゾーン(攻める)戦略群

・「新市場・新商品拡販」

・「重点攻略顧客の売上拡大」【図3-1参照】

  ※顧客の購買力が大きいのに、その中での自社のシェアが低い〝まだまだ伸びしろがある〟顧客、

・「仕掛商談の創出」

  ※目標と見込み予測とのギャップにより、新たに仕掛け、創出しなければいけない商談【図3-2】、

その他「将来への投資」なども含む、〝新しく〟〝攻める〟ものを配置します。

 

Aゾーン(守る)戦略群

・「既存主力商品の維持・拡販」

・「最重要顧客での売上維持・拡大」【図3-1参照】

  ※購買力があり、自社のシェアも高い〝守る〟顧客、

・「顕在商談の着実な刈取」【図3-2参照】

など、〝今の数字(売上)〟を守るためのものを配置します。

 

Cゾーン(効率化する)戦略群

・低ボリューム・低収益商品の効率化

・「効率化顧客の効率的売上維持」【図3-1参照】

  ※シェアは高いが購買力がなく、これ以上の取引拡大が見込めない顧客、

・「継続・受注残の効率的維持」【図3-2参照】や「過去の遺物の整理」

など、Aゾーン戦略群に投入するためのリソースを確保するためのものを配置します。

 

意味ある進捗(KPI)マネジメントを実践するために

そして、各視点の戦略群のテーマ【図2】に対して、更に具体的な目標(KPI)を設定していきます。この段階でもまだ部門として追っていく「目標」になりますので、この後、更に具体的な「施策」として「実行計画書」【図2】を作成し、各営業担当者に割り振っていきます。

これは業務プロセスの視点のBゾーン戦略群における「戦略目標」を施策展開した際の「実行計画書」ですが、顧客の活動比率を既定したり、その活動を成果につなげるために「施策」と時期的な「展開ストーリー」を考えます。

更に、メンバーへの展開についても「一律」「均等割り」ではなく、各担当者の経験や能力、受け持っている市場特性に応じて割り振っていきます。

 

このように戦略の全対象をバランスよく配置し、因果関係を明確にした目標を設置し、施策を展開して、KPIを個人別に割り当てる、といった作業を〝自ら考え〟またはメンバーを巻き込みながらも〝主体的〟に進めることができれば、〝自分のもの〟になります。

あとはKPIの進捗と見直しを行っていくだけでリモート環境における戦略遂行・タスク管理ができ「誰が何をやっているかわからない」「成果につながっているか不安」といった悩みの軽減につながるのではないでしょうか。

 

こういったマネジメントは決して特別なことではなく、本来的に必要なことだと思います。現在のような環境は〝本物の戦略遂行マネジメント力〟をつける好機といえるでしょう。

 

オンライン営業におけるマネジメント課題の解決策

なお、本内容において提起した課題に対する具体的解決策の一例として、別途弊社から「オンライン営業マネジメントガイド」を配信しています。そちらも、あわせてご活用ください。

 

次回は、第5回オンライン環境での営業プロセスの可視化、支援業務の在り方を掲載いたします

全5回コラム一覧

著者プロフィール

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シニアコンサルタント 河村 亨

1990年、機械商社を経て富士ゼロックス総合教育研究所(現 パーソル総合研究所)に入社。営業力強化を中心とした教育の企画提案・営業マネジメントに携わり、2004年よりシステムを活用し、教育の成果を創出するためのSFA現場定着コンサルティングに従事。
2010年より、特に「ソリューション営業」や「アカウント営業」の領域を中心に、営業戦略の立案/展開⇒実行/定着をトータルで支援する「営業革新コンサルティング」を展開、現在に至る。
著書に「自ら考え戦略的に動く営業集団をつくる 3つのフレームワーク」「Sales Enablement アカウント型BtoB営業における営業力強化」など

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