インターンシップは、2022年6月文部科学省・厚生労働省・経済産業省が改正した「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」(3省合意)によって、複数のタイプに分類されるとともに、企業の採用活動、学生の就職活動の“前哨戦”としての位置づけがより明確になった※1。
学生にとって、早い時点で関心のある企業と接点を持ち、企業の中に“潜り込む”ことができるインターンシップは、企業の実情を知る貴重な機会となっている。同時に、企業にとってもインターンシップは、早期に学生の関心を惹くための貴重な機会になっている。
それでは、学生はインターンシップで企業の何を見ているのであろうか。また、何が学生の入社意欲を引き上げるのであろうか。本コラムでは、「新卒就活の変化に関する定量調査」を基に、インターンシップが大学生・大学院生(以下、学生)の入社意欲に与える影響に焦点を当てながら探っていく。
なお、本コラムで参照する調査は、2019年と2025年のそれぞれ2月下旬に実施したもので、学生だけではなく社会人も対象としているが、ここでは学生の分析結果のみ取り上げる※2。主に2025年調査の結果を参照するが、必要に応じて2019年調査の結果にも言及する。
※1
文部科学省「大学等におけるインターンシップの推進(インターンシップの推進に当たっての基本的考え方)」の【概要資料「令和5年度から大学生等のインターンシップの取扱いが変わります」】
※2
2019年調査の詳細については、次を参照。パーソル総合研究所×CAMP「就職活動と入社後の実態に関する定量調査」。2025年調査については、次を参照。パーソル総合研究所「新卒就活の変化に関する定量調査」。
どの程度の学生がインターンシップに参加しているのであろうか。それを見たのが図表1である。2019年調査の学生では約6割、2025年調査の学生では約7割と参加率が上昇した。学生にとって、インターンシップは「参加するのが普通」という状況になりつつある。なお、図表としては示さないが、難関大学(偏差値59以上)の学生は、中位以下の大学(偏差値58以下)の学生よりも参加率が高く、この傾向は特に顕著である。
インターンシップの参加社数も増えてきており、5社以上の割合は2019年学生で約2割、2025年学生では約3割となっており、10pt以上の差がある(図表2)。学生にとってインターンシップは2019年から2025年にかけての6年間でより大きな存在感を持つようになったといえる。
学生はインターンシップでさまざまな経験をする。その内容によって入社意欲は左右されるが、ここではインターンシップ先で学生が感じた組織文化の影響を見てみよう。学生はインターンシップ先の企業がどのような組織文化だと感じると、入社意欲が上がるのであろうか。それを見たのが図表3である。「未来志向」「チームワーク」といった組織文化が入社意欲にプラスの影響を与えているのに対して、「スピード重視」は入社意欲にマイナスの影響を与えていた。
「未来志向」は、長期的視点で考えること、利益と同じくらい社会的責任を重視するということ、「チームワーク」は、チームとしてまとまっている、団結して目標に向かっていく雰囲気があるということ、「スピード重視」は、考えるよりも先に行動することを重視し、粗くても迅速な意思決定を重視するということを意味する。すなわち、学生はインターンシップで「この企業は目先の利益や迅速さばかりを追求するのではなく、先を見据えて事業・仕事を行っており、社員同士のチームワークもよい」と感じると、「この企業に入りたい」と思うのだ。
図表3:インターンシップ先の組織文化と入社意欲

※「未来志向」は次の項目から構成されている(それぞれに対する回答は「5 その通りだった」~「1 その反対だった」)。「目先の業務に縛られず、長期的視点で考えていくことが奨励されている」「目先の成果よりも、長期的成果の追求を重視するところがある」「利益と同じくらい「社会的な責任」が重視されている」(Cronbachのαは0.759)。「チームワーク」は「チームとしてひとつにまとまっている」「自分勝手に仕事を進める人よりも、和を重視する人のほうが評価される」「一致団結して目標に向かっていく雰囲気がある」(Cronbachのαは0.794)。「スピード重視」は「まず行動をおこし、進めながら考えていくことが奨励される」「多少粗くても、迅速な意思決定が尊重される」「時間をかけて検討することよりも、タイミングやスピードが重視される」(Cronbachのαは0.698)。
出所:パーソル総合研究所(2025)「新卒就活の変化に関する定量調査」より筆者作成
それでは、そうした組織文化はどういった部分から見られているのであろうか。それを見たのが図表4である。最も回答率が高いのは、「社員同士の会話やコミュニケーションの様子」である。それに、社員の自分に対する態度やコミュニケーションが続く。学生は、社員が自分に示す態度やコミュニケーション以上に、社員同士の態度やコミュニケーションを観察することを通じて、「この企業はどのような文化なのか」を推測しているのだ。
このように、学生による組織文化の認知には二つのパターンがある(図表5)。1つ目は、社員から自分への直接的な関与から組織文化を認知するパターンである(①)。2つ目は、学生が社員同士のやり取りを観察することから組織文化を認知するパターンである(②)。
このうち、学生がより強く組織文化の真正性(オーセンティシティ)を感じるのは、②の「社員同士のやり取りを観察する」パターンだと考えられる。このやり取りは、学生に向けられたものではないがゆえに、演出されていない本物の姿として映りやすい。例えば、活発に意見を交わしながらも互いを尊重し合うプロジェクトメンバーの様子を目の当たりにすれば、学生は「この組織は本当にチームワークが良いのだな」と、より確信を持って組織文化を感じると思われる。
2025年調査では、インターンシップで職場の「リアリティ」を感じた学生ほど入社意欲が高まる傾向が確認された。従って、企業は学生が自然な形で社員のやり取りを観察できる機会を設計することが重要となる。具体的には、実際のプロジェクトに関する会議やディスカッションの場に、学生をオブザーバーとして参加させることが考えられる。そこでは、課題解決に向けた社員同士の真剣な議論や、互いの意見を尊重しつつアイデアを発展させていく様子を、学生は観察できる。また、社員同士で他者を紹介し合う「他己紹介」の時間を設けることも有効であろう。これは、一人の社員がもう一人の社員の強みや人柄をどのように評価し、どのような言葉で表現するかを通じて、普段の関係性や組織として大切にしている価値観を学生に垣間見せる効果が期待できるからだ。
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