プレスリリース

「元管理職の社内キャリアに関する調査」を発表 管理職の3人に1人が「想定外」の理由で退任、4人に1人は想定より早く

退任後の役割は「プレーヤー」が47.2%で最多、約4人に1人は未経験職種へ
退任後の業務適応は「高適応」36.1%、「低適応」34.6%と二極化

  • 調査・研究

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企業における定年延長や継続雇用などを背景に、シニアのパフォーマンスやモチベーションをいかに維持・向上させるかは、人材活用の重要な課題となっています。本調査では、ライン管理職(部下を持つ課長相当以上)を退任し、現在も同じ企業で働く50~64歳の「元管理職」を対象に、管理職退任の実態や退任後の役割・働き方、職場への適応状況について明らかにしました。

調査の結果、管理職の退任は必ずしも本人の想定通りに訪れるものではなく、退任後の役割への適応も二極化していました。また、退任後の適応には、退任理由や管理職経験年数などではなく、退任前の理解・準備、本人の希望を踏まえた役割配置、スキル・専門性の活用、退任後の役割期待・評価・承認などが関連していました。

管理職退任後の役割は4タイプ、約半数がプレーヤー

自ら成果を創出する「プレーヤー」が47.2%と最多。定例業務・他者支援を担当する「サポーター」19.7%、組織内外の調整を行う「コーディネーター」18.7%、後進指導・育成を担う「メンター」が13.5%。

主なトピックス

管理職退任の実態

  1. 管理職の3人に1人が「想定外」の理由で退任、4人に1人は想定より早く:管理職退任者の35.3%が想定外の理由で退任しており、組織改編による退任(全体の15.2%を占める)では81.0%が「想定外」だった。また、25.1%は想定より早く退任。退任の説明(内示)が「説明なし」または「1か月以内」だった人も39.1%にのぼる。
  2. 管理職退任後のキャリアは長期化、「元課長」は平均53.9歳で退任:元管理職の67.5%は最高職位が課長相当。元課長は平均42.0歳で管理職に就き、53.9歳で退任しており、管理職経験は平均11.1年。65歳まで勤務する場合、退任後の就業期間も11.1年となり、管理職として働いた期間と同程度になる。

退任後の役割と適応

  1. 退任後の役割は「プレーヤー」が47.2%で最多、約4人に1人は未経験職種へ:退任後の主な役割を4タイプに分類すると、自ら成果を創出する「プレーヤー」が47.2%と最多で、「サポーター」19.7%、「コーディネーター」18.7%、「メンター」13.5%だった。また、26.7%が退任後に未経験職種へ異動しており、サポーターでは42.6%と最も高かった。
  2. 退任後の業務適応は「高適応」が36.1%、「低適応」が34.6%と二極化:退任後のパフォーマンスと役割への納得度から4群に分類したところ、「高パフォーマンス×高役割納得」の高適応群は36.1%、「低パフォーマンス×低役割納得」の低適応群は34.6%となり、ほぼ二分された。現管理職では高適応群が55.4%、低適応群が21.8%であり、元管理職では高適応群が19.3pt低く、低適応群が12.8pt高い。
  3. 管理職時代にプレーヤー業務をどれだけやっていたかは、退任後の業務適応度と関連せず:管理職在任中のプレイング比率別に退任後の適応度をみたところ、統計的に有意な差はみられなかった。マネジメント業務中心だった人でも、プレイング業務中心だった人でも、退任後の適応度に大きな違いはみられなかった。

退任後の適応要因

  1. 退任後の仕事内容・役割への「事前理解」が高い人は高適応50.8%、低い人は21.4%:退任後の仕事内容や役割などについて事前理解が高い人では高適応群が50.8%だったのに対し、低い人では21.4%にとどまり、低適応群が52.1%を占めた。また、事前準備では「特にない」が37.2%で最多であり、「役職退任後については極力考えないようにしていた」人も20.9%だった。
  2. 退任後の役割に「希望なし」の人は、半数超が低適応:希望した役割と実際の配置が一致した人では高適応群が41.9%で、不一致の人の31.6%を上回った。一方、希望する役割がなかった人では低適応群が54.2%と過半数を占め、不一致の人より約20pt高かった。
  3. 役割・目標・評価を明確にするほど高適応、役割期待の明示が高い人では63.7%:退任後の役割期待が明確な人では高適応群が63.7%だった一方、低い人では17.2%にとどまった。目標設定が明確な人では67.9%、評価・フィードバックへの納得性が高い人では73.0%が高適応群だった。退任後も役割や目標を明確にし、評価・フィードバックを行うことが適応と強く関連していた。

主なトピックス(詳細)

管理職退任の実態

  1. 管理職の3人に1人が「想定外」の理由で退任、4人に1人は想定より早く

退任理由:管理職の35.3%が想定外の理由で退任している。退任理由別にみると、組織改編による退任者は81.0%が想定外と回答。制度に基づく退任は想定できるはずだが、役職定年、定年・再雇用では約15%、任期満了では36%が想定外との回答であり、留任・再任を予想していた人と思われる。

退任時期:退任の時期は『想定通り』が47.8%である一方、25.1%は想定より早く退任している。60歳での退任を希望・想定する人が4割前後と多数を占めるが、実際には54歳以下での退任が35.9%を占め、50代後半、60歳、61歳以上での退任よりも多い。

退任年齢と理由との関係:退任年齢と退任理由の間に極めて強い関連がある。50代後半での退任は役職定年が59.7%、60歳以上では定年・再雇用が60.6%を占める。一方、55歳未満では組織改編による退任が最も多く、4分の1以上を占める。自己都合による退任も50代前半が13.3%、50歳未満が20.4%と目立つ。

企業による退任告知:全体では、退任の説明(内示)が「説明なし」または「1か月以内」の合計が39.1%を占める。組織改編による退任では「1か月以内」29.5%、「説明なし」26.7%で計56.2%と、突然の退任が特に多い。

  1. 管理職退任後のキャリアは長期化、「元課長」は平均53.9歳で退任

50~64歳の管理職経験率:50~64歳の正社員・再雇用者では管理職経験者が43.6%を占め、60代前半では47.3%に達する。60代前半では現管理職が減る一方、元管理職が31.6%と大きな人材層になる。元管理職の活用はシニア人材活用の重要課題である。元管理職の約7割は元課長相当であり、施策の主対象はミドルマネジメント層である。

元管理職の約7割は元課長、退任後のキャリアは約11年:最高到達職位は課長相当が67.5%を占める。課長経験者の平均退任年齢は53.9歳で、65歳まで勤務する場合、退任後の就業年数は11.1年におよぶ(管理職としての経験年数も平均11.1年)。部長経験者は57.1歳で退任し退任後7.9年、事業部長・執行役員経験者は57.3歳で7.7年。上位職ほど退任後の期間は短い。

退任後の役割と適応

  1. 退任後の役割は「プレーヤー」が47.2%で最多、約4人に1人は未経験職種へ

退任後の主な役割:退任後の主たる役割を「関与の仕方」と「貢献の方向」の2軸で4タイプに分類したところ、自ら成果を創出する「プレーヤー」が47.2%と最多。「サポーター」19.7%、「コーディネーター」18.7%と続き、後進指導・育成を担う「メンター」は13.5%にとどまる。

約4人に1人が未経験職種へ:退任後は経験職種に配置される場合が多いが、全体の26.7%が未経験職種へ異動。サポーターは職種転換率が42.6%と最も高く、メンターが17.2%と最も低い。職種転換では、いずれの役割4タイプも営業・技術から営業系ミドルバック、コーポレートへの異動が多い。特にサポーターはコーポレートへ集中している。

  1. 退任後の業務適応は「高適応」が36.1%、「低適応」が34.6%と二極化:元管理職は退任後の役割に対し、「高パフォーマンス×高役割納得」36.1%、「低パフォーマンス×低役割納得」34.6%と、高適応群と低適応群にほぼ二分される。一方、現管理職は「高×高」55.4%、「低×低」21.8%。元管理職は高適応群が19.3pt少なく、低適応群が12.8pt多い。
  1. 管理職時代にプレーヤー業務をどれだけやっていたかは、退任後の業務適応度と関連せず:管理職在任中のプレイング比率別にみると、高適応群は「マネジメント中心」41.2%から「プレイング中心」32.7%までで、低適応側も含め有意な差はない。役割4タイプ別にみても傾向は一貫せず、在任中にプレイングをどの程度担っていたかは、退任後の適応をほとんど左右しない。ただし、サポーターについては、プレイング比率が低いほど高適応となる有意な傾向が見られた。

退任後の適応要因

  1. 退任後の仕事内容・役割への「事前理解」が高い人は高適応50.8%、低い人は21.4%:事前理解「高」群は高適応群が50.8%を占めるのに対し、「低」群は21.4%にとどまり、逆に低適応群が52.1%と過半数に達する(「高」群は20.1%)。事前理解度は退任後の適応度と強く関連する。内容別にみると、特に仕事内容の事前理解が役割納得感に効き、影響度は他項目の2倍以上。部署・勤務地の理解はパフォーマンスに、上司の理解は役割納得感に、それぞれ弱いながら有意な影響がみられる。

元管理職の4割弱が退任の準備なし:「備えとして行っていたことは特にない」が37.2%と最多。さらに「役職退任後については極力考えないようにしていた」も20.9%にのぼり、退任に向き合わないまま迎えた層が少なくない。準備の内容は「仕事に対する考え方を変えた」33.9%、「専門性を広げる努力」31.9%など内面の切り替えが上位。一方で退任後のキャリアプラン23.6%や具体的業務の計画22.8%などは低く、意識の変化が具体的な備えに結びついていない。

50代の3人に1人は「備えなし」:50代では2017年調査比でほぼ全ての準備行動が増加。「専門性を広げる努力」35.2%、「仕事のやり方見直し」32.2%、「キャリアプラン計画」24.5%など、いずれも8〜12pt上昇。一方で「備えとして行っていたことは特にない」も36.1%と、依然として3人に1人が無準備のまま退任している。

  1. 退任後の役割に「希望なし」の人は、半数超が低適応

役割希望配置率:元管理職全体では、希望した役割に配置された割合は55.4%。3割が希望と異なる役割に就いている。役割別ではプレーヤーが85.4%と突出して高い一方、メンターは40.9%にとどまる。

役割希望と適応度:希望する役割と実際の役割が一致する層では高適応群が41.9%で、不一致層の31.6%を上回る。「希望なし」層は低適応群が54.2%と過半を占め、不一致層より約20pt多い。役割4タイプ別では、統計的に有意な差がみられたのはプレーヤーのみで、不一致だと高適応群が15.0pt下がり、低適応群は4割近くに達する。他の3タイプでは有意な差はみられない。

  1. 役割・目標・評価を明確にするほど高適応、役割期待の明示が高い人では63.7%:役割期待の明示や役割に関する対話の実施有無は、適応度と顕著な関連がみられる。期待役割明示の高群では高適応群が63.7%(対話67.0%)に達する一方、低群では低適応群が56.1%(同52.1%)と半数を超え、高適応群は2割を下回る。退任後の役割をきちんと説明し対話する場があるかどうかが、適応を大きく左右している。

評価・対話・承認機会(現役・元管理職の比較):職場での役割期待や承認に関する評価は、比較可能な10項目すべてで元管理職が現管理職を5.0〜12.6pt下回る。特に「評価への納得」34.8%、「適切なフィードバック」34.6%、「仕事への周囲の関心」37.0%が低く、退任後は役割説明、評価・対話・承認の機会が不足している。 ただし現管理職も4〜5割台にとどまり、決して高いとは言えない。 なお元管理職では、「元の役職にかかわらず気兼ねなくやり取りできる」58.8%に対し、「他のメンバーと同様に仕事が割りふられる」は45.2%と低い。

目標設定・評価と業務適応度:現在の役割における目標設定の明確さや評価・フィードバックの納得性は、適応度と顕著な関連がみられる。目標の明確さ高群では高適応群が67.9%(評価73.0%)に達する一方、低群では低適応群が53.5%(同50.1%)と約半数を占め、高適応群は2割を下回る。退任後も目標を明確に設定し、納得できる評価とフィードバックを返すことが、適応の分かれ目になっている。

調査結果からの提言

パーソル総合研究所
上席主任研究員

藤井 薫

元管理職の社内キャリアに関する課題

日本企業では、役職定年、定年・再雇用、組織改編等を契機として、多くの管理職が一定年齢以降に役職を離れる。しかし、管理職退任後もそのまま同じ企業で就業を継続する期間は長く、元管理職がどのような役割を担い、どのような適応状況にあるかは、企業における中高齢人材活用の重要な論点である。

退任後の役割はプレーヤー、コーディネーター、メンター、サポーターの4タイプに分かれ、その適応状況は高適応群(36.1%)と低適応群(34.6%)に二極化している。適応状況は、退任理由や管理職経験年数などの属性・制度要因では説明できず、役割4タイプ別の適応度の差も統計的に有意ではない。

適応を左右しているのは、①退任前の理解と準備、②役割の設計と本人希望との一致、③経験・スキルの活用度、④退任後の職場運営(役割の説明・対話・目標設定・評価・承認)である。特に④は、役割期待の明示の有無で高適応群比率が約4倍(63.7%対17.2%)に開くなど最も強い関連を示しながら、企業の施策としては手薄である。

当調査では、元管理職の退任後の適応度向上施策として、「事前・配置・運用」の3層・8提言を示す。

提言の詳細については、調査報告書をご覧ください。

退任後の適応度向上に向けた「事前・配置・運用」の3層・8提言

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本調査を引用いただく際は、出所として「パーソル総合研究所」と記載してください。

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調査結果の詳細については、下記URLをご覧ください。
URL:https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/former-manager/

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構成比の数値は、小数点以下第2位を四捨五入しているため、個々の集計値の合計は必ずしも100%とならない場合があります。

調査概要

調査名称

パーソル総合研究所 「元管理職の社内キャリアに関する調査」

調査目的

・管理職退任時および、管理職退任後の社内キャリアの実態を明らかにする
・元管理職の社内適応を左右する要因を明らかにする

調査対象

① 元管理職
課長以上のライン管理職経験後、退任し同一企業に勤務する50~64歳の男女(正社員、契約・嘱託社員、パート・アルバイト〔定年後再雇用者を含む〕)
 …690名

② 現管理職
課長以上のライン管理職を務める30~59歳の男女(正社員)
 …500名

【共通条件】
・従業員300人以上企業
・第一次産業/学術研究、専門・技術サービス業/複合サービス事業(郵便局など)/国家公務・地方公務 を除く
※全国の性年代別の人口構成比に基づき配信・回収。ライスケール1問正答者を有効回答とした。

調査手法

調査会社モニターを用いたインターネット定量調査

調査時期

2026年6月16日~6月22日

実施主体

株式会社パーソル総合研究所

株式会社パーソル総合研究所 について

パーソル総合研究所は、パーソルグループのシンクタンク・コンサルティングファームとして、調査・研究、組織人事コンサルティング、人材開発・教育支援などを行っています。経営・人事の課題解決に資するよう、データに基づいた実証的な提言・ソリューションを提供し、人と組織の成長をサポートしています。

PERSOL(パーソル) について

パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、2030年には「人の可能性を広げることで、100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目指しています。
さまざまな事業・サービスを通じて、はたらく人々の多様なニーズに応え、可能性を広げることで、世界中の誰もが「はたらいて、笑おう。」 を実感できる社会を創造します。

お問い合わせ先

株式会社パーソル総合研究所 広報

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