社会や地域への貢献を強く意識する一方、その成果や感謝を実感しにくい傾向
市区町村の20~30代公務員の4人に1人がバーンアウト型
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株式会社パーソル総合研究所は、中央官庁および地方自治体で働く公務員を対象に、「公務員の職業生活に関する定量調査」を実施し、結果を発表いたしました。
公務員は、政策・制度の立案や地域課題への対応、市民対応などを通じて、社会や地域を支える重要な役割を担っています。一方、行政課題が高度化・複雑化し、市民からの期待も高まる中、近年では応募者数の減少や若年層を中心とした離職など、人材の確保・定着が課題となっています。
そこで本調査では、公務員の職業生活の実態を捉えるとともに、仕事への誇りや成長実感、社会や地域への貢献実感、ウェルビーイング、キャリアなどを幅広く分析しました。公務員という仕事の魅力や価値、それらを支える要因を明らかにし、公務員が誇りや成長実感を持ちながら働き続けられる職場や組織のあり方について考察しています。
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「バーンアウト型」は、本調査において仕事へのやりがいとストレスの状態から分類した4類型の一つで、仕事にやりがいを感じておらず、ストレスを強く感じている公務員(燃え尽き・その予兆として注視)。
「公務員であること」に誇りを感じるのは4~5割
最も高い中央官庁職員でも約5割、基礎自治体(市区町村)職員では約4割にとどまり、
参考値として示した別調査における教員・看護師の結果※も下回った。

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広域自治体=都道府県、基礎自治体=市区町村。
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当社では、過去に教員・看護師の「職業生活に関する定量調査」を実施しており、その調査結果を参考値として掲載。教員・看護師は、公務員と同様に市民生活の維持・発展に欠かせない職業であり、かつて安定性や社会的意義の高さなどから人気が高かった一方、近年では人材確保・定着が課題となっている。
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1、2:「はたらく幸せ実感」「はたらく不幸せ実感」とは、働くことを通じて感じる主観的な幸福感/不幸感をそれぞれ測定した指標。
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3、4:「他者貢献」「自己裁量」「自己成長」「他者承認」「リフレッシュ」は、職業生活における幸福感の多元的な要因を示す「はたらく人の幸せの7因子」を構成する因子。詳細は次項を参照。
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5:「ワーク・エンゲイジメント型」とは、仕事にやりがいを感じており、ストレスをあまり感じていない公務員。
本調査における、はたらくことを通じて感じる幸福感や不幸感の要因は、それぞれ7つの因子で構成され以下のように定義。7つの因子の状態を良好に保つことによって、職業生活ウェルビーイングを高めることができる。

<原著論文>「職業生活における主観的幸福感因子尺度/主観的不幸感因子尺度の開発」(Inoue et al.,日本感情心理学会、2022,12)

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当社では、過去に教員・看護師の「職業生活に関する定量調査」を実施しており、その調査結果を参考値として掲載。教員・看護師は、公務員と同様に市民生活の維持・発展に欠かせない職業であり、かつて安定性や社会的意義の高さなどから人気が高かった一方、近年で は人材確保・定着が課題となっている。
公務員としての「誇り」とはたらく幸せ・不幸せ因子の関係:公務員としての誇りと各因子との関係を確認した。誇りを高める要因としては、所属を問わず「他者貢献」因子が共通して確認された。一方、誇りを損なう要因としては、いずれも「評価不満」因子(自分の努力が報われないという感覚)があがった。公務員としての誇りは、社会や地域への貢献実感によって支えられ、努力が正当に報われないという感覚によって損なわれることが示唆される。

公務員としての誇りを支える要因/損なう要因として確認された「他者貢献」と「評価不満」は、それぞれ何によって獲得し得るのか。 他者貢献は、成果や影響の実感、直接的な感謝などによって高まる。一方、評価不満は、職務担当範囲の不明確さやクレーム対応などによって高まる。 すなわち、公務員としての誇りは、貢献や成果を実感し、自らの成長を感じられる環境によって支えられている。


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会社員平均は、本調査で比較対象として取得した会社員サンプル(n=551)の結果。
公務員と会社員のはたらく幸せ因子比較:公務員のはたらく幸せ因子を会社員と比較したところ、会社員平均を概ね上回ったのは「他者貢献」と「自己裁量」であった。一方、「リフレッシュ」「チームワーク」「他者承認」は概ね会社員を下回った。「他者貢献」は会社員平均を概ね上回る一方、成果や感謝の手ごたえは得にくく、成長や承認も実感しにくい可能性が示唆される。

「ワーク・エンゲイジメント」※と「心理的ストレス反応」の傾向で、公務員を以下の4タイプに分けた。


公務員の継続就業意向・転職意向:公務員の4類型ごとに、継続就業意向と転職意向を確認した。ワーク・エンゲイジメント型は継続就業意向が高く、転職意向が低い一方、バーンアウト型は他と比較して継続就業意向が最も低く、転職意向が最も高い。注目すべきは「ワーカホリック型」である。仕事への活性度が高く、継続就業意向も一定程度ある一方で、転職意向も高い。一見すると仕事への熱意があり定着しているように見えても、高いストレスを抱えていることから、見えにくい流出リスクを抱える可能性がある。

年代別の継続就業意向・転職意向:継続就業意向と転職意向を組み合わせ、年代別に4類型化(潜在流出群、離職切迫群、定着安定群、停滞・無関心群)した。20~30代では、「潜在流出群」が17.1%、「離職切迫群」が15.9%で、両者を合わせると33.0%と約3人に1人を占めた。一方、「定着安定群」は41.7%だった。40〜60代では、「潜在流出群」が11.3%、「離職切迫群」が16.6%、「定着安定群」が50.0%だった。なお、「離職切迫群」の割合は年代間で大きな差はみられなかった。

貢献意識と手ごたえ:日々の業務において「一般の国民・住民」をどの程度意識しているのか、またその貢献をどれほど実感できているのか(直接的な感謝)を確認した。基礎自治体職員は最も住民を意識していた一方、「直接、感謝の言葉をかけられることが多い」と答えた割合はいずれも2割前後にとどまった。住民や国民への貢献を強く意識しながらも、その手ごたえを十分に得にくい実態が示唆される。

クレーム対応の負担:組織外(市民等)からのクレーム対応による負担を確認した。クレームへの対応によって心身が疲弊する、あるいは多くの時間を割かれると答えた割合は、所属を問わず一定数みられた。特に基礎自治体の本庁勤務ではその割合が高く、住民との接点の多さが職務上の負荷につながっている可能性がうかがえる。

クレーム対応の実態:クレームへの対応が組織的に行われているか、個人に委ねられているかを確認した。中央官庁・広域自治体では組織的対応が比較的多い一方、基礎自治体では個人対応が52.7%と過半数を占めた。住民対応の最前線にある職員ほど、クレーム対応の負担を個人で抱えやすい実態がうかがえる。


広域自治体、基礎自治体職員ともに、家族・知人・友人に勧めない理由として「ストレスが多い」が上位に挙がる。また、「成果が評価されにくい」や「ルールや手続きが多く自由度が低い」といった組織運営上の課題も多く指摘された。広域自治体の技術職では「給与が低い」が最も多く、専門性に見合う処遇のあり方が課題となっている可能性がある。

技術職の人材流出リスク:継続就業意向と転職意向を組み合わせた4類型(潜在流出群、離職切迫群、定着安定群、停滞・無関心群)を所属・職種別に確認した。その結果、技術職では所属を問わず転職意向が高い群の割合が高い傾向がみられた。特に、広域自治体の技術職では「潜在流出群」、中央官庁の技術職では「離職切迫群」がそれぞれ約2割を占めた。一方、中央官庁の行政職(政策系)は「定着安定群」が最も多い。所属や職種により流出リスクの現れ方は異なるが、特に技術職の定着状況には注視が必要である。


部署異動に伴う仕事内容の関連性と能力開発・成長実感:公務員の成長実感がすべての所属・職種で会社員平均を下回っていることを踏まえ、成長実感との関係を確認するため、部署異動前後の仕事内容の関連性に着目した。異動前後の仕事内容に関連性がある職員は、特に中央官庁で成長実感が有意に高い傾向がみられた。また、関連性がある場合はスキル・知識の深化や組織理解につながりやすい一方、関連性がない場合は、異動前のスキル・知識や人脈を活かせていないと感じる割合が高い。異動を成長機会として機能させるには、経験やスキルを次の職務へ接続する視点が重要となる。


公務員の職業イメージの形成:公務員の職業イメージをどこから得たのかを年代別にみると、「家族・親族関係」がいずれの年代でも約4~5割と高く、公務員の魅力は身近な人を通じて伝わる傾向がみられた。また、前述の通り、公務員としての継続就業意向には「長期的なキャリアの見通し」や社会・地域への貢献実感、自身の役割や仕事の意義を認識できていることが関連していた。こうした結果から、現職職員が誇りや成長実感を持って長く働き続けられる「職業生活のウェルビーイング」を高める環境を整えることは、公務員の定着だけでなく、その魅力を身近な人へ伝え、将来の採用につなげていくうえでも重要と考えられる。


パーソル総合研究所
上席主任研究員
井上 亮太郎
本調査では、公務員の職業生活ウェルビーイングを、「仕事を通じて社会や地域への貢献を実感しながら、自己成長や能力を活かせている実感を持ち、自らの職務に誇らしさを感じながら働けている状態」と捉え、その実態と関連要因を分析した。以下では、その魅力を高め、持続的に継承するための提言を示す。
他者貢献の実感は、公務員の誇りを高める最大要因である。その背後には、成果・結果の手ごたえと感謝の実感があった。一方で、公務員の職務には、社会や地域への貢献が強く求められるものの、その成果や感謝は見えにくい。職員が貢献しても、その成果や感謝を実感しにくい「手ごたえレス」「感謝レス」の状態をいかに減らしていくかが重要である。
〈例〉
…etc.
成長の実感とキャリアの見通しは、公務員のウェルビーイングや管理職意向、継続就業意向を高める重要な要因である。異動の前後で経験や専門性が接続されるほど、成長実感や主体性が高まる傾向が見られ、特に「技術職」では顕著であった。異動を単なる配置転換ではなく、経験や専門性が活かされるキャリア形成機会として位置づけることが、定着支援策となり得る。
〈例〉
…etc.
評価不満(報われなさ)は、公務員の誇りやウェルビーイングを損なう主要な要因であった。職員にとって重要なのは、給与や処遇だけではない。自らの努力や貢献が適切に認識され、組織から期待されていると実感できることである。そのためにも、役割期待を明確に提示し、日常的な対話やねぎらい、建設的なフィードバックを通じて、職員の努力や貢献が適切に認識され、正当に評価される仕組みづくりが求められる。
〈例〉
…etc.
※
セキュアベース・マネジメント:挑戦への一歩を支援し、成長を支える信頼ベースのマネジメント
基礎自治体では、市民対応を個人で抱え込む傾向がみられた。一方で、組織的に対応している職場ほど、職員の他者貢献実感が高く、評価不満も低い傾向がみられた。市民対応を職員個人の経験や努力に委ねず、AIなどテクノロジーも積極的に取り入れつつ、組織として支える仕組みづくりが求められる。
〈例〉
…etc.
管理職の業務負荷や責任は大きいが、必ずしも職業生活ウェルビーイングが低いわけではない。むしろ、政策形成や人材育成を通じて新たな価値を生み出せる魅力もある。一方、管理職を志向する職員は2割前後にとどまる。近年の管理職を忌避する傾向を考えれば、職務を通じて得られるやりがいや価値についても適切に伝えていく必要がある。管理職の働き方や職務の魅力向上は、後に続く職員にとっての将来像を示す。
〈例〉
…etc.
公務員の職業イメージは、親族や友人、学校の教員など身近な人々を通じて形成されることが多い。若年層に届く採用広報は重要だが、現職職員が誇りや成長実感を持ち、「この仕事を勧めたい」と思える状態をつくることこそが、公務員という職業の魅力を次世代へ継承する持続的で最大の採用施策である。
〈例〉
…etc.
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本調査を引用いただく際は、出所として「パーソル総合研究所」と記載してください。
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調査結果の詳細については、下記URLをご覧ください。
URL:https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/government-employee-well-being/
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構成比の数値は、小数点以下第2位を四捨五入しているため、個々の集計値の合計は必ずしも100%とならない場合があります。
| 調査名称 | パーソル総合研究所 「公務員の職業生活に関する定量調査‐中央官庁・地方自治体職員編」 |
|---|---|
| 調査内容 | ・公務員のはたらく幸せに関する実態を明らかにする。 |
| 調査対象 | 【本調査の対象者】 |
| 調査手法 | 調査会社モニターを用いたインターネット定量調査 |
| 調査時期 | 2026年 1月21日 – 1月23日 |
| 実施主体 | 株式会社パーソル総合研究所 |
| 監修 | 鈴木寛 東京大学公共政策大学院 教授 |
パーソル総合研究所は、パーソルグループのシンクタンク・コンサルティングファームとして、調査・研究、組織人事コンサルティング、人材開発・教育支援などを行っています。経営・人事の課題解決に資するよう、データに基づいた実証的な提言・ソリューションを提供し、人と組織の成長をサポートしています。
パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、2030年には「人の可能性を広げることで、100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目指しています。
さまざまな事業・サービスを通じて、はたらく人々の多様なニーズに応え、可能性を広げることで、世界中の誰もが「はたらいて、笑おう。」 を実感できる社会を創造します。
株式会社パーソル総合研究所 広報
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